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データドリブン・カスタマーサクセス
最近「カスタマーサクセスにおけるデータ活用」についてご相談をいただくことが増えてきました。今年のPulseで(米国でのデータ偏重主義のよりもどしとして)顧客ファーストが取り上げられたり、ヘルススコアに興味を持つ人が増えていたりすることも背景にありそうです。
そこで今日は、カスタマーサクセスをデータドリブンにする方法を考えてみたいと思います。結論から言ってしまうとお伝えしたいことはただ一つ。
「リアクティブなカスタマーサクセスをめざそう」です。
(誤植ではありません。プロアクティブではなく、リアクティブです)
データ分析を価値に変える6つのステップ
僕は2010~2014年まで楽天に在籍し、楽天グループのアクセス解析やWebサイト改善を推進する横串部門の責任者をしていました。
当時よく感じていたのは、データを使った意思決定と、それに基づいたアクションをすること・してもらうことの難しさ。
「楽天を究極なデータドリブンカルチャーを持った企業にする」という壮大なチーム目標を抱えながら(英語にも頭を抱えながら笑)、データを価値に変えるためのデータ分析とは?レポートとは?そのための環境やトレーニングとは?と日々悩んでいました。
![画像1](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12979215/picture_pc_d12954cc61066d9eab30b1b835e3741d.png?width=1200)
そしてその頃、引用していたドミノの絵があります(「楽天流データドリブンな組織の作り方」の講演記事)。これはWeb Analytics Action Heroという本からの引用です。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12979705/picture_pc_233a6e60d87cec0a213d144de68adc0a.png?width=1200)
データ分析(ここではアクセス解析)を通じてビジネス上の価値を出すためには、ひとつひとつのピースを倒していくことが必要であることを表しています。
それぞれのステップを説明すると、こんな感じでしょうか。
①データ:意思決定に必要なデータを定義し収集する
②レポート:それらのデータを可視化する
③解析:レポートから状態の変化をみつけ、課題を読み取る
④意思決定:課題を解決するために、なにをすべきかを判断する
⑤アクション:意思決定したことを実際におこなう
⑥バリュー:アクションを通じて課題解決や目標達成ができる
ここで大事なことは、データ分析から価値を引き出すには何らかのアクションをしなければならない、ということ。
なにしろ、アクションをせずにただデータを眺めているだけでは1円にもなりません。アクションをするための意思決定に必要な分析をする、そのためにデータを揃える必要があるということです。
カスタマーサクセスに置き換えて考える
さて「データ分析を価値に変える6つのステップ」を、カスタマーサクセス活動に置き換えて考えてみましょう。といっても、ほとんど差異はありません。(変更点を太字にしています)
①データ:顧客のビジネスゴール達成のために必要なデータを定義し収集する
②レポート:それらのデータを可視化する
③解析:レポートから支援が必要な顧客をみつけ、課題を読み取る
④意思決定:課題を解決するために、なにをすべきかを判断する
⑤アクション:顧客に必要な支援を実際におこなう
⑥バリュー:アクションを通じて顧客の課題解決や目標達成ができる
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12979618/picture_pc_36ce57f895e5849900997ebfaeb42218.png?width=1200)
もしも、これを読んでくださっているあなたが「自社のカスタマーサクセスがデータから価値を引き出せていない」とお感じでしたら、どのステップに課題がありそうですか?
自社の状況を思い浮かべながら、6つのステップを読み進めていただければと思います。
①データ:顧客のビジネスゴール達成のために必要なデータを定義し収集する
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12979041/picture_pc_d01985e05f542f12eaddb8d3893db11d.png?width=1200)
まずは、自社のプロダクト提供を通じて、顧客をどこにお連れするのかを考えるため、顧客のビジネスゴールの認識合わせが必要です。
そのうえで、どのような手順・方法でそこまでお連れするのか、そして、顧客が正しい状態にあること(またはルートから外れてしまっていること)を確認するための指標を決め、そのデータを取得する方法を検討します。
②レポート:それらのデータを可視化する
次に、それらのデータをどのように可視化するのかを検討します。プロダクトの管理画面を使ったり、スプレッドシートにまとめたりしているケースをよくうかがいます。SFAツールやBIツールを使うケースもありますね。
③解析:レポートから支援が必要な顧客をみつけ、課題を読み取る
可視化されたレポートから、顧客の状態に変化があるかを定期的にチェックします。あるべき状態でない顧客をピックアップし、どんな課題からその状態になってしまっているかを確認していきます。
レポートを、いつ、誰が確認するかを決めておくとよいでしょう。
④意思決定:課題を解決するために、なにをすべきかを判断する
ピックアップされた顧客の課題を解消するために、どんな対応をするのかを意思決定します。
③と④をあわせて定例会議などで意思決定をしているケースをよく聞きますが、実際の運用では各担当CSMがそれぞれ独自の判断で進めていくことも多いのではないでしょうか。
⑤アクション:顧客に必要な支援を実際におこなう
意思決定したアクションを実際におこないます。
⑥バリュー:アクションを通じて顧客の課題解決や目標達成ができる
アクションした結果、顧客があるべき状態になったか(=課題が解決できたか)を確認します。
また、定期的にこのプロセスの実施内容を見直し、必要に応じて①~④の内容を改善します。
「リアクティブ」を目指すと、これができる
定常的な運用において、ここまでご紹介した「データ分析を価値に変える6つのステップ」を毎回ひとつずつ進めていく必要はありません。なぜなら、カスタマーサクセス活動で取り得ることができる定常アクションはある程度、型が決まっているからです。
そして、データ分析はアクションをするために実施すればよい。ということは、アクションが必要なタイミングをデータから導くことができればよいということがわかります。
昨年の11月に開催されたTECH CS meetupで『「リアクティブ」なカスタマーサクセスをめざそう』をテーマにしたライトニングトークをさせていただきました。
このライトニングトークではお伝えしたことは、ざっくり以下の2つです。
・カスタマーサクセスは、プロアクティブな活動が大事と言われているけど、時間的にもスキル的にもすべてに対応しようとするのは無理
・あらかじめ「どんなときに、何をするか」の対応ルールを作ればリアクティブに活動ができる(そのうえ、リアクティブに活動していても、顧客からはプロアクティブに見える)
![画像5](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12978995/picture_pc_3e79bf48965df7ee218d51887c83c2a0.png?width=1200)
そして、ここで紹介した「アクションのためのスコア作り」を通じて、
・顧客のゴールと、達成までのステップでどんな状態であるべきか
・達成までの過程で、どんなときに、どんなアクションをするか
・達成状態を測るために必要な指標は何か
を明らかにし、チームで認識合わせをしながら「データ分析を価値に変える6つのステップ」が達成できるようになります。
そのときの資料はこちらです。お時間があるときにでもご覧いただき、ぜひみなさんのチームでもお試しいただけるとうれしいです(よろしければ感想をお聞かせください!)。
ここからは余談:
HiCustomerで、どのように実現しようとしたのか?
ところでnoteを書くのは半年ぶりなのですが、今日これを書いているのは、僕がHiCustomerに入社してちょうど1年の記念日であることに気がついたからです。(おかげさまで、超充実した毎日を過ごさせていただいております!)
そして、noteを見返してみたら、1年前、入社のご挨拶でこんなことを書いていました。
HiCustomerでは、カスタマーの情報を可視化しスコアリングするために、カスタマーとのプロジェクトのライフサイクルを表す「ステージ」と、それぞれのステージの達成状態になっているかどうかを表す「ヘルススコア条件」の2軸でカスタマーの状態を可視化していきます。
(中略)
このようなフレームワークを利用し、HiCustomerのテンプレートにのっとって当てはめていけばそれぞれ自社のヘルススコアを作ることができる。さらに、スコア生成のための情報取得や可視化のための仕組みも整っている。そうなればカスタマーサクセスマネージャーは、カスタマーとの伴走にもっと時間を使えるようになるでしょう。
そんな世界ができれば、カスタマーサクセスの仕事はもっとクリエイティブなものとなり、もっと楽しくなっていくと思うのです。
その頃、当時まだβ版だったHiCustomerを、TechCrunchさんは『顧客をスコアリングするツール』と紹介してくださっていました。
これは「データ分析を価値に変える6つのステップ」に当てはめると、スコアリングレポートが作れている状態です(下図)。しかしこの状態では、解析と意思決定をしないとアクションまでたどり着けません。
![画像6](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12982363/picture_pc_63e3fd91fb704a2fe072fef372e88cec.png?width=1200)
事実、当時のβ版トライアルカスタマーさんは、スコアリングレポートをみて、その都度、詳細データを確認して(=解析)、意思決定をしていました。これは、運用上かなりの手間になってしまいます。さらに、都度レポートを自分から確認しにいくことも必要でした。
僕の決意「カスタマーサクセスマネージャーは、カスタマーとの伴走にもっと時間を使えるようにしたい」までほど遠い状態だったのです。
この課題を解決するために、あらかじめアクション条件を設定し、その状態にデータが変化したことをHiCustomerが察知したときに「どの顧客にどんなアクションをおこなうべきかを自動でアラートする機能」を用意しました。
これにより、カスタマーサクセス担当者はその通知を見てアクションをすればよい状態になりました。いきなり、アクションです。
![画像7](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/12986019/picture_pc_17cd1865e1d06108da36fb55ba6e9453.png?width=1200)
その結果どう進化できたか。さきほどご紹介したTechCrunchさんでの、HiCustomer正式版リリース時(2018年12月)のHiCustomerの紹介文を引用します。
『担当者が「今、何をするべきか」を教えてくれる便利なツール』
もう、メッチャうれしかったのを覚えています!
あらためて、僕の、2年目の決意
入社して1年、カスタマーサクセスを取り巻く環境は大きく変化しました。
やりたいことも(やらなければならないことも)どんどん増えています。手につけられていないところやご迷惑をおかけしていることもあり、申し訳なく思うこともあります。ご期待いただいていることにも変化を感じます。
それでも僕の決意は、入社を決めたときとまったく変わりません。
カスタマーサクセスマネージャーの皆さんが、カスタマーとの伴走にもっと時間を使えるようになるために。
カスタマーサクセスの仕事が、もっとクリエイティブなものとなり、もっと楽しくなっていくようになるために。
みなさまと一緒に、カスタマーサクセスのよりよいミライを創って行きたいと思っています。引き続き、ご一緒しましょう。どうぞよろしくお願いいたします!
p.s.
ときどきTwitterやっています。
ぜひご感想などお聞かせいただけるとうれしいです!
https://twitter.com/ayumut
もうひとつ p.s.
上記でご紹介した資料については、slideshareでもご覧いただけます↓
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![高橋 歩 / カスタマーサクセス](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/7197272/profile_34ef7ed8f99ea5e3b97e07b9461ba0e2.jpg?width=600&crop=1:1,smart)