髪を30cm切ったら身も心も軽やかになった気がした
学生時代、ずっと髪が短かった私はロングヘアに憧れがあった。ポニーテールにしたり、編み込みにしたり、多彩なヘアアレンジが可能だし、長い髪をなびかせて歩く人って女性らしくて素敵じゃない? バスケ部でスポーツ少女だった私はあまり女の子らしいタイプではなかったので、何かコンプレックスめいたものをどこかで感じていたのかもしれない。
そんな反動もあってか、私は大学に進学後、髪を伸ばし始めた。はじめて高めのポニーテールにした時、幾分か女性らしさが増した気がして、「こりゃ確かに男受けするな」と感心したものである(実際に効果があったかは別にして)。メイクもそうだが、髪型ってだいぶその人の印象を左右する要素だと気づく。田舎の野暮ったい学生だった私は、東京に来て、遅ればせながらおしゃれというものを髪型から学んでいった。
社会人になってもボブヘアにすることもあったが、基本的にはロングヘアを楽しんだ。だが、学生時代に比べ、社会人はとにかく忙しくて、パーマをかけたり、ヘアアレンジにチャレンジしたりなどしたくても十分にケアできる時間がとれず、だんだん悲惨な状態になった。毛先はパサパサだし、アホ毛はすごい。女性らしさを目指したくてもこれじゃ本末転倒ではないか。徐々にバッサリ切ってしまいたいと思うようになった。
私が最後にうんと髪を伸ばしたのは、2020年が最後だ。この時は腰まで髪を伸ばし、後ろ手で掴めるくらい長かった。なぜここまで伸ばしたのかというと、フォトウェディングでやりたい髪型があったからだ。
私はディズニー映画の「塔の上のラプンツェル」が大好きで、三つ編みに花を添えた髪型をいつか絶対にしたいと思っていたのだ。無事、叶えられることができて満足で、その翌週には髪をバッサリ30cmほど切った。それ以降、ずっと肩より上の長さで髪型をキープしてる。
別に、結婚を機に女性らしさを捨てたわけではない。なんとなく自分が女性らしさにずっとこだわっていたのって、誰かにとって魅力的な人間になりたいって思いがずっとあって、そのわかりやすい指標が女性らしさってだけだったんじゃないかと思う。でも髪が短くても女性らしさが損なわれるなんてこと全然なくて、自分がその髪型が好きで、自分を愛し、楽しんでいれば、人間としての魅力って高まっていくのだと感じる。そういう自分の中の間違った認識みたいなものも髪とともに削ぎ落とされたのかもしれない。
髪を短くしてからもおしゃれは相変わらず楽しい。こんなイヤリングを試してみようかなとか、フェミニンなブラウスを合わせてもかわいいなとか、おしゃれを楽しむ時間は生きる活力にもなっている。
執筆:otaki
編集:アカ ヨシロウ
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