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【雑感】ランジャタイ 有楽町新星漫才選集(2022/03/05)

 贔屓目抜きにして、ランジャタイの名が呼ばれた時のボルテージは凄まじいものだった。思わず数人がおおっ! と小さく声を上げていたように記憶している。私はというと、ハッと息を飲んでその高揚感を抑え込むことで必死だった。一気に上がる体感温度、全身を駆け巡る鳥肌。この瞬間を、誰よりも待っていた。

 そして、キーボードの繊細な旋律。
神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっ」だ。
2人が少し駆け足でサンパチマイクの前に立つ。
 夢のようなステージの幕開けだ。

 最初から大拍手だったのだが、それを利用して国ちゃんがWe will rock youと逆のチャ、チャ、ドン……をお客さんにやらせ(逆だよ、なんて伊藤ちゃんがツッコミしていた気がする)、歌い出すのかと思いきやものすごい勢いで
「ポンポンスポポン、ポンスポン!」
と言い出した。めちゃくちゃよかった。これでこそランジャタイだ、と心の底から思った。私は、この自由で型破りで、人を笑わせるためなら一切物怖じしない彼らが堪らなく好きなのだ。

 そして、歌繋がりではっぱ隊とブラックビスケッツのアレを、何度も何度も繰り返し歌い出す国ちゃん。

間が悪いとね〜♪
気持ち張りつめ〜♪
YATTA!YATTA!

ANN0を聴いていた人はピンとくるだろう。そう、まさにアレを手動でやっているのである。
 私も思わずあの気の狂った夜(※褒めてます)を思い出して爆笑してしまった。会場も結構な勢いで笑いの渦に飲み込まれていたのを見るに、ANN0を聴いていた人は多かったのかもしれない。

 そこで勢いをつけたのか、国ちゃんの暴走は止まらない。
 今回は銀の龍の背に乗って終わりを目指す漫才だったのだが、本題に入るまでの、筋書きにはないであろうボケがまた面白い。"銀の龍の背に乗って終わり"で客がドッカンドッカン笑う、という言葉からお客さんの描写に行き、そこからお客さんたちのてんやわんやする様子(国ちゃんの想像)にフォーカスしていく。そして、私たちは畳み掛けるようなボケにどんどん引き込まれていく。

 国ちゃんのボケは、木の枝状に派生していって終わりがない。
 この時間がいつまでも続いて欲しい。
そんなことを思った。

 更に、伊藤ちゃんが国ちゃんのボケを、一言ひとことを通じてより分かりやすく、伝わりやすいよう軌道修正しているようにも思えた。伊藤ちゃんの存在は本当に大きい。また、ちょっとズレた、寄り添うようなツッコミ(確認作業とも言うべきだろうか)には思わず笑ってしまうようなセンスが垣間見えている。

 そしてランジャタイ、序盤から素で笑っている様子が多いように見受けられた。思わずけらけらと肩を揺らして顔を見合わせて笑ってしまう、みたいな。お笑いを楽しみながらやっているような、そんな雰囲気が滲んでいた。
 2人自身が楽しければさらに良くなる芸風だ。会場も2人の笑顔でさらに笑いをそそられていく。

 お笑いというのは筋書き通りではないほど面白い、と私は思う。もちろん綿密に技巧を凝らす漫才師は素晴らしいし、型破りだったとしても緻密な計算は欠かせないだろう。それでもその計算を覗かせない、自然体でありながら隙のない様子は中毒性さえ感じさせられる。何より、自分たちが楽しんでお笑いと向き合っている。そんな姿が輝かしくて堪らないのだ。

 そこからは漫才中に龍がやってくる。私は国ちゃんの、手動でテロップを入れるマイムをするのが表現として大好きなのだが、
「バン! 龍!(胸元にテロップを入れるマイム)」
「バン! 犬ッ!」
が良く効いていた。そして、龍が目の前を横切る描写がまた臨場感に溢れていて、まるで本当にいるみたいなのがおかしくて笑いが止まらなかった。「ハァァッ…!」と息を飲んで龍を見送ってしまう国ちゃんのなんとも言えない切迫した表情。そして、何度やっても犬に乗ってシャングリラしてしまう国ちゃん。好きだなぁと思った。

 「お鍋の美味しい季節になってきました」の時も思ったのだが、本当にこのネタの構成が天才的に好きなのである。私の居場所になってくれるような、あるいは「なんで!?」と思いつつもどこか親近感や愛おしささえ感じてしまうような、そんなネタ。

 そして「チャットモンチー犬、カツラ取り角刈り終わり」、どこかで必ず来ると分かっていたにも関わらず、でかい声を出して笑ってしまった。生で見るカツラ取りの迫力たるや。

 最後の最後、永野とクワバタオハラ。
永野の時の拍手の迫力は凄まじかった。
私は後者のネタは勉強不足で存じ上げなかったのだが、会場のボルテージはとてつもないことになっていた。

 ロックンロールは鳴り止まないっと共に去っていくランジャタイ。
心がジーンと熱くなった。


 「大暴れ」。
そんな言葉がピッタリだった。
ステージを縦横無尽に駆け回り、掻き回し、台風のようにものすごい勢いで去っていった。
 格好良かった。

 見終わった私はというと充足感に満ち溢れ、本当に夢を見ているかのようだった。


 ランジャタイは私のヒーローだ。


 ランジャタイの漫才見て、本当に生きててよかったと思ったし、この人たちの漫才を見るためにこれからも生きようと思えた。

 人を笑わせるために命かけてる人達って、かっこいい。

 こんなに笑ったの久しぶりだった。
 ありがとう。ありがとうランジャタイ。


(※あくまで覚書きです。記憶違い等あるかもしれませんが雰囲気だけ感じとってください)

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