ドキュメンタリーHouse of Windsor を見た感想
イギリス王室四代の映像記録と関係者や歴史学者へのインタビューで綴ったドキュメント。NetFlixでは放送が終わってしまったのですが、今、検索したら今、You Tubeで一部が見れます。
今まで大して興味がなかったのですが、こりゃみんながイギリス王室に騒ぐ理由がわかったぞ、と興味深く見てしまいました。
慈悲なき世界・・・従兄弟が・・・
エリザベス女王のおじいさん、ジョージ5世の話です。イギリス国王であるジョージ5世の母と、ロシア皇帝ニコライ2世の母は姉妹でした。つまりジョージとニコライは従兄弟。年齢も近くしかも顔がそっくり!幼い頃、少年の頃、青年期と二人が並んだ写真があるのですが、髪型や髭のはやし方なんかも一緒で双子みたいにソックリ。仲も良くお互いにソウルメイトと呼び合っていたそうです。
しかしロシア革命が起き、ニコライは皇帝の座から退位させられます。ニッキーは仲良しの従兄弟ジョージを頼ろうとイギリスに亡命を申し出ますが、ジョージはうやむやにし、そのまま時が過ぎてロシアでニッキーは殺害されてしまいます。
もちろん当時のイギリス王室も反王室感情を刺激しては立場が危うくなってしまうため、安易に亡命を受け入れられなかったとはいえ…。うぉ~歴史。
そのニコライ2世の姪のインタビューがあります。イギリスのKENTに住んでいるそうで、簡素のアパートに住んでいてまさかロシア皇室の血筋とは思えない庶民な雰囲気。本当に諸行無常の響きありですね。
エリザベス女王のスピーチはグッとくる
これはエリザベス女王が戴冠する4年前、21歳で成人となったときの演説だったそうです。
日本でも今年、愛子様が成年皇族となるのに際して記者会見をなさってましたが、あれと同じ位置づけの公式の場におけるお披露目的なスピーチだったんですね。
このときのエリザベス女王は、初々しくありながらも、芯の強さを感じさせられます。おそらく全体像さえまだ把握できないような重責を、健気な子がしっかり受け止めようと覚悟している姿にグッとさせられました。そしてこの言葉通り、彼女は生涯を国民と国家に捧げたんですね。
チャールズ
幼い頃のチャールズ君の可愛いこと。今のジョージ君やルイ君に似ていて、金髪でクリクリした目をしています。
そんなチャールズ君の日常シーンの映像も残っています。馬車から降りようとするけれど、高くて降りれないチャールズ君。お母さんであるエリザベス女王は「Jump. Jump!」と声をかけます。そしてなんとかチャールズ君は飛ぶのです。しかし勇気をだしてジャンプに成功し着地したチャールズ君には目をくれず、ママエリザベスはさっさと歩き去ってしまいます。
ママエリザベスは、別に怒っているわけでも、冷たい感じでもなく、単に気にせず前に進んだだけのシーン。
ですが、ちょっと引っかかる。多分、私なら「よく飛べたね~」くらいの声かけはすると思います。
さらにエリザベス女王が海外訪問から帰ってきた際の映像。列車から降りるとスーツ姿の偉そうなおじさんたちが真っ先に女王を迎えます。エリザベス女王はそれににこやかに応えるのですが、その足元に小さなチャールズ君も走り寄る。おそらく女王が海外訪問に行っている間、チャールズ君はお留守番をしていてママエリザベスにはしばらく会えなかったんでしょう。
しかしここでもまたママエリザベスはチャールズ君をスルー。視界に入らないかのように要人たちと挨拶をかわし続けます。そっと近くの乳母らしきひとがチャールズ君を脇にどけます。静かに眉間にシワを寄せるチャールズ君。
あぁ。エリザベス女王にとって女王であることがなによりも優先するべき事項で、子育ては二の次、三の次だったんだなぁ~と当時の数少ない映像からでも読み取れてしまいます。子供を四人出産した時点で、子供に関する任務は全て果たしたというか。あとは乳母たちよろしく。だったんでしょうね。女王として尽くすとは、そういうことなんでしょう。
ですがチャールズ君の愛情不足感は明らかすぎる。ここにカミラさんにドはまりする理由があったんだと勝手に決めつけたくなりました。年上でどっしりとしていて優しく励ましてくれる存在が、チャールズ君には必要だったんじゃないかなぁ。
そんなチャールズ君ですが、成長して成年になった頃は結構、魅力的です。若きプリンスらしく、海で美女とイチャついたり、腰ふりふりダンサーと踊ったり、意外とやってるチャールズ君。モテてるじゃないか?と思えるオーラを画面から放っています。
しかし。そのオーラが消えていくんですよね。チャールズ君はダイアナと結婚してしばらくすると、不仲のせいなのか笑顔も減り、急速にオーラが消え、今の「オーラない王、チャールズ」になってしまいます。
冷静に振り返るとチャールズ王の人生もなかなかロマンティックで、愛した人と結婚を反対されたものの、紆余曲折の後、結局その人と結ばれ生涯の愛を貫きとおした愛の人なんです。「チャールズ王」を主語にして語ったらそれなりの物語がそこにあるはずなのに、主役はいつも他の人。
なかなか難儀な人生だなぁと思いました。