練習の可視化
ピアノの練習は目に見えないものである。
そして成果もなかなかわかりづらい。
特に小さな子どもたちにとって、ピアノの前に座ること、楽譜を開くこと、楽譜を1段弾くこと。これは一つ一つが本当に高い壁だ。
親「ピアノやろうよ」
子「やだ、今遊んでるから」
親「それが終わったらやろうね」
子「うーん」気のない返事
親「終わったからやろう!1回でいいから弾いてみよう」
子「やだ」
きっとこんな会話がいろんなお家で繰り広げられているのかな?と思う。
最近も何人かのお母様からご相談を受けた。
こんな時、どうしたら良いのだろうか。
おすすめしたいのが、やったことを可視化する。
目にみえる形にすることだ。
1回弾いたら棒を1本描く。
5回弾けたら星ができる。
ただ回数を弾くだけでは良い練習とは言えない?
そうなのかもしれない。
どんな音楽にしたいか、考えて弾く。美しく弾く。
そんな風にできれば良いのだが、ピアノを始めたばかりの子にそれを求めるのは、本当に難しい。
そういう子には、1回やったという事実を目にみえる形で残してもらいたい。
1回1回の質は問わなくて大丈夫。
何を問いかけても「やだ」「やりたくない」の時は、本人にやらせなくても大丈夫。
「ママが弾くから聞いててね」
とママが弾きながらドレミを歌うだけで十分。
そんな日は
「ママが弾いた分」とメモを残して☆印を付けておく。
「今日もママが弾くね」
「間違ってたら教えてね」
などと言って、わざと最後の音を間違えたりする。
すると「あれ?今の変じゃない?」などと指摘してきたりもする。
遊びに集中して弾いていなくても、耳はママの弾くピアノに向いていて、実は聞いているのだ。
ピアノの先生は、レッスンに来て、楽譜を見ただけで、その子が1週間ピアノに触れたかどうかがだいたいわかる。書き込みなどなくても、練習している子の楽譜は宿題箇所を開くとしっかりと折り癖がついており、楽譜がスッと開く。楽譜を開いていない子はパタンと閉じてしまう。
「お家だとなかなか練習しないんです」というご家庭。
ぜひ、ピアノの譜面台の上に宿題ページを広げて置いて、めくれないようにクリップでとめ、1日5回ずつ親御さんが弾いてそれを可視化していく!というのを試していただきたい。
お子さんも弾いた日は、「〇〇ちゃんが弾いた分」とキラキラペンか何かで印を付ける。練習が終わっても、ページはそのまま、片づけなくてOK。
また明日の同じ時間にパパかママが弾く。
当教室で使用している教本には、かわいい挿絵がたくさん書いてある。編集された遠藤蓉子先生がどんな意図でそこに挿絵を入れたのかは、伺ってみないと真相はわからないが、この絵が書いてあることが、この教本が好きな理由の1つだ。
簡単な課題には数個の、難しい曲にはたくさんの絵が書いてあることが多い。
1回弾けたら、1箇所塗り絵をする。
やったということの積み重ねがいつか一人で弾けるようになる未来へと繋がっていく。
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