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後見人日記〜心理職と地域をつなげ〜

日中、事務所の中が暑くなってきた。デスクワークではもはやジャケットを着ていられない。ので、Tシャツ一枚で頑張ってます。上の写真は、直島に行った後、つい読みたくなって図書館で借りた本。アートと地域の相互作用と課題について考察した書籍。福祉的地域づくりの書籍とは違ったものが得られるかと思い、読んでみることにした。感想は後日。

さて、さまざまな障害をもつ方々の支援をさせていただくなかで、本人の特性理解が難しいケースもある。幼少期より診断を受け、定期的通院や福祉サービスを利用していた方であれば情報が蓄積されており、後見人としての支援開始も問題なくおこなえる。
しかし、幼少期からさまざまな理由で医療機関での診断を受けていなかったり、サービス利用に結び付いていない方もいる。

後見人就任後、福祉サービスの支援を組み入れつつ対応することになるのだが、その際はアセスメントを行うにしても情報が限られ、サービスを導入しつつ本人への理解を深めていく。つまりトライアンドエラーということになりがち。コミュニケーションの方法も手探りだったり、あまりに手探り感がすぎてしまうと適切な支援まで時間もかかり、本人も負担だろうなと申し訳なく思う。在宅生活想定で24時間つきっきりで生活の様子を見れるわけでもない。外来や訪問診療で医療に結びついている方でも、専門医であっても接する時間が短いと、本人理解が追いつかず適切な対応についてのアドバイスは難しいみたいだ。

つくづく思うのだが、心理士が行う心理テストを用いての分析は、対応の参考になる。例えば、同時処理が得意なのか、継時処理が得意なのか、自己肯定感の低下がみられるのかなど、本人と関わる上で科学的な根拠に基づいた情報を得ることができる。しかし、入院した場合は心理分析をしていただけることがあるが、心理分析お願いしますと、地域の支援者から依頼することはないし、本人宅に出向いて分析していただけることはない。子どもの場合はまだしも、成人の場合はそもそもあまり馴染みがない。勘と経験で手探りでアセスメントするよりも何倍も有意義で、本人への負担も少ないと思うのだが。

在宅で長年暮らしてきた40歳代Aさんの場合、10代の頃に精神科に受診したものの、発達障害、自閉スペクトラムという疾患が今ほど一般的でなかったためか診断がつかず現在に至る。あきらかに自閉傾向で、コミュニケーションが難しく、長年人と話していないためか、話しかけるだけで興奮して会話にならない。往診の精神科医でも、本人の特性はだいたいわかっても、どう接したらよいのかわからず、わたしたち福祉関係者は、相当な時間をかけて手探りで関係性構築を目指した。
本人が納得して一時的に入院(任意入院)してわかったことは、ある程度ルールの中で過ごしたほうが落ち着くこと、コミュニケーションは特に書いて示さずとも、多くの情報でなければ理解できていることなど。具体的な心理テストの結果や分析の文書はみていないが、心理士の分析だということで、精神科医の口から説明があった。

公認心理士が国家資格になり数年。その地位は病院内で医師とセットという扱いにみえるが、公認心理士の業務は医師の指示は必須ではない。上でも述べたが、心理士に直接、業務の依頼ができてもよいのではないかと思う。

カウンセリング文化が根付いていない日本は、まだまだ市民権が得られていないように感じる。理学療法士や作業療法士が行う機能訓練は、例えば高齢者であれば介護保険制度を通じてサービス利用ができ、日常生活上のアドバイスも得ることができる。しかし心理士にはそのような仕組みがない。これは非常に勿体無い。今後、障害福祉サービスでも相談支援専門員が計画を作成する時点(アセスメント時点)のみでもよいので、心理士の分析が点数化されて報酬が得られるようになることを期待したい。つまり、心理士と地域で暮らすクライエントや福祉関係者とのつながりができないものか。あくまで個人的な意見だが。

勝手な意見を述べてきたが、私はこの分野も勉強不足。心理士の現状や連携の可能性について、今後も考察していきたい。


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