言葉の温かさ
私が実習であった出来事、そこから学んだ言葉の暖かさについて書いていきます。
私は、実習である女性を受け持った。教育関係に就いている女性。
第一印象は、とても優しそうな人、だった。彼女は、優しく、だけど芯を持った人だった。
彼女にどうして看護師を目指したのか、聞かれた。私の学校は、地域に根差した看護師を育てる学校だ。静かな声で、彼女の質問に答えた。
「とても素敵な夢ね」
心がふわっと軽くなった。反対されると思っていた。
否定されるのが怖かった。彼女の一言で、私も心を開くことができた。
彼女は私に沢山の言葉を教えてくれた。
「置かれた場所で咲きなさい」、「相手の言うことを気にしているうちは相手の支配下よ」。全部本当のことだった。
私は担当教員が苦手だ。あの人の言葉一つ一つが鼻にかかるんだ。
でも、彼女の言葉一つですべて浄化されていく。そんなイメージ。
時間があれば、2人で海外のこと、夢のこと。たくさん話した。
彼女もまた、海外に行き、ボランティアをしていたのだ。とても楽しかった。
私は学生だけど、援助することだってある。4日間洗えていない髪を洗髪した時。
「ありがとう、とてもすっきりした」
汗をかいて、目に汗が入り涙目になりながら、彼女の不快感を取り除くように励んだ。きっと涙は不安と、良い状態になってもらいたいという嬉しさだった。
彼女は、受け持ち中に誕生日を迎えた。
なにかしたいと思った。
「まあ。嬉しいわ。退院したら額縁に飾るわ。」
私は、バーズデーカードを手作りしてプレゼントした。
入院していて誰にも、家族にも会えない環境。
家族と同じくらい近い存在である看護師を選んだ私の夢が実った。
その誕生日の日、リラックス効果目的で足浴をした。
「すごい気持ち良い。足の裏、もっとやってほしい。」
彼女はあまり人に頼りたくない性格で、人に頼むことをめったにしない。
だから、私は嬉しくてその気持ちに応えようとした。
実習最終日。「11日間、ありがとうございました。」とあいさつをしに行った。
「あなたなら素敵な看護師になれる。応援してるよ。」
今までですごく心に刺さった。泣きそうになった。
この夢、必ず叶えるって決めた。
私は患者さんの「ありがとう」を聞きたくて援助しているわけではないんだ。
だけど、患者さんから言われる「ありがとう」は、心の底から伝わってきて。とても暖かいんだ。
私は、彼女の言葉に助けられた。辛いことがあった時、「今日は眠れた?」と声をかけてくれたり、私のくだらない話でたくさん笑ってくれたり。
初めて会う存在なのに、昔から知り合いみたいな存在。
彼女の優しさに甘えて、たくさんたくさん休んだ。
でも、実際はそんな患者さんばかりじゃないんだ。
私は、いま目の前のことしか見てなくて、周りから目をそらしていた。
「ありがとう」と言われない、怒られることだってあるんだ。
だけど、私は何度も自分に「ありがとうって言われるために援助してるわけではない」って言い聞かすんだ。
そして、何度も彼女を思い出し、彼女の言葉を心に響かせるんだ。
「ありがとう、成長した姿を観れるのが楽しみだわ」
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