京極 夏彦著『今昔百鬼拾遺 鬼』

京極堂シリーズは、その厚さもさることながら、言葉の織り成す巧みな綾も相まって、いつも真剣勝負を挑まれているような心持ちになる。気軽に読めるなどとは到底言えない作品ばかりだ。
今回は、京極堂本人ではなく、その妹中禅寺敦子と連続猟奇殺人事件に巻き込まれた女学生呉美由紀との活躍を描いた作品であり、気軽に読めるボリュームのスピンオフ的な作品である。当然、京極堂や奇想天外な探偵や、陰気な小説家は出てこない。
要所要所に、兄の存在をちらつかせはするものの、雑誌記者と言う職業柄から来る綿密な取材とそれに基づく推理が真相に迫っていく様は、言葉を武器にする兄とは違うアプローチで事件の真相に迫っていく。
やはり、京極作品のこの登場人物たちは、それぞれが枠に納まらないほど個性が豊かであるがために、こう言ったスピンオフ的な作品が生まれるのであろうし、また、誰が主人公であっても、遜色なく楽しめる作品に仕上がるのだろうと思う。
肝心な内容については、ネタバレになるので詳しくは触れられないが、
「え、そんな…それは、迚も恐い」
と思った。

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