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さようならよりも、両手いっぱいのありがとうを

約1年住んだバンコク。
東南アジア最大の都市とも言われるこの大都会を、ついに今日離れる。

お別れはあまりにも突然で、ゆっくりとこの場所にお別れを言う暇もなくこの地を離れることになろうとは、1週間前は思ってもみなかった。

夕方になると渋滞するスクンビット通りも、
「マイペンライ」精神のゆるーく優しいタイ人も、
刺すような日差しも、空を覆う大気汚染も。
今となってはすべてがわたしを送り出している気がしてしまう。

 

この場所でも、たくさんの場所に行って、たくさんの景色を見て、そして人と出会った。
きっとこの場所にもう一度来るときは「おかえり」って言える人がたくさんいる。そのことを思うと、楽しいことばかりではなかったこの1年も少し輝いて見える気がする。

今思えば、後先考えずにやってきたタイだったけれども、こんなに楽しくて、こんなに充実した1年になったのは、たくさんの人のおかげだなと。
また会いたい人がこの国にもたくさんできて、「そんな人に会うために」っていうこの場所に戻ってくる立派な理由までもらって、振り返れば幸せすぎる1年だったのかもしれない。

状況が状況なので、今回のお別れは仕方がないのだけれど、それでもしっかり、自分の時間を作ってお別れをしたかったななんて少し心残りがあるのもまた事実で。
後悔がないと言ってしまうと嘘になる。最後に食べたいタイ料理の屋台には結局行くことができなかったし、最後挨拶をしたかった友達にも全員には会えなかった。
その反面、あのとき忘れた「またね」を言いに、きっと戻っておいでと、この国が行ってくれているようにも感じる。

 

今日、この国を離れたら次に戻ってくるのはいつになるか分からないけど、最後は「さようなら」ではなく、両手いっぱいに抱えきれないほどの「ありがとう」を伝えて、たくさんの「大好き」を与えてくれたこの地に、しっかりと感謝を伝えて、「またね」とお別れしよう。

南国の蒸すような風に再開の約束をゆるり溶かして、小さく手を振った。

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