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狂犬病予防法(昭和28年改正)/ 第二条改正部分

狂犬病予防法が昭和25年に制定されて、初めての改正が昭和28年に行われました。その時の条文を読んでいます。

今回は、その中の第二条改正部分。
まず、その部分を引用います。


法律第二百十三号(昭二八・八・一五)
◎地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律
(狂犬病予防法の一部改正)
第三十九条 狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号)の一部を次のように改正する。

  第二条に次の一項を加える。
 2 都道府県知事は、当該都道府県内の地域について、前項但書の規定によりこの法律の一部を準用する必要があると認めるときは、厚生省令の定めるところにより、その旨を厚生大臣に報告しなければならない。

引用元
地方自治法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理に関する法律 @ 衆議院

今まである条文に「加える」のですから簡単です。
改正前(加える前)の第二条をみてみましょう。

法律第二百四十七号(昭二五・八・二六)
 ◎狂犬病予防法

  第一章 総則
 (適用範囲)
第二条 この法律は、動物の狂犬病のうち、犬の狂犬病に限りこれを適用する。但し、厚生大臣は、家畜伝染病予防法(大正十一年法律第二十九号)第一条第一項に掲げる家畜以外の動物について狂犬病が発生して公衆衛生に重大な影響があると認めるときは、動物の種類、期間及び地域を指定してこの法律の一部を準用することができる。この場合において、その期間は、一年をこえることができない。

引用元
法律第二百四十七号(昭二五・八・二六)◎狂犬病予防法 @ 衆議院

この下に先ほど引用した部分が第二項として加わります。
昭和25年制定時の条文(第一項のみ)を読むと、厚生大臣が日本中を監視して狂犬病が発生したら対応するように読めます。
それが昭和28年の改正で、都道府県知事が「私の所で発生しました!」と厚生大臣に報告することにより、厚生大臣が動く形になったように見えます。

しかし昭和25年に狂犬予防法が制定され、その直後に制定された狂犬予防法施行規則(=厚生省令)の第一条以下のようになっています。


厚生省令第五十二号
 狂犬病予防法施行規則を次のように定める。
 昭和二十五年九月二十二日
        厚生大臣 黒川 武雄
     狂犬病予防法施行規則

 (準用のための報告)
第一条 都道府県知事は、当該都道府県内において狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号。以下「法」という。)第二条但書に規定する動物について狂犬病が発生し、同条但書の規定に基いて法の一部を準用する必要があると認めるときは、動物の種類及び狂犬病の発生の状況を厚生大臣に報告しなければならない。

(引用元)
官報 1950年09月22日 第7111号 313,314,315。
国立国会図書館デジタルコレクションでPDF化された2ページ。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2963657/1/1
https://dl.ndl.go.jp/pid/2963657/1/2

昭和25年に制定された狂犬予防法施行規則で既に定められていました。
しかし当時の法律だけを読むとそれが分かりません。
それを分かるようにしたのが昭和28年の改正のようです。

つまり実質的な変更は何もない。

但し、法律に「第二条・第二項」が出来「厚生省令の定めるところにより」と書かれるようになったので、狂犬予防法施行規則(厚生省令)もそれを受ける形にしなければなりません。なので、狂犬予防法施行規則も改正されています。
少し先になりますが、そちらについても改めて取り上げます。

こうやって戦後に法律が整備されていったみたいです。

ここまで。

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