シェアハウスインタビュー vol.9 たけるん
私は今、約140人規模のシェアハウスに住んでいます。
そこには様々な経歴、面白いキャラクター、素敵な価値観のひとたちがぎゅっと揃っています。
せっかくだから、この家に住んでいる間にいろいろなひとのお話を聴いてみたい!とはじめた企画です◎
第9回は、たけるんにお話をお伺いしました。
<それでは、まずは自己紹介からお願いします!>
たけるんです。よろしくお願いしまーす!
職業はもともとエンジニア(SE)をしていて、今はカメラマンです。
カメラマンっていっても広告や作品を撮るカメラマンではなくて。
ゲストさん(お客さん)の撮りたい場所へ出張して撮影をするサービスを行っているLovegraphっていう会社で活動させてもらっています。
好きなことは、写真を撮ることや古着を集めること、うまい汚い店を見つけることかな。基本的にめっちゃ歩くから、お散歩もうまくなってきたと思う!(笑)そうやって探検しているついでで旅行も好きになった!
<旅行がお散歩のついでなのが面白いね(笑)
今はカメラマンということだけど、そもそもカメラを始めたきっかけは何かあったの?>
高校生の時に結婚式場の配膳のバイトを始めたのね。めっちゃ時給が良くて、これでたくさん古着買えるじゃん!て思って(笑)
でも結婚式ってその人たちにとっても一生に一回だからめちゃくちゃ緊張感があった。だから最初は「失敗しないようにしよう」って思いながらやってた。
式が始まってひとしきりたつと、新郎新婦のPVが流れるのね。新郎新婦の幼い頃から大人になるまでの映像とか、出会って今日にいたるまでの写真を繋げた映像を流すんだけど、一枚一枚の写真で人柄がめっちゃ伝わってきて感動するんだよね。失敗しないようにしよう!っていう気持ちよりも「この人たちのためになんかしたいな」って思うようになった。それで、写真ってすげえ!って思った。
もともと友達に笑ってもらうのが好きだったから、そういう日常を撮って、いつか友達が結婚式で使ってくれたらいいなって思って、自分でも写真を始めるようになったかな。
写真ってその当時のことを思い出す道具として素敵なツールだと思っているんだけど、それだけじゃなくて、「しゃべらなくてもわかる」ところが面白いなって思うようになっていった。
自分が写ってなくても、写っている人がめっちゃ楽しそうに笑ってる写真を見ると、この人たちもしかしたらめちゃくちゃ仲の良い親友かなとか、この2人は照れくさそうにしているからカップルかなとかね。
それに、目で見たものを真似しただけで上達するところも面白いよね。
良いなと思ったものと同じ場所、同じ時間に似たような人を立てれば(笑)上手い写真が撮れるからさ!
絵とか料理は、書いたり作ったりっていう色々なスキルが必要だと思うんだけど、写真はめっちゃ簡単なんだよね。ただ写真を「見る視点」を知っているかどうかなだけで、その視点さえ知っていて、ポイントさえおさえればどんな写真でも真似ができるの!
だから、なりたいものになりやすいし、すぐに吸収できて表現できる。
俺は細かく毎日コツコツやっていくことが苦手で、写真みたいに目で見て真似できるものを極めようって思ったのもきっかけだったな。
<なるほどね!
写真が好きなたけるんは、どうしてエンジニアになろうと思ったの?>
原宿で買い物をしていた時に店員さんの繋がりで仲良くなったふたりがいて。ひとりはデザイナーになりたいって言っていて、もうひとりは古着屋さんでバイヤーになって店を持ちたいって言っていた。最初、このふたりはオシャレすぎてついていけないなって思ったんだけど、二人の夢はめっちゃ応援したかった。
ちょうどその時、オンラインのネットショップとかオンライン販売が増えてきた。それで18歳のガキなりに、ネットって生かせるなって思ったのね。
色々考えて、ふたりはセンスあるけど頭の回転が早い方ではないから(笑)俺がちょっと賢くなって、その世界をやってみよって思ったんだよね。
ネットだったら写真も必要だし、エンジニアとカメラをやっておけばふたりが大きくなったときに俺も一緒にできるかもって思ったんだよね。
だから俺はふたりとは違う路線でがんばろうって思ったのが最初の理由。
ちゅーそんさんのお話で、コンサルは会社のお医者さん、って言っていたじゃん。SEとして働き始めて俺が感じたのは、SEは薬剤師さんに似ているなということ。
SEは、これから悪化することを予防するワクチンを用意したり、調子を戻すためのお薬をシステムっていう形で提供する立場だからね。
俺はもともとSEのようなコツコツ続けるようなことは苦手だったんだけど、会社が良くなって体調が治るお手伝いができるならと思って始めた。
でも、俺が勤めていた独立系SIerは、1つシステムを作り終わったらはい次の現場!って感じだったんだよね。俺はどちらかというと「お薬を作って、会社がどうやって元気になっていったのか?」を最後まで見たいタイプだから、一生いろんなお薬を作り続けている人ではないなと1年目の終わりに気付いてしまった。
それでやめたいなって思ったんだけど、もう少しだけ視野が広がってからにしようと思ったんだよね。
あと、これは面白い話と思って聞いてほしいんだけど、1年目の6月から現場でセクハラされた。それが気持ち悪くて、落ち込んじゃって、職場に行くのが怖くなったときもあったりした(笑)
あーこれやばいってなったときに、学生のときってこんなんじゃなかったなって思った。社会人になって関わる人の範囲が狭くなってるのを一番感じたのね。
これまでは出版社でインターンしてたのもあって写真のおかげでいろいろな人とフラットに関係性を築けていたことを思い出したんだよね。
それでもっといろんな人と関わる経験がしたいなって思ってた時に今の会社の応募をみて記念受験のつもりで受けてみた。
そうしたら受かったんだよね。お会いしたらすごくいい人たちでこの人たちと一緒に働いてみたいな、プロとして食べていける可能性があるなら頑張ってみようかなって思って、最初は副業で土日だけカメラマンをスタートした。
そうやって二足の草鞋で働くようになって、たくさんの場面で感謝されることが増えてきて働くのって楽しいなと初めて思えた。
ただ、さっき話したふたりの夢を応援するっていう目的を達成するためのスキルはまだないから、SEはこれからも他の形でできたらいいなと思ってるよ。
世の中はリモートが増えているし、SEって場所を選ばず働ける職でもあるしね。ちょっと技術があれば自分で働く人を選べるようになるし、将来ふたりの夢を手伝うことがなかったとしても、働き方として手に職を持っているのって大事だなと思うしね。
SEはいろいろな業界に行ける魅力的な職だなって思っているよ。
これからを考えたときに、一番は今のカメラマンの会社の予約システムを作るエンジニアができたらいいなって思ってるかな。
会社が大きくなってきたから、流れちゃったんだけどね(笑)
願わくばそこで勉強をさせてもらえたらいいな。
その会社は俺がカメラマンで所属しているし、お客さんにも会っているわけだから、カメラマン側の気持ちもお客さん側の気持ちもわかるんだよね。
だから、使う人の顔が見えた状態で、よりよくマッチングできるような、効率がよくなるようなシステムを作るのはいいなって思う。やりたいと思っていた「システムを作ってその先を見る」っていうのができるからね。
<確かに、それができたら一番良いね。今はカメラマン一筋になってどう?>
ご時世の煽りはめっちゃ受けたなあ、カメラマンはリモートで撮れないからね(笑)
今の会社での依頼数は減っちゃったけど、その間にいろいろな人のご紹介があって、Uberのメニューの写真を撮ったりしていたよ。なんとか食いつないで生かしてもらってる。
改めて、写真もエンジニアも汎用性が高いお仕事だなって思った。
<それは素敵な繋がりだね!たけるんにとって、写真の一番の魅力は何だと思う?>
そのときの空気感を思い出す1つのツールとして役に立つところかな。
過去のアルバムを見返したときに、ついこの間あったような感覚で思い出せるよね。
思い出話をするときもより鮮明に思い出せるのがめっちゃいいなって思う。
最近友達とお酒飲むと昔話が増えてきて年取ってきたなって感じるし(笑)
<たけるんはそういう瞬間を切り取るのが本当に上手だよね。
ハイチーズ、じゃなくて、その「瞬間」をちゃんと切り取ってくれる!>
おお嬉しい!!でもそれにはコツがあって。
みんなハイチーズでとるからハイチーズの写真になるのね(笑)
ようはその写真を見返した時にに「あ、これハイチーズしてるね」ってなっちゃうし、前後を思い出してもただのハイチーズなんだよね(笑)
千くんが映像は動きがあるって言っていたけど、写真も考え方は一緒だと思っているの。
だから、みんなが動いているときがシャッターチャンスなんだよね。
いい写真にはいろいろ定義があるけど、俺が思ういい写真は「笑い声が聞こえてくるような写真」。
なんでそういう写真が撮れるかというと、笑い声が聞こえてるときに撮るからそうなるんだよね。本当に、シンプルなんだけどね。
簡単にいうともう「太鼓の達人」と一緒。
笑ってるときに「ドン」「カッ」ってシャッターを押せばいいの。
それをうまく押せているかどうかなだけで、要はフルコンボできていればOKなんだよねみたいな。
だから、みんなが笑っているから良い写真になっているだけで、俺が撮るから良い写真っていうわけではないんよ!
<いやいや、みんなが自然と笑っちゃう雰囲気を作っているのもたけるんだからね!人の笑顔を引き出すのが上手だなあって思うよ>
あーそれは、特技だよね(笑)
ちょっとだけ写真をまわりから評価してもらえるのは、そういう太鼓の達人でいう「ドン」「カッ」を自分で作れるからだと思う。
それは写真を撮る上で向いてるかなって少し自信つき始めたとこ!
俺は写真を撮るまで、めちゃくちゃ尖っていて考え方がダサかった。
例えば「有名な人と一緒にいる俺もすごい」みたいに目に見える数値というか、自分が目で見えるステータスで自分よりすごい人を尊敬する人間だったのね。流石にクズすぎるかな…でも大げさにいうとそゆこと!(笑)
写真を通していろいろな人とお話させてもらうと、この人は俺より服の知識やカメラのスキルはないけど、ものの考え方の角度が達観してるなって気付けるようになったんだよね。
それ以外にもたとえば、自分の夢に対する熱量がめっちゃ熱いなとか、彼氏さんから彼女さんに対する愛情が素敵だなとか。
今までは自分の知識がベースとなったモノサシでしか相手を見なかったけど、文房具だってモノサシだけじゃ全部測れないじゃんって思ったんだよね。
考え方の角度を測る分度器とか、こころの温度計とか、愛の重さをはかる体重計を持つようにしようって意識に変わって、いま目のまえにいる人の良さを探すのが好きになったし少し上手くなったかなって思うようになった!
<なるほどね、その姿勢が写真にも表れているんだろうね。
それでは話はかわって、シェアハウスに引っ越してきた理由は?>
一人暮らしする気なかったんだよね、もともと。金ないし(笑)
仲良い友達のモハ(住人)から電話がきて、あるビジネスで大成するから三茶に住むわって言われたのね。
いや、おれたちにはそういうのは合わんのよ!って説得して、でも一人暮らししたいっていう旨は聞いてたから、じゃあルームシェアしちゃう??ってなって家を探すことになった。
最初はせっかくだからオシャレな街に住もうかって学芸大学とかを見ていたんだよね。
でもオシャレすぎてめちゃくちゃ高くて、24.5のガキが住めるところじゃなかった(笑)
それで、たまたまインスタの広告でここを知って、映画館!大きいキッチン!ビリヤードダーツ!!友達増えそう!!よさそう!!ってなってきた(笑)
でもそのくせ変なとこなんだけど、人見知りするんだよね(笑)
居酒屋で会うおじちゃんとか、本当の初対面は平気なんだけど、今後も絡んでいく人たちなんだよなって思うと高校のクラス替えみたいな感覚だった。
最初に嫌われたらなじめないじゃんって思ったのね。
モハはそういう場所で人と関わるのがうまかったから、俺は「モハの友達」っていうポジションだった。
それが徐々に「カメラマンの人」になって、「カメラ上手な人」から「たけるん」ってなるようになったかな。
<そういう経緯だったんだね!引っ越してきて1年経って、今はどう?>
馴染めてないわりに下に降りてきて、1年間イベントごとはなるべく参加して撮っていたんだけど、みんなの笑顔がどんどん増えていったなって思った。
だいたい500枚くらい撮って200枚くらいみんなに見せるんだけど、最初は300枚ぐらい笑顔じゃない写真があったのね。
それが今はシャッター数も600枚ぐらいあって、だいたい全部笑顔!って感じなんだよね。
編集していると、最初あんまり笑わなかった人が笑うようになっているなとか家の中でこの人たち同士が仲良いんだなって見えるんだよね。
みんなも仲良くなったなって感じてると思うんだけど、その経過を見れるのは1カメラマンとして面白いなって思う。
でもね、一番言いたいのは写真は撮って損なんて一個もないからたくさん撮ってと思うかな!
例えばこの物件内でカップルとか増えてきたと思うけど、どんなにいいカメラで、どんなに腕のいいカメラマンでも、彼氏が何気なくスマホで撮る彼女の写真より可愛く撮ることって出来ないのね。
もうね、表情が絶対に違うから!!圧倒的に違うから!!!
だから、彼女さんがインスタのストーリーとかあげてるその瞬間は待つんじゃなくて自分もカメラで撮ってみてね。とっても素敵に映るはずだから。
世の中新しくなるものがいいとされてる中で珍しいんだけど、写真の特徴として、過去になればなるほど価値が上がるものだと思うので是非是非!
<それはめちゃくちゃ素敵だね。シェアハウスでこれからやっていきたいことはある?>
めっちゃ理想はサマーウォーズの世界観なのね。
あれってただ仲が良いだけじゃなくて、おばあちゃんという指揮官をもとに、自分の長所を持ち寄って困難を乗り越える映画じゃん。
俺だったら写真とか、あゆちゃんだったら文才あるとか、ここの人もいろいろな個性をもってるじゃない、そういうスキルのシェアをできる関係性になったら素敵だなって思うかな。みんなでビジネスやりたいっていったらあれだけど、教え合うとかできたらいいよね。そのためにカメラ部も作ったよ。少し落ち着いたらまた活動したいと思ってるからその時は一緒に遊ぼうね!(宣伝)
だけど、みんなの技術とかも普段はお金をいただいてる訳で、イベントとかで活躍してくれる人もたくさんいるけど、それが当たり前ではないってことも少し気にかけてくれると嬉しいかな!
それで俺の人柄を良いなって思ってくれてお友だちとかにカメラマンとして紹介してもらえるとやっぱり嬉しいよね。お友達の結婚式とか、自分の兄弟や甥っ子の七五三とかね。
だから、あゆちゃんの友達の前撮りとウェディングパーティーの写真をお願いしてもらえたのはめっちゃ嬉しかった!
引っ越してきた時から、ここで出会った人の大切な人の記念に携わるっていうのをやりたいと思っていたのね。友達の大切な人に寄り添うっていうのをやりたかったから、あの日は俺の夢が叶った日でもあるの!!
今食いっぱぐれずにフリーランスで生きていけているのも、そういう人たちがまわりにいてくれて笑って過ごした日々があったから。その繋がりをめっちゃ感じていて、本当に運が良いなって思うし恵まれたなって思う。
だから、ここでもいろいろな人の前撮りを撮らせてほしいし、せっかくのご縁は大事にしたいな。
んーあと伝えたいこととしては、、うるさくしてごめんね(笑)
笑い方が異常だからさあ。
うるさかったらちゃんと注意してください!今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いしますってかんじかな(笑)
<貴重なお話をどうもありがとう!これからもよろしくね〜!>
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