
狂犬病予防法(昭和25年成立時)の理解のために(目次)
今の「ではなく」昭和25年にはじめて狂犬病予防法が成立した時のこの法律について、私なりの理解を書いていきます。「解説していきます」と書きたいところですが、独学なので間違えもあると思います。間違え等にお気づきの方はお知らせいただければ幸いです。
成立時のこの法律は以下のリンクから入手できます。
国立公文書館デジタルアーカイブ
狂犬病予防法・御署名原本・昭和二十五年・法律第二四七号
今回は「目次」
全体を把握するために目次を示して説明します。
上記リンクから原本を見れば分かりますが、手書き部分もあれば、昔の文字の箇所もあります。
昔の文字の部分は今の文字に変えます。
例)條 → 条
上記原本の画像から手入力した目次部分だけをこちらに書きます。
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第一章 総則(第一条 ― 第三条)
第二章 通常措置(第四条 ― 第七条)
第三章 狂犬病発生時の措置(第八条 ― 第十九条)
第四章 補則(第二十条 ― 第二十五条)
第五章 罰則(第二十六条・第二十七条)
附則
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法律に馴染みのない方は「なんのことやら」とお感じになると思うので以下、簡単に説明
第一章 総則
・この法律の「目的」が書かれていて、続いて「基本的に犬の狂犬病について適用する」ことが書かれています。
この法律成立時以前も狂犬病対策は行われていますが、それは家畜全般の病気の法律だったり各都道府県の条例だったりで行われていたものでした。
・「予防員」について書かれています。ここだけ読むと、わざわざ職員のことなんて書かなくてもと思うのですが、この法律を読み進めていくと、ワクチンの質がよくなかった時代なので命がけの仕事であることが分かり、特別な位置付けとすることが理解できます。
第二章 通常措置
狂犬病が発生していない時に行う事柄について書かれています。
具体的には「登録」「予防注射」「抑留」「輸出入検疫」。
法律用語としての抑留をネット検索したら人間の場合の抑留がこちらにありました。「一時的な」がキーワードの様です。
第三章 狂犬病発生時の措置
狂犬病が発生した時の手続きなどと、狂犬病に罹った(疑いを含む)犬をどうするか、その地域の扱いをどうするか、などが書かれています。
第四章 補則
現場のことは「予防員」が行うことが多いようですが、周囲の協力体制について書かれています。
飼い主が負担すべき費用についても書かれています。
第五章 罰則
五万円以下と三万円以下の罰金があります。昭和二十五年当時としては高額だと思いますが、人の命に関わる問題なので、これくらいが妥当なのかもしれません(現在の法律では、三十万円以下と二十万円以下)。
一般的な飼い主に関係しそうなのは(今と変わらず)「登録しない」「鑑札着けない」「予防注射を受けさせない」。これらは三万円以下の罰金になっていました。
参考までに昭和二十五年の物価はどんな感じだったのだろう、と検索をしてみた結果、こんな Yahoo 知恵袋 がありました。一万円が80万円!、これは信じがたいですね。
こちらのサイト(昭和の年表|昭和館)で昭和25年の箇所にいくと「サラリーマンの平均月収 13,238円」とありますのでその倍以上であることは確かのようです。
附則
公布や施行、それまでの期間の取り扱いと、今まで狂犬病を扱ってきた家畜伝染病予防法との関係が書かれているのですが、戦後の(占領下で作り直された)家畜伝染病予防法は昭和26年(狂犬病予防法が成立した翌年)に(改正ではなく)成立しているので(後から読み返すと)この部分はあまり意味のないものになります。
今日はここまで
目次を簡単に説明しました。
とても簡単にまとめると
・第一章 こんな法律だよ
・第二章 狂犬病が発生していなくてもこんなことをしましょう
・第三章 発生したらこうやって対応します
・第四章 違反したら高額な罰則がある
・附則 スタート時のこと、今迄の法律(家畜伝染病予防法)との兼ね合い
こんな感じだと思います。
次回からは、第一条から順に私なりの理解を書いてゆきます。
法律的な書き方・言いまわし・単語などについても、出てきた度に説明する予定。なので、なかなか進まないと思いますが、誰でも理解できるように書くよう心掛けます。
この連載の最終目的は現在の身近な動物との暮らしに付いなので、現在の法律の説明をすることもあります。
ご理解の上、読み進めていただければ嬉しいです。