The Crown シーズン5エピ3 シドニー・ジョンソンって?
エピソード3だけ切り取って映画化できそうってくらい素敵な物語。
初登場のキャラがどれも良かったわ~。
モーモー
ドディ・アルファイド(後にダイアナと自動車事故で亡くなる)のお父さん。
エジプトで大成功しヨーロッパに進出、ハロッズデパートを買い、リッツホテルを買ってしまうという爆買長者。
この人物が好感度最高ランクの成金として描かれている。
成金的なネガティブ特徴(拝金主義的、封建的)としても描くけれど
かなり控えめに
それよりも勉強熱心で気さくでカワイくて面白い好々爺な要素が盛り盛り。
相当美化されてると思うけど、こんなん惚れてまうやろ。
シドニー・ジョンソン
そのモーモー氏が雇ったのが、バハマ生まれの執事シドニー・ジョンソン。
モハメッド・アルファイドの執事。
あまりに話としてデキすぎなので、実在人物なのかな?と検索したところ
本当に実在していました。
日本語のサイトでは少なかったのですが
海外のサイトでは珍しくお写真があるページも見つけました。
https://www.tatler.com/article/sydney-johnson-the-crown-royal-valet-mohamed-al-fayed-real-story
エピソード3の内容はほとんど本当のようで、以下、整理して書いてみました。
<事実>16歳でバハマでエドワード8世夫妻と出会う
<事実>その後30年間、エドワード8世が亡くなるまで執事として仕える
<追加事実>その後もエドワード8世妻のもとで働いていたが、ジョンソンさんの奥さんが亡くなり4人の自分の子供の面倒を見るため仕事を辞める
<事実>リッツホテルで働く
<不明>モーモーとリッツホテルで開催されたパーティで知り合う
<事実>モーモーに執事として雇われ、ヨーロッパの上流階級のしきたりなどを教える
<事実>モーモーのもとでウィンザー城の改修に多大な貢献をし、ウィンザー城改修工事の完成にとても喜ぶ
<追加事実>そのときのジョンソンさんの言葉がNYタイムスの記事に残っているそうです。「本当に天にも昇る気持ちです。その階段からウィンザー侯爵ぱりっとした白シャツを着て降りてきて『似合う?』と聞かれそうです。」
<脚色>肺かなんかを患ってモーモーに看病されて亡くなる
<新事実>死因は明らかでないが、どうやら突然死。
非常に文化的で教養があり、主人に忠義を尽くすプロ意識。
なかなか素敵な人生ですよねぇ。
ドディ・アルファイド
私のなかでダイアナの最後の恋人のドディ・アルファイドさんは
成金一家の道楽息子というイメージでしたが
The Crown ではちょっと地味でおとなしい青年として描かれてました。
彼は映画プロデューサーで「炎のランナー」をプロデュースするのですが
パパモーモーに出資してもらえるよう
映画の内容を説明するセリフが良かったですね。
「最初は皆からのけ者にされつまはじきにされた人間が、
最後には受け入れられ、仲間になる映画なんだ」
するとパパモーモーの目が輝くんですよね。
「受け入れられて仲間になるのか・・・いい映画だな。」
パパモーモーはエジプトから出てきてお金だけはあるものの
ヨーロッパの上流社会ではなかなか仲間に入れないんですよね。
そんな自分の境遇と重ね合わせたんでしょうか。
横にいたシドニー・ジョンソンも静かに期待の目を向けています。
疎外されてきた者たちの連帯
ドディがプロデュースした「炎のランナー」は見事アカデミー賞をとり
監督のスピーチで「ドディ親子に感謝」と言われます。
するとテレビで見ていたパパモーモーとジョンソンさんが
手を取り合って抱き合って喜ぶ。
でも奥さんが後ろで寝ているからそぉっと静かに喜ぶという。
このシーンは良かったです。
息子がやった、という喜びもありますが
ドディ親子が世間に受け入れられた!という嬉しさもあったんじゃないでしょうか。
それを一緒に喜ぶ、執事とはいえ同士であるジョンソンさんという構図。
いいわ~。
パパモーモーはその後も一生懸命、女王やイギリス王家に尽くすのですが
女王からはかなり冷たい仕打ちを受けます。
女王ひどいな~。
もちろんその立場もわかるんだけどさ。
The Crown では、女王の葛藤を描き共感を呼ぶエピソードがある一方で
「だからこそ、そのうえで、この人はこういうひどいことしちゃうんです」っていうマイナスエピソードをちゃんと入れてきます。
その辺が登場人物を複層的にとらえてて、面白いなぁと思います。
そんなお高く止まってる女王の代わりとして
ダイアナが颯爽とパパモーモーの隣に現れます。
ダイアナはいきなり王室の愚痴を初対面のパパモーモーにこぼします。
パパモーモーはユーモアで応戦して、二人はすっかり意気投合。
王室から疎外されてきた者同士が連帯するという。
王室という中心部は冷酷だけれども
そこから疎外された者たちは温かくお互いを受け入れているというのが
なんかジ~ンと来ましたね。
ちなみにパパモーモーは89歳で現在、ご存命のようです!