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引っ越しをも考えた鳩襲来事件

動物好きを公言している私だが、ちょっとだけ苦手な動物がいる。ホホジロザメ、ドブネズミ、そして鳩の3種類だ。理由は単純に怖いからで、東京の街中でネズミや鳩を見つけるとものすごく警戒してしまう。ホホジロザメは街中で出会う危険性などないが、幼い頃夢の中でジョーズに食べられたことをきっかけに、写真すら見れなくなってしまった。

とりわけ私生活で、注意しなければならないのが鳩だ。鳩たちは街の至る所にいる。飛びかかってくることはないけれど、目の前で羽をバサバサされるとやっぱりちょっと怖い。

とはいえ、道端で遭遇するくらいなら少し離れたところを歩けばいい。鳩だってこちらから近づいていかなければ、いきなり飛び立つこともない。むしろ、鳩にしてみれば体の大きな人間のほうが怖いはずなのだ。

だけど、もし鳩が自分の家のベランダに現れたら……? そう、今回は筆者に引っ越しをも決意させた、1ヶ月間に渡る鳩との戦いを記そうと思う。

5月26日、鳩現る

今年の5月末のことだった。キッチンで片付けをしていた私は、突如「くるっぽー」という恐怖の声を聞いた。「これはまさかやつの……」一気に警戒心が高まる私。我が家は川沿いに面したマンションの7階で、たまに鳥がベランダに来ることはあった。だが、一度も鳩は来たことがない。

「空耳でありますように」と懇願しながらベランダのほうに歩いていくと……なんと手すり壁に鳩が止まっていたのだ!

あまりの光景に呆然。しばし目が合う鳩と私。しかもこの鳩、全然逃げない。何ならちょっと小首をかしげてこっちを見てる(おい、かわいこぶってんな)。

そしてその瞬間、私は恐ろしい事実に気が付くのである。鳩が小さな枝をくわえているのだ……!

こ、これは……! 間違いない! 巣作りの準備中だ!!!

コナン君ばりの名推理で、鳩の計画を見破る私(いや、普通にわかる)。一気に血の気が引き、ベランダに飛び出そうとすると、鳩はぴゅーっとどこかに飛んで行ってしまった。

慌てて鳩の行く末を確かめると、どうやら下の小さな公園から枯れ枝を拾っているようである。だが、自宅のベランダを見回したが、巣が作られている様子は見当たらない。

「勘違いだったのか……?」と思いながら、部屋に戻ろうとすると鳩がまたぴゅーっと飛んできた。隣のベランダに

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その時の様子がこちら。明らかに小枝、持ってるね。しかもあろうことか鳩はそのまま、降りてベランダの中に入っていったのだ

「えぇぇぇぇぇぇ~~~~!!!!!!」と心の中で叫びながら、思わず境壁から隣の家を覗く私(もはや不審者)。隣の家はベランダで家庭菜園を楽しんでいて、緑が生い茂っている。鳩は鉢が置いている小さな台の下にもぐりこんでいき、しばらくゴソゴソやっている。数秒後、台の下から出てきた鳩のくちばしにもう小枝はすっかりなかった。

いや~、これはもう現行犯。完全に

「というか、ベランダに鳩が巣をつくることなんてあるのか……?」と疑問に思い調べたら、けっこうあるあるの住宅トラブルらしい。おおよそ春から初夏にかけて繁殖期を迎えるようで、人の出入りが少ないベランダは恰好の巣作り場所なのだとか。

我が家のお隣さんのように植物を置いているベランダは隠れるところが多く、狙われやすい。反面、我が家のベランダには物がほとんどないので、巣作りしづらかったみたいだ。

しかも一度巣を作って子作りが始まると、鳥獣保護法により巣が撤去できない。しかも子育てをし終えても、お気に入りの場所として何度もやってくるようになるのだとか。

こ、怖すぎる……。

速攻で旦那にLINEすると「直接言ってもいいと思うけど、管理人から注意してもらったほうが角が立たないかも」との返答。というわけでとりあえず旦那から管理人に話してもらうことにした。

5月27日、管理人の塩対応

鳩を見かけた翌日は管理人と会えなかったため、2日後に再チャレンジ。しかし旦那が聞いてみたところ「そういうのは各ご家庭に任せてるから、対応はできません」とまさかの塩対応。

「なんでやねん……!!! 管理費払ってるんだから何とかしてよ!」と夫婦で怒り心頭。しかし、そうこうしているうちに鳩の巣作りは進んでしまう。頭を抱えながら次の対策を練る我々。やっぱり直接言うべきなのか……。

5月28日、管理人のドンに再アタック

とりあえずダメ元で別の管理人に私から話してみることに。そうしたら「対応します」と拍子抜けするくらいすんなり返答が。たぶん昨日対応してくれたやつはバイトに違いない。最初からリーダー格っぽい人に話しておけばよかった!!

一旦安心するものの、ベランダからは相変わらず鳩が飛んでくるバサバサとした羽音が聞こえてくる……。「くるっぽー」という鳴き声も聞こえる気がして、完全にノイローゼ気味な私。早く何とかしてくれ……。

6月11日、またもや出現

管理人に相談した日から、しばらく鳩を見かけない日々が続いた。「きっと隣が何か対策したんだろう」と安心するも、突然またベランダに鳩が現れ始める。

もう勘弁してくれ……。泣きそうになりながら、旦那にLINEすると「うちも何か対策しよう。鳩避けスプレー買っておくね」の返答。Amazonで見つけた鳩避けスプレー「イヤポッポ」を購入することに。

6月13日、イヤポッポを振りまく

週末、「イヤポッポ」が届いた。

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てか無駄におしゃれな容器……(無駄とか言うな)。さっそく旦那にまいてもらうことに。濃縮タイプなので水で薄めて、手すり壁に吹き付けた。

イヤポッポは鳩が嫌がる香りの天然成分が含まれているという。ただとんでもないハッカ臭で旦那の鼻が1時間くらい機能しなくなる。

6月14日、まだ来るのかよ!!

イヤポッポをまいた翌日、すっかり安心しきっていたところにまたもや鳩が!!! 私たちをあざ笑うかのように、イヤポッポをまいた手すり壁にのっている……

イヤポッポのレビューを確認すると、鳩によっては効かない場合もあるらしい。何なんだよ、イヤポッポ! 旦那にしか効いてないじゃないか!

しかもちゃっかり手すり壁にフンまでしてやがる……。怒りに震えながらフンを片付け、代用でキッチン泡ハイターを塗りたくった。

(フンはそのままにしておくと鳩が安心してしまうので、即刻片づけるのが大事だという。鳩のフンは雑菌多いので、片づける際はビニール手袋必須!)

6月20日、再イヤポッポ

キッチン泡ハイターをかけたら、鳩はしばらく見かけなかった。実は身近なところに答えがあったのか……?

とはいえイヤポッポを初めて使った日は雨が降っていたので、効力が弱まった可能性も捨てきれない。イヤポッポの可能性を信じて、今度は濃度を濃くして塗ることに。またもや旦那の鼻が死ぬ(手伝う気のない妻)。

6月21日、隣人と鳩の死闘

イヤポッポの効果か、我が家にはほとんど鳩が寄りつかなくなった。だが、隣んちのベランダには相変わらず来ているようだ。

洗濯物を干しつつ隣の様子をチラ見すると、鳩のやつ「くるっぽー♪」とご機嫌に鳴いてやがる。とその瞬間、「バァン!!!」とものすごい音がして、鳩がぴゅーっとどこかへ飛んで行った。隙間から隣のベランダを覗くと、箒をもった隣人が……。たぶん箒を使って追い払ったのだろう。

だいぶ乱暴だが、こうまでしないとまた来てしまうのかもしれない。

6月26日、鳩の戦い終焉……?

しばらく穏やかな日が続いていた。隣んちの手すり壁には、丸い容器に入ったゲル状の忌避剤が所せましと置かれている。それが効果的だったのか、隣のベランダにくる様子も見られなくなった。

「これで安心だね♪」と旦那とリビングで笑いあっていたら、またもや「くるっぽー」の鳴き声が……。空耳じゃない、いる……!!

思わず隣のベランダに目をやるが、鳩の姿はない。「違う! 向こう!」という旦那の声で反対側を見ると、鳩のつがいが隣の手すり壁のほうからぴょこぴょこ歩いてきやがった。夫婦かよー!!!

そう、実は反対の部屋もベランダ菜園を楽しんでいたのだ。まだ鳩との戦いが続くのかと眩暈がする私。思わず「引っ越し」のワードがちらついた

そして、現在。

と約1ヶ月間に渡って鳩との攻防は続いたが、結論から言うと現在はすっかり見かけなくなった。繁殖シーズンが終わったからなのか、ほかに良い巣作り場所を見つけたのかはわからない。だけど、確実に平穏な日々は戻ってきた。

鳩だって子孫を残すために、巣作りは必要なのはわかっている。でもベランダに作られてしまえば、たちまちフンだらけになってしまうし、そのフンによって人間は感染症のリスクにさらされる。鳩にはかわいそうだが、やっぱり巣作りは阻止せざるを得ない。

そして、あなどれないのは鳩の帰巣本能だ。今回巣を作られていないとはいえ、春の繫殖シーズンがくれば、鳩が戻ってくる可能性だって捨てきれない。

そう、私たちと鳩の戦いは完全に終わったわけではないのだ。来年の繫殖シーズンに向けて、また対策を練らねばなるまい……(もうとりあえず引っ越ししたい)。

執筆:otaki

編集:らいむ

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otaki
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