家庭練習の手引き バンバン・バイエル1(ステップ1)
ここでは、当教室で使用している教本「バンバン・バイエル1」を進めていくにあたってのポイントをお伝えしていきます。ご家庭での練習でも役立つものだと思いますので、つまづいた時に参考にしていただければと思います。
目次のページ数のところをタップすると、その部分に飛べますので、今やっているところからみていただいて構いません。レッスン内では伝えきれないことをたっぷり書いてあります。ぜひご活用ください。
1巻の本を
P.4〜17 ステップ1
P.18〜34 ステップ2
P.35〜52 ステップ3
と分類し、ここではステップ1について書かせていただきます。
P.4 わかるかな? 音符と鍵盤の関係
音符の学習は、ト音記号第3間のドから始まります。
最近のピアノ指導法は中央のドからのスタートが主流になりますが、ト音記号に絞ることにより、楽譜の仕組みの理解がしやすく、混乱せずに学習していけます。
「ドは3階」という言葉を大切に教えています。
これは、ヘ音記号が出てきた時にも使える言葉で、ヘ音記号の「地下3階」も「ド」にあたります。楽譜を読むときの助けになる言葉ですので、呪文のように繰り返しています。
P.5 おんぷのながさ と ゆびばんごう
この表は、教本を進めていくにあたって何度も見返すページになります。
おんぷのながさ
リズム打ちの際や同時に進めているワークブックでも、長さの問題が度々出てきますので、その度にここに戻り確認してください。
このバンバンバイエルシリーズは、1巻から3巻までここに出てくる4つの音価のみで進んでいきます。8分音符の登場は次のジュニアバイエルに入ってからです。4つの音価でこんなにたくさんのレパートリーが弾けるなんて!!すごい事です。
完全に理解しなくても大丈夫です。ワークブックにも長さの違いについてのページが出てきますので、その都度ここへ戻り確認していきます。
ゆびばんごう
ピアノにおける、とても重要なポイントです。親指を1とし、小指に向かって数が増えていきます。1をド、2をレと勘違いし、左手の1は小指だと認識している子も時々いますので、ここもしっかり押さえておきましょう。
1〜3巻ではこの5本の指を自由に動かせるように徹底的に使っていきます。どの曲も、指の交差・ポジションチェンジはなく、曲の頭でセットしたポジションでその場所から動かず曲の終わりまで弾けるように書かれています。この弾き方を、「静かにした手」と呼び、「静かにした手」をマスターすることが、その後の指の交差や跳躍した弾き方が自由に行われるための基礎となります。楽譜に書かれた指番号は、しっかり守り、それぞれの指が独立して動くように練習していきます。
P.6 みぎてのれんしゅう1
いよいよ曲が始まりました。
曲と言っても「ド・レ」しか出てきません。しかし、ここで「左から右に進む」というとても重要なことを学んでいきます。一つ一つの音符に指を添え、一緒に歌いながら「ド・レ・ド・ド・・・」と弾き進めてあげてください。比較的動きやすい親指と人差し指ですので、ゆっくり進めれば3歳のお子さんでもしっかりできます。難しい場合は、鍵盤に赤・黄色のシールを貼ったり、爪にマジックで赤・黄色と印をつけてあげると助けになると思います。
なるべく均等な速さで1段弾き切ることを目標に、1日2.3回で構わないので練習して欲しいところです。声に出し「歌う」というのも大切なポイント。「歌えれば弾ける」ので、今日は弾きたくないかも…という時は、楽譜に指を添え、目で追いながら「歌う」だけでもやってみてください。
P.7 みぎてのれんしゅう2
「ドレミ」と音が3つに増えました。小さな変化ですが、大きな変化です。2番3番の指を使う時に、指の力のない小さなお子さんは、指がペシャンコになってしまうという現象がよくあります。昔は「卵を握るように」とか「手を丸く」とか指導されていましたが、最近のおもちゃでとても良いものがあり、教室ではそれを活用しています。
プッシュポップというおもちゃ。
私が子供の頃にはなかったものです。プチプチ押す感覚が楽しくて、大人もハマってしまうこのおもちゃ。ピアノの指の使い方習得にはとっても役立ちます。指がまっすぐだとプチプチを押すことができず、押そうと思った場合、関節がしっかり機能します。遊びが入ってきたようで、気分転換にもなり、楽しいのでちょっと教本が進んだ時にも、指の体操として使っています。「プッシュポップを押すように」というと、指先までの関節はしっかり機能し、手首もちょうど良い形になります。
しかし、何事も寝て起きたら元に戻っているもの。
すぐにできなくても大丈夫。繰り返し繰り返しやっていくうちに、自然にできるようになります。
P.8 リズムれんしゅう1
初めて出てくるリズム課題!
音符の羅列にびっくりされたかと思います。
ここでの目標は、「楽譜は左から右に読むこと」「先生が指で追った音符に合わせて、なんとなくリズムを叩くこと」を感じてもらうことです。
リズム譜を見て、一人でリズム通りに叩かなくては!なんて思わなくて大丈夫。
手拍子やお家にある楽器で、サラーっと練習してみてください。
P.9 みぎてのれんしゅう3
いよいよ音符の登場です。
巻末についている音符カードを利用して、ド・レ・ミの違いを認識させてから行います。「音符カードの使い方」はまた別ページにまとめます。
左側のリズム課題同様、先生(保護者の方)が音符を一つずつ指で追いながら、隣で弾いてあげると良いでしょう。練習のポイントは、弾き始めたら、3段目まで淡々と弾くこと。1段目が終わったら、「せーの」などの掛け声で2段目に突入。1ページを1セットで1日数回ずつ弾いてください。
目標は、基本のビートを崩さず、最後まで弾き切ること。
基本ビートは「♩=80」くらいが良いでしょう。
P.10 みぎてのれんしゅう4
ドレミの3音を使った練習曲です。
概ね5歳以上の子は、すんなり音の高さは認識できますが、それより小さい子の場合、巻末のカードで、ドレミをは認識できても、譜面になると分からなくなる子が多いです。その場合は、音符に色を付けて弾かせてあげてください。これ以降、2巻の途中あたりまで、ずっとこの音域を弾いていきますので、そのうち音符の並びを理解し、色なしでもできるようになります。色がついていた方がやる気になるなら、付けてあげて良いのです。
目標は、先ほどの課題と同様、基本ビートを崩さず弾き切ることですが、今回は、音が変わるので、なかなか難しいです。
保護者の方が弾いて「歌う」練習と、音符の高さを読みながら自分で「弾く」練習を両方行うとベストです。口でリズム通り歌えていれば、自分で弾くときもその速さに追いつけるようになります。
P.11 めりーさんのひつじ
初めて弾くレパートリーの1曲です。
弾けると楽しいので、P.10の前にこちらを弾くことが多いです。少し時間をかけてでも、弾きこなせるようになりたい1曲。
音域は「ドレミ」の範囲、リズムも付点を省いた形になっています。弾ける子は付点のリズムにしても、4小節目をミソソにしても構いません。この曲については、みんな歌を知っているため、色で音を塗らなくてもできることが多いですが、色の助けが必要な場合は、塗ってもらって大丈夫です。
目標は、「暗譜で弾くこと」「伴奏に合わせて弾くこと」。
この曲から、伴奏譜が楽譜の下の部分に載ってきます。
保護者の方で、昔ピアノをされていたという方は、ぜひここを練習してください。
親が練習をしている姿を見て、寄ってこない子供はいません。「ママ、ここ弾くから〇〇ちゃんこれ弾いて」とぜひ一緒に練習してください。「弾き方を知りたいけど分からない」という場合は、レッスン中にぜひ聞いてください。
P.12 みぎてのれんしゅう5
今度は4番指で弾くファまで出てきます。
4番指は動かしにくい指なので、小さい子はなかなか苦戦します。
このような色のついた課題(以下色課題と呼ぶ)が出てきた時は、
①指で追いながら読む
②ゆっくり弾く
③なるべく一定のテンポで弾く
を目標に取り組んでみてください。
テキストの上に4つイラストが書いてありますので、4回を1セットに毎日コツコツやって欲しいところです。かき氷の上にフルーツをのせる、スプーンを書く…など自由に練習した証拠を書き足してください。
テキストは、先生のものではなく、皆さんのものです。
「こんなふうに練習したよ!」「ここを頑張ったよ!」とテキストに書き込みが入ってレッスンに持ってきてもらうと、先生はとっても嬉しいものです。
ぜひ、自由に使ってください。
また、それぞれの指が鍵盤上に残ってしまい、指の独立性がない場合は、プッシュポップで2・3・4の指で押す練習を気分転換に入れると良いでしょう。「次の指に交代・交代」と声をかけると指が上がるようになっていきます。
できなくても、焦らず焦らずです。
気分の乗らない日は、パパ・ママが練習してください。
P.13 みぎてのれんしゅう6
これは、ファまでの練習曲です。
まずはカードで音符の高さの確認、楽譜で音符読み、難しければ色塗り。色塗りは、なければない方が良いですので、分かるところは無しで、難しいところは塗って助けてもらう、など使い分けていただいて大丈夫です。
1段目の課題は、音が隣に進むので比較的弾きやすいですが、3段目の課題になると、一つ飛ばしで弾かなければならないので、弾くのも読むのもなかなか難しいです。色の助けがあると、弾きやすくなります。
このような、色課題の次の課題(以下楽譜課題)は、基本ビート(♩=80くらい)を崩さず、最後まで弾き切ると理想的です。
教室で初めてやる時は、「①読む ②歌う ③難しいところに色を塗る ④弾く」という段階のところまでできて、宿題に出しています。
家での練習は、「①読む ②歌う ③弾く ④弾く ⑤弾く」の1セットが理想でしょう。「弾く」の部分は、ぜひ一緒にピアノの横に座って、楽譜の音符を左手で追いながら、右手は一緒に弾いてあげてください。
多分、この練習は1日5分か10分でできます。このような練習を1週間繰り返してきていただけたら、一定のビートをキープしながら弾けるようになっています。
小さい子供にメトロノームのビートに合わせるようにするのは、なかなか難しい事なので、教室では先生がコードで伴奏づけをして、一緒に弾くようにしています。先生が楽譜を指で追わなくても、自分で目で楽譜を追えて、先生の伴奏に合わせて弾けたら120点満点です。
ただ、これは理想的な話…。
現実はそう簡単にはいかないものです。その場合、1段ずつ宿題に出す場合もあります。一定のビートをキープして弾けない場合もあります。練習できない日が続いてしまうこともあります。それでも、毎週毎週スモールステップをクリアしていくことで、喜びと成長につながっていきますので、宿題に出した翌週、お教室で目標回数弾けたら花丸にするようにしています。
大丈夫です。何かのタイミングで全ての情報がパーッとつながって、そうゆうことか!と分かる時がきます。それぞれのスピードで、焦らずゆっくり進みましょう。
P.14 かえるのうた
みんな大好き「かえるのうた」!
P.13よりもこちらの方が単純な音の作りなので、こちらから進めることが多いです。
ドからファまでの音域で弾いているので、「きこえてくるよ」のところも「ドレミファミレド」という音程になっています。高い音に変更したい場合はしてもらって大丈夫ですが、ほとんどの子の場合、気にせず「ドレミファミレド」のまま弾いている傾向があります。
下の伴奏部分に「ミファソラソファミ」をハモる部分が入ってきますので、一緒に弾いてあげると曲の深みが増します。
この曲は、ぜひ歌いながら弾いてください。
P.15 みぎてのれんしゅう7
これは色課題です。
3・4・5の指を中心に使うので、動きとしてはかなり難しいです。
色課題ですので、①指で追いながら読む ②ゆっくり弾く ③なるべく一定のテンポで弾く を目標に頑張りましょう。
これまで進めてきてお分かりかと思いますが、色課題は、新しい音が出てきた時に登場します。色課題と楽譜課題は、このテキストを編集された遠藤蓉子先生のオリジナルの課題で、本来のバイエルにはないものになります。バイエルにも右手だけ、左手だけの練習部分はありますが、単調であまり面白いものではないため、遠藤先生が、小さい子供にも分かりやすいようにオリジナルで入れたのだと思います。
この部分が、「よく考えられてできているなぁ」テキストを使うたびに思います。順次進行(隣の音へ行く動き)と跳躍進行(一つ跳び・二つ飛びと離れた音へ行く動き)が織り交ぜられており、指の動きの学びになります。
色がついていることにより、新しい音符が出てきても、抵抗なく「やってみよう」という気持ちにさせてくれます。
P.16 みぎてのれんしゅう8
楽譜課題です。
色課題に比べて、楽譜を読まなくてはならないので、大変ですが、指の動きは弾きやすいものになっています。「p.13 みぎてのれんしゅう6」に示した練習法で取り組んでみてください。
目標は、「宿題に出した次の週に先生と連弾で弾けるようにすること」です。連弾で弾けるということは、「メロディーが頭に浮かんでいる」「自分の目で音符を追える」「音の長さがわかっている」ということです。これができるのは結構すごいことです。
P.17 ちゅうりっぷ
この1巻のテキストの大きく分けると3ステップになっているのですが、その1ステップ目の集大成の曲です。誰もが知っている「ちゅうりっぷ」。この曲を最初から最後まで全部弾きます。立派なレパートリーです。3段目の「どのはなみても」のところだけ、音程がハモリパートになっていますが、ここは伴奏が下でメロディーを補う形になっています。ぜひパパ・ママ、この部分だけでも弾いてあげてください。
この曲の目標は、暗譜で弾けるようになること。
暗譜で弾けるということは、メロディも音符も全て頭に入っているということ。イメージしたものを音で再現できるということ。これってすごいことです。
いつもの宿題よりも少し時間をかけて、曲としてちゃんと聞こえるように仕上げていきます。
ステップ1 まとめ
長々と書いてきましたが、自分がいかにレッスンで思っていることを伝えきれていないかを実感する時間でした。
ピアノは、家での復習をどう行うかで伸びが全然変わってくる習い事です。そして、小さい子は「一人でやりなさい」と言っても99%の子は一人で取り組むわけがありません。どうしてもパパ・ママの働きかけが必要なのです。しかし、小さい時にその習慣を身につけさえすれば、年長さんごろには自分でピアノに向かうようになります。小学校2年生ごろには、親御さんには弾けないレベルの曲を弾きこなすようになります。
始めた、今の段階が、結構大事です。
毎日ピアノに向かわせるの、本当に大変だと思いますが、「パパが練習しよー!」「ママのパート練習しようー!」などと言って、パパ・ママがピアノに向い、ちょっとでも、ピアノに近寄らせてあげてください。こ家庭でのサポート、よろしくお願いいたします。
長くなりましたので、ステップ2からは別ページにまとめます。