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大都会バンコク

「東京は大変だよ。人も多いし空がせまい。」
なんてことを言われながらも、東京に住みたい、住んでみたいという想いを捨てきれなかった私。
東京に行けばたくさん友達がいる。
東京に行けば仕事がたくさんある。
そんな理由をぽつりぽつりと並べながら、憧れの場所への憧れの気持ちは日に日に大きくなるばかりだった。

高いマンションに住んで、おしゃれなランチを食べて、○○線の終電が…なんて言いながら友達とバイバイしたい。
いつのまにか、東京に住みたいのか、都会に住みたいのか、その境目はゆらゆらと交わりいつの間にか穏やかなグラデーションのようにあいまいになってしまった。

 

そんな私は今バンコクに住んでいる。

大都会、バンコク。
高層マンションが立ち並び、たくさんの人が街を行き交い、交通渋滞なんて日常茶飯事だ。

憧れていた都会。
東京ではないけれども、都会で暮らしている。

憧れていた都会生活。待ち望んだ都会生活。
そのはずなのに、自分の中でどこかしっくりきていないものがあった。
何が違うかは分からないけれども、何かが違う。これが私の理想だったのか、自問自答してしまう自分がいた。

 

だって、結局は鹿児島に住んでいた頃とも、福岡に住んでいた頃とも大きく変わらない。
起きて、やりたいことをやって、ご飯を食べて、寝る。
その実、前と何も変わらない生活を送っていた。

 

なんだ。どこに住もうが変わらないじゃん。
落胆とも失望とも違う、どこか諦めに似た安堵感が心をじわりと満たしていく。

きっと、どこででも生きて行けてしまうんだと思う。
ないものねだりなだけで、本当に自分が欲しているものは「都会」にこだわらない、もっと別の何かだったんだと思う。

まだ見つかっていないその「何か」を探しに。
自分が本当に求める場所を探しに。

それまでは「きっとここではなかった」の想いはそっとしまって、この場所で根を張って生きていこう。

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