ゲームのようにはいかないフリーライター人生
世間では「どうぶつの森」というゲームが流行っているらしい。CMで見ると海で魚をとったり、我が家を装飾したり、なにやらほんわかした雰囲気で楽しそうだ。
でも、やってみたいとは思っても、どうにも買う勇気がない。というのも自分にはあの手のゲームは向かないとわかっているからだ。
そう、こつこつ地道に継続するゲームはまったくもって性に合わない。
とにかく飽き性・堪え性がない・面倒くさがりというすべてのダメ人間のベストスキルを標準装備している私である。
ほぼ毎日ログインする必要があるゲームは絶対にできないし、RPGなんか特にだめだ。その昔、ゲームボーイの「ポケットモンスター 緑」ではトキワの森でギブした根性なしである。
というよりひとりでするゲーム自体が苦手なのだろう。小学生時代は家にニンテンドー64の「マリオパーティ」や「マリオテニス」などのゲームがあったのだが、姉や友達がいないとあんまり遊ばなかった。
(まぁ、たぶんゲームセンスがなかったのも続けられなかった原因ではあると思う)
でも、そんな私が唯一ひとりでもハマったのが「スーパーマリオ64」だ。
さらわれたピーチ姫を助けるため、マリオがあらゆるステージをクリアしながらスターを集め、クッパと戦うゲームである。
こつこつスターを集めるのは嫌いそうな部類だが、ハマったのには裏があって、じつは攻略本があったからだ。
当時、誰が買ったか知らないがなぜか家にあり、最初はゲームをやりもしないくせに読みまくっていた。写真がいっぱいあって読み物として面白かったので、読んでいるだけでも十分だったのだ。
ただ、読むうちに「せっかくだからスターとってみるか」という気持ちになり、ゲームを買ってもらってから7年越し(確か高校3年時)にようやくハマった。攻略本を見ながら、片っ端からスターを取りまくるようになる。
攻略本にはスター取るための手順や、なんなら隠れスターのとり方みたいなのも書いてあったので、ゲームがうまくなかった私でも120個のうち107個くらいまではスターをとれたのだ。
ゲーム好きな人には理解できないかもしれないが、手順通りにゴールまで向かう作業は私にとっては快感だった。じつに自分らしいハマり方だったように思う。こらえ性のないうえにマイペースな私は、答えを探し回ってウロウロするのは無駄という考えだったのだ。
でも攻略本さえあればよほど難しいステージでない限り、本の通りにプレイすればスターが必ず取れる。
時間をロスするリスクも、ゴールまでたどり着けないリスクもそこには存在しえなかったのだ。
そういえば前職でサブチーフになってからも、上司に逐一確認を取ってから進めることが多かった。それはリスクヘッジのために正しいことだと今でも思っているが、あとでひっくり返されるのを防ぐための自己防衛方法でもあった。
だが、今フリーライターとなった身では、最適解が導き出せないことは往々にしてある。遠回りすることなんてしょっちゅうだし、効率の悪さを嘆くことも増えた。自分の使えるスキル(経験値)が乏しく、答えを出せないこともある。
そう、私は今あれだけ苦手だったRPGのごとく、周りのタスクをこなしながら地道にレベル上げをしているのだ。
「そうすれば間違いない」と太鼓判を押してくれる上司も、首が回らなくなったら助けてくれる同僚もいない。
たまに村人(同業者)に話を聞いてヒントをもらったり、先のステージに進んでいる人の話を聞いたりしてはみるものの、それが自分にとっての最適解ではなかったりするのだ。フリーランスとは手探りで本当に難しいと痛感している。
未だトキワの森をうろついているだけの雑魚レベルの私。遠回りは苦手と言っておきながら、今は少しずつ捕まえられるポケモン(案件)が増えていることに充実感を覚えていたりするから不思議だ。
人生はゲームとは違う。簡単にリセットはできないし、明確なゴールさえない。それでもまだ見ぬ最高のエンディングに向かって、ひたすら試行錯誤する。
そんな毎日も思ったほど悪くはないのかもしれない。
編集:らいむ
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