狂犬病予防法(昭和25年成立時)/ 第三章 狂犬病発生時の措置(検診及び予防注射)第十三条
今のではなく、昭和25年に出来た時の狂犬病予防法を読み続けています。
飼い主と知っておくべきことは「狂犬病発生時には犬の一斉検診や臨時の予防注射があるよ」程度のこと。難しいことはないと思います。
(※條を条に直したり、当時の文字と違う書き方をしています)
概要
狂犬病が発生し、蔓延の防止や撲滅のために必要があれば、区間・区域を定めて、予防員に犬の一斉検診や臨時の予防注射を行わせることがある。
こんな感じだと思います。
ふと「必要がない場合」があるのか?、と考えた。海外から入ってきた動物が検疫所など外部と接触がない場所で、狂犬病であったと確認された場合などかな、と考えました。
また、(届出義務)第八条で紹介した以下の資料のⅤ.狂犬病発症犬等との接触犬への対応(目次上=ページヘッダーに記されているページ数は21ページ、PDFの24ページ)にあるように感染経路が判明し、限定できると判断すれば「必要がない場合」になるのでしょう。
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狂犬病対応ガイドライン2013
-日本国内において狂犬病を発症した犬が認められた場合の危機管理対応-(狂犬病対応ガイドライン2001 追補版)
@ 厚生労働省
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※以下、狂犬病対応の現状に興味がある方だけお読みください※
アメリカやカナダに於いて
今の日本では長い間、国内感染がないので狂犬病の脅威が実感できません。しかし世界の中の日本としてみれば、狂犬病の脅威はあると考えてもよさそうです。
もし日本で狂犬病の感染が確認された場合のことを考えて、狂犬病臨床研究会という団体があります。
この団体のサイト内に「世界の狂犬病情報」というページ(ブログ)がある。その中に以下のページがある。
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2024-02-10
狂犬病(46):北米(カナダ、アメリカ合衆国)子ネコ、ネコ、イヌ、コウモリ、ヒトへの曝露
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読み難い部分もありますが、実際に狂犬病の動物が確認された時の対応がどのようなものかは理解できると思います。たぶん「なんと原始的な!」と感じることでしょう。人間は狂犬病に対してこの程度の力しか持っていないのです。
やることは、暴露の可能性のある動物や人を特定し対応する。その動物が人間の管理下にない場合、接触しないように呼び掛ける。
記事中「feral cats」を「野良猫」としていいますが「ノネコ」とするべきではないかと思ったりもします。
また、狂犬病検査で陽性反応を示したのは「a feline」となっており、これがネコなのかネコ科の他の動物なのか私には判断つきませんでした。
以下に一文を引用する。
「オツェゴ郡」はニューヨーク州です。日本語では「オチゴ郡」と表記されることがある地名です。
同じページにネブラスカ州、ワシントン州、ミシガン州の記事もあります。全て同時期のものです。中にはヒトが曝露した記事もありますが曝露後予防(PEP)が行われているので、ヒトへの感染があったかは不明。
他の感染症と違い感染の確認を待つことが出来ないので、曝露(感染の可能性)があれば処置(PEP)を行います。その費用のことも書かれています。
日本における感染症の調査・研究の現状
今の日本は欧米の先進国と呼ばれる国々と違い、自然科学の重要性に対する認識が薄いと感じることがあります。人間、家畜、野生動物、全ての動物の感染症をリアルタイムで調査・研究する体制に於いてもです。
上記の記事にあるように、また台湾であったように、人里に出てきた野生動物から狂犬病ウィルスが発見される可能性もあるのではないかと考えています。
また、人里におりてくる野生動物への害についても警鐘を鳴らしている専門家もいます。
感染拡大前に出来るだけ少ない代償で終息できるように、調査・研究が活発になることを祈っています。
ここまで