ゼロコ ギンゴウカフェライブ 【2022.9.3】
動いた瞬間
「ゼロコってなんなの?」
マリさんのひとことがすべての始まりでした。
ご縁というのはいつだって不思議なもので、繋がりに繋がり、とんとんと進む。
いつだったかギンゴウカフェを訪れた時に店主のマリさんからときわ座とのご縁を聞かれた。
ゼロコを初めて観たのがときわ座での『ぐんを抜いた脱力』だったこと、そこでときわ座を知りギンゴウカフェに至ったこと。そもそもの、私がぐりさんの大道芸と出逢ったところからの経緯を、順を追ってお話ししました。
こう文字にしてしまうととても淡白なのですが、ここには細かな偶然や縁、タイミングと条件がいくつも存在していて。個人情報もあるのでここでは少し控えます。
ゼロコのこんなところが大好きで、あんなところが大好きだと熱弁する私の話をマリさんが興味深げに聞いてくださり。うんうんと優しく相槌を打って真剣に耳を傾けてくださるので、話はいつか訪れた宇都宮でのオスピタカフェライブのことにまで及んだ。このカフェライブが本当に良かったとお話ししていると、マリさんの目の色が変わる。
「カフェライブって何!?」
「どんなことするの?」
「カフェに呼べるの?」
マリさんからの矢継ぎ早の質問にひとつひとつ答えていく。もちろん分からないこともたくさんあるのでそこは正直に。…
!!!
決定的な瞬間が訪れる。
マリさんと私、同じことを思った。ふたりの脳裏には未だ見ぬ未来の、ゼロコによるギンゴウカフェライブがはっきりと浮かんだ。
無言で顔を見合わせ目を輝かせたこの瞬間を私は一生忘れない。
カフェライブまでの道のり
──時が少し過ぎた2021年の11月のこと、マリさんとはいつもゼロコのこと以外にもお野菜やお料理やその他にもたくさんの日常のお話をするのですが、この日もやっぱりゼロコの話題に。You Tubeを視てくださったとのこと。まずはゼロコがどんなことをする人たちなのか実際に観てみたいと仰ってくださり、ちょうど少し先の12月に町屋で行われる予定のゼロコの舞台『Teatime』をお勧めした。
その後にも、ぐりさんがゲストでご出演する金子しんぺい劇場にもお誘いした。こちらはカフェでの催しとあり、カフェ内でのパフォーマンスがどのような感じなのか、雰囲気を体感することでよりイメージしやすくなるのではないかと思ったから。
そしてこれがまためちゃくちゃ楽しいカフェライブで。
後にまたギンゴウカフェを訪れた際に、マリさんと金子しんぺい劇場の話で盛り上がったことは言うまでもない。
しんぺい劇場は確実にギンゴウカフェライブへ近づく一歩と力になった。
「私、ゼロコ呼ぶね!」
「絶対呼ぶ!」
力強いマリさんの言葉。嬉しさに高揚し、うるうるする私。
もしも叶ったなら、その時は絶対に全力でお手伝いすると誓った。
ときを経て2022年4月のとある日。
なんと!ゼロコが!!カフェを見に瀬谷へ!!!
私はこの日はお仕事だったのですが、1日中ふわふわ。もちろん仕事はきちんとこなしましたが。
お仕事帰りの空を眺めながら、ゼロコにカフェを気に入っていただけていたら嬉しいな、カフェライブのお話が良い方向に進むといいな、と願った。
マリさんの作るごはんとシフォンケーキも美味しいからぜひ召し上がってほしいなぁ、とも。
決心と着手
マリさんからカフェでのゼロコのご様子を伺い、カフェライブが決まりそうな嬉しい予感しかせず、そうなれば私も思いや考えを少しずつ形に変えていく準備や作業に入らないとと心を固めた。理想もあった。
みんなに喜んでもらえるものはなにか。一緒に楽しめるものはなにか。ゼロコにも集っていただいたお客様にも双方に驚いてもらえるもの。
あたたかな時間と場所にすることが何よりの理想と目的だった。
その日のうちにマリさんに閃きを話す。真っ先に浮かんだのはおまけ。以前にゼロコがチケットの購入特典で手書きのメッセージカードやゼロコお手製のオリジナルのものが送られてきてすごく嬉しかったことがある。オスピタカフェライブでも、サイン入りのチケットだった。おまけって誰でも嬉しいものだし、ちょっとしたものでもすごく嬉しい。特別な思い出にだってなる。とはいえ、ゼロコ直々のおまけではないので本当に喜んでもらえるのか不安と葛藤が。
やるからにはご来店いただく方々へのカフェ側からの特典ということで、心を込めてゼロから手作りしたいなという私のこだわりをここにぶつけることにした。
“ゼロ”からの“コだわり”でゼロコ!(?)
カフェをあとにしてもゼロコとギンゴウカフェを思い出してもらえるなにか、帰ったあとも楽しんでもらえるなにかを持ち帰ってほしいと思った。ゼロコのおふたりにはこのことは当日まで秘密。ゼロコへのサプライズにもなる。ふふふ、決まりだ。
こだわり
ライブ後、帰ってすぐに開けて挑戦していただけても、おまけのことをすっかり忘れていて思い出した頃に開けていただいたとしても。それがカフェライブを思い出してもらえる“時間”になると思った。そういう、余韻に浸る時間、おまけをきっかけにもう一度思い出してもらえる時間を作り出したくて。簡単すぎてはすぐに終わってしまうし、人というのは難しすぎても途中で嫌になる。『おまけ』なのでわくわくできるものがいいなぁと考えた。
あと2つの案は当日限定のメニュー。
お茶一つにしても、いくつかの案の中から絞りに絞る。
以前、舞台『Teatime』を楽しみに、自宅で個人的にゼロコティーを作ったことがあった。
ゼ・ロ・コから始まるハーブは個々、かなり個性が強い。中和させるポジションのハーブに苦戦した。試してみてわかったことがいっぱいあったので、今回はその経験を元に、限られた「ゼ・ロ・コ」から始まるハーブの中から、味を出すもの、香りを出すもの、色を出すものを新たに選出。花と実と葉それぞれを選んで『五味』を念頭に深みを探った。配合を変えたりして改良に改良を重ねたかなりの力作に。
実は隠し味や隠し色として「ローゼル」が頼もしく混ざっている。
作っているときのイメージは魔女の宅急便のキキの母。秘伝の良薬を作る気分。
“ギンゴウカフェ”の“ギンゴウ”とはイチョウのこと。ベースとなるギンゴウティー(イチョウの葉茶)は葉から手摘みをしてきて、「天日干し→蒸し→再度天日干し」をして仕上げた。それを今回のゼロコティーのベースにした。
9月とはいえまだ暑いことが予想されたので、アイスティーにすることに決定。
明かすと、はじめはクラッシュゼリーを沈めたかった。これにかなり悪戦苦闘し、この試作ティーにはいくつかの難点と問題点があがり没に。
これだ!というものに仕上がるまで試行錯誤が続いた。
また、マリさんの作る美味しいシフォンケーキにもなにかをしたくて申し出た。文にすると難しいもので、言葉では“なにか” “なにか”ばかりなのだが、ある程度の案やイメージはもちろんいつも頭にある。
他にも案はたくさん。拾ったり捨てたり、生み出しては没にし。形はどんどん姿を変える。
消えかけたものも、直前までどうしても諦めたくなく粘ったものもあった。
ゼロコのロゴを象ったチョコプレートがそれだ。実のところ当初はチョコプレートの予定ではなかった。
プレートの制作は、反転させたゼロコのロゴを台紙にクッキングシートを敷き、竹串で湯煎したチョコを掬って一画一画牛歩で描いてゆく。チョコの温度やお部屋の空調によっても微かな差がでてかなり繊細な作業となり時間を要した。結果、愛と根気の賜に。描いていくうちに、ロゴの帽子の細かな白い部分にまで再現度をこだわりはじめてしまう性分が現れる。自分でももう笑うしかない。
チョコプレートつきシフォンケーキに添えた赤い実は、凍らせたやまもも。ゼロコがパフォーマンスで使う赤いお鼻に似ているので使うことを思いつき、事前に採ってくる本気さ。チーム『FROZEN』選抜メンバーのオーディションも開催しました。笑
知らない方のために、イメージ写真を探したのですが。鼻に位置するちゃんとした赤いお鼻の写真が無くて。いつもぐりさんの口から出るところばっかり撮っちゃう。笑
角谷さんの口からも出ちゃうけど。
今度きちんと撮っておかないとなと反省。
ちょっと脱線しました!
お話を戻します。
配るタイミングにも配慮しました。本当は配り漏れを防ぐのにご来店時にお渡しするか、予め座席に置いておきたかったのですが、人間、興味のそそられる物が手元にあると注意がそちらに向いてしまうので、ギンゴウカフェの素敵な店内やこれからはじまるゼロコのパフォーマンスに意識をすべて向けていてほしかったため、おまけは一番最後に。
それから私は思いを込めるときには必ずそこに意味を含ませたり理由をつけることを大切にしている。
おまけに貼った葉は、カフェライブ開催の9月の、まだ青いイチョウの葉の色を選んだ。これから深まる秋に鮮やかに変化してゆく未来のある緑と縁。
黄色いスワロフスキーは銀杏。実り。カフェライブの無事の開催はもちろん、集まってくださる皆さまの人生や日常にたくさんの実が結ばれるよう願って。
いよいよ!
初秋の土曜日。不安定なお天気の続く週間予報、前日もなかなかぐずついていて当日の予報も突然の雷雨が予想されていましたが、夏が忘れていったような暑さと眩しい陽射しが注ぎ。晴れ男の角谷さん、さすがでした!
カフェの窓もドアも広いテーブルも電気も、その他の構造や特徴を存分に使ってのパフォーマンス。
良いところで鳴るお店の電話や神がかったタイミングで通った暴走族(?)すごかったなぁ。暴走族に人生で初めて感謝と拍手を贈りました。
カフェだけでなく、通行人や製氷機の音などカフェの内外で起こるあれこれまでまるごとパフォーマンスにしてしまうゼロコが恐ろしいくらいおもしろかった。いつもの穏やかで静かな店内と窓の外が、ゼロコによって劇場に変わる。劇的に変わる。ここだけでしか観れない環境下と特別感が嬉しく、格別を演出。
角谷さんの顔はぐりさんの微調整の腕にかかっていて、「はぁ〜❀」な香りの茶葉で調整不要、元に戻ると知りました笑。
抽出中にちょっとしたアイソレーションのシーンがあって、その首ぐるぐる(と勝手に呼びますね)を振るのですが、それが全員に回る。お客様ひとりひとりを大切に思ってくださっていることが感じられた。回想シーンでゆっくりともう一巡しましたね!笑 それがすごくすごく嬉しくて楽しかったです。二部では時間がないっていうのにカウンターの人たちまでやりたいやりたいって言うもんだから…?!笑
ときわ座の時と同じく、ギンゴウカフェ内でもボールがバウンドしまくる。
いつぐりさんがキャッチできるところに戻ってくるのか誰にもわからない。それから突然店内に流れる陽気なサンバ・デ・ジャネイロ。サッカーボールを転がす技とリフティングまでは息ぴったりだったし、ぐりさんの“どやっ”な顔決まってたのに。あれ。途中からお金が物言う関係に…笑
コバルトブルーの扉が開いてはじまり、閉まって終わるのが本当に素敵でした。
回想シーンでは近づくライブの終わりを感じ、泣きそうになってしまったけれど、そこにも笑いがあって号泣を免れ助かりました。
パフォーマンス終わりにゼロコからの思いも聴けて嬉しかったです。
会場のみんなで一緒に良いものを観たとき、パフォーマンスが終わったあと演者が捌けてふっとひと息つく観客と、その場に留まる余韻のあのなんとも言えない空気感が大好きで。この日、ギンゴウカフェ店内も間違いなくそれが起きていた。
それ以外にも、職場の仲良しの方やお友達とお友達同士が話していたり仲良くなっていく様子、会話や笑顔に溢れたカフェが私にとってたいへん幸せな空間でした。
ゼロコを知らない方、知っているけどまだ観たことがなかった方、ぜひ観てほしかった方々をお招きできたことも嬉しく。新鮮な反応や絡みを眺めながら、私もにやにや。
そうそう、カフェの広いテーブルが大好きなのですが、それを活用したワークショップとかワークショップとか、ワークショップとか!やりたいですね。ここで好き勝手に言っておきます!!
当日おろおろしてしまって、カフェライブの足を引っ張りぜんぜんお手伝いできてないなんてことがあってはならないと、マリさんにお願いして通常営業中のギンゴウカフェへ“お手伝いの練習”にも行かせていただきました。マリさんに「未だかつて“お手伝いの練習”に来た人なんていない」と言われましたが、私は至って真剣。笑
だって、カフェ内のものの位置や場所、やり方やルールなどの細かな勝手を前もって知っておかなくてはイメトレもできませんし、お邪魔になるだけですから…!
大好きなゼロコと大好きなギンゴウカフェ。
すべては双方への感謝を形に、そしてお店に実際に観にいらしていただける方々と一緒にあたたかくて楽しい時間を過ごしたい、その一心で模索した期間。どれも一筋縄ではいかなかったけれど、考えを巡らせた月日はかけがえのない宝物となり、持てる力と心をすべて注いで挑んだゼロコのカフェライブは私にとってそれはそれはもう思いもひとしおでした。
大切なお友達、職場の仲間、家族と一緒にゼロコを観て過ごしたひととき。
特別以上の特別な1日になりました。
微力ながら、悩みながらもカフェ側のお手伝いに携わらせていただけて、たいへん貴重な経験となり、また光栄でした。
そして、ゼロコのカフェライブに僅かでも花を添えることができていたのでしたら本望であり、この上ない幸いです。
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では、ここからは少し個人的なこと。記すことをとても迷いましたが、正直に綴りたいと思います。
おまけのネタバレも含みます。ご興味ある方だけお進みください。
私には知的に軽度の障害のある兄がいます。世の中には逃げたり隠したりする人もたくさんいるけど、私はしません。
世間の理不尽や偏見と戦い、心無いひとことや悲しいことも悔しい思いも一緒に乗り越えてきた大切な家族と、それを支えてくれている方を今回のカフェライブには迷わず呼びました。
兄ともこれまでたくさんゼロコの話をしてきましたし、動画を一緒に観たりもしました。いつか観てみたい、近くで大道芸はないの?とずっと楽しみにしていた兄。その兄を生まれてからずっと休まず育て支え続けてきた母。そしていつも兄のサポートに入ってくださっている支援員の方。
普段はあまり遠くまではなかなかお出掛けのできない兄と母ですので、瀬谷にゼロコが来てくださったことで、一緒にひとつのものを観ることが叶いました。
お笑いが大好きで、曇りのない心と考え、純粋な目を持つ兄。人生初のカフェライブの感想をあとでゆっくり聞くのが楽しみです。
それから、おまけの迷路の結果の写真と嬉しいメッセージや反応が次の日から続々と届きました。
そうなのです!皆様には『ゼロコ愛』を持ち帰っていただきました!!!
(ほくそ笑む)
色とりどりのゼロコ愛。みんな色が違っておもしろい。そして、どれもいい。
最後に
私にとってゼロコ愛は独占するものでも優劣をはかるためでも私利私欲に利用するものでもなく、みんなと分かち合うための清らかなものであり、これからも変わりません。
それがきちんと伝わっておりましたら、尚嬉しいです。
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