出来心の行動
どうして、人は行列が出来ていると、自分も並びたくなるのだろうか。
いま、東京に来ている。実はほとんど初めての東京、作業も兼ねてカフェ巡りをして、あとは友だちと遊びつつ、仕事している。
もうすぐ帰る日ということで、お土産がちらつく。ちょうど帰ってきた次の日に、仲の良い子と会う予定があるので、まずはその子へのお土産。他にも、お世話になっている人や行きつけのお店の人とか、いろいろな人の顔が浮かぶ。
そんなお土産探しの途中で、とあるものが浮かんだ。〝プレスバターサンド〟だ。
株式会社BAKEという会社をご存知だろうか。あのチーズタルトの会社で、いまや大人気の企業だ。いまはチーズタルトだけでなく、どら焼きや、このバターサンドを販売している。
そのプレスバターサンドの店舗が、東京駅とソラマチと、あとは池袋にある。いちばん買いやすいのは東京駅。しかし、人もいちばん多い。
けれど、自分が食べたいこともあって、東京駅に買いに行くことにした。今日は日曜日、きっと人は多い。ちょうど予定が入っていたこともあって、朝の9時前には東京駅に着くようにした。
東京駅はややこしい。東京の大きい駅だから当たり前なのだけれど、路線が多い。しかも、路線によってはかなりの距離を歩く。あの駅の往復だけで、いい運動になる。
プレスバターサンドのお店は、駅の構内にある。だから、買いたければ乗り換えの合間か、わざわざ改札に入らなければいけない。しかも、お土産屋さんがズラーっと並ぶ場所にあるので、人は多い。
朝9時に着くと、まだ人は4、5人しか並んでいなかった。
「買える!」
そう思って列の最後尾につくと、あとからまた数人並んだ。タイミング、良かった。
そうやって順番待ちをしていると、私のすぐ後ろにいた訛りのある男性2人が、「これ有名なん?」「並んでおくか」そう言っていた。知らないのに数人待つだけで買えるなんて、おじさん運が良すぎるよ。
順番待ちの数分間、おじさんの会話に耳を済ませていたけれど、どうやら人が並んでいるから気になって、買うことにしたようだ。ということは、人が並んでいなければ、おじさんは素通りしていたかもしれない。
人気なら買おう。そういう選び方もある。
人気だから買う、という選び方は、口コミ評価と似ているな、と思う。バックパッカーをしているときに気づいたのだけれど、宿泊先の口コミ評価を気にして、評価を判断基準にして宿を決めるのは、日本人くらいだった。他人の評価を見て、初めて「この宿は大丈夫だ」、と安心する。
おじさんの場合はちょっとしたミーハー心も入っているけれど、日本人らしいな、と思った。けれど、そうやって人気店になったお店はたくさんある。プレスバターサンドなんかも、SNSの訴求が上手くて、人気に火がついた、そんな気がする。(インスタグラムの写真が本当にきれいなのだ。)
ちょっとした出来心に火をつける。火の付け方で、人を簡単にミーハーにできるんだな、と感じた。
お土産用に買ったプレスバターサンド、自分用に焼きたてを買って食べたけれど、本当においしかった。バターなのに、甘すぎない。すごい。