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Depot Boijmans Van Beuningen
こんにちは!
今日はまた美術館についての記録。
これも昨年の9月に訪れた、オランダ第二の都市と言われているRotterdamにあるDepot Boijmans Van Beuningenについて書いていきたいと思います。
Depotとはオランダ語で鉢という意味で、その名を見事に体現した建物です。この美術館は、すぐ隣に位置するBoijmans Van Beuningenの老朽化による大規模改装に伴って、その美術品の保管庫という機能を持って作られた建物になっています。しかもただの保管庫ではなく、Visible storageと称され、作品の保護、修復、研究、移送に伴う作業などの様々な過程が可視化されていて、またこの所蔵品の100%を一般公開するというのだからすごい。
通常の美術館では、その都度公開されているのは所蔵品の10%に満たないそうですよ。
ちなみに建築は日本でも有名なオランダの建築事務所MVRDV。
拠点がRotterdamということもあって、この街の中だけでも結構沢山の彼らの建築を見ることができます。
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という事でここまででも既にこの美術館がただものではない事がわかると思うのですが、入ったその先には本当の驚きが待っておりました。
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全6フロア+屋上のテラスからなる構成される内部は吹き抜けにジグザグの階段が張り巡らされていて、基本的にはこの階段を移動しながら作品を見ていく形になるのだけど、この両サイドやエレベーターを囲むようにショーケースが設置されていて、360度どこも見逃せない作りに。
この吹き抜けに張り出す形のショーケースは上を歩くことができる場所もあって、高所恐怖症にとっては作品への集中力を著しく奪われます。(ネガキャンではない)
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ところでボイマンスにはおよそ15万点以上の所蔵品があるそうで、これを100%可視化するってどういうこと?と疑問に思いますよね。
その秘密は、デポでは数時間おきに無料の館内ツアーが催行されていて、これによって展示されている状態だけではなく保存状態の作品にもアクセスできるようになっているようです。確か英語かオランダ語の2択だったと思います。
私たちはこの日、このシステムを把握していなくて、そしてあまり時間もないからと参加しなかったのだけれど、このようなお揃いの白衣とポーチを纏った集団を何度か館内で見かけました。
おそらくこれも作品保護のために身につける意図が予想できますが、こういう小物にまで、この美術館のブランディングが行き届いていてかっこいいですよね。
ある展示室では、ボイマンスのハイライトの作品たちが陳列されていましたが、この手法も面白くて、作品の裏側までも鑑賞できるように透明の特別な什器を採用していました。
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ヒエロニムス・ボス、レンブラント、ヴァン・ゴッホ、ダリなど誰もが知る有名な作家の作品を含む、中世ヨーロッパ美術から近代美術が良い意味でぐちゃぐちゃに展示されていて、そもそもの内装に圧倒されながら口を開けて歩いていると、「え、これ教科書で見た」みたいな作品が突然目に飛び込んでくる、そんな驚きの空間でした。
ただ、やっぱり純粋に作品の鑑賞だけを目的とした展示ではなく、陳列にストーリー性も持たないので、そのテクニックや斬新さ、凄さは心に強く焼き付く一方で、一点一点の作品の記憶が薄い、もしくは全くこれまでと違った気づきを得た部分だけが鮮明に残る、というのも自分が体感した面白い感覚でした。
いつか本館の改装が終わって、また新たな形でこの作品を目にする日も楽しみです。
このような感じで、ツアーに参加せずともかなり十分な見応えのあるデポですが、絶対に参加する事でここの面白さの真髄を体感すると思うので、必ずや近いうちに出直したいと持っている場所なのでした。
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ちなみに、エントランスでは入館の印にこんな可愛いスタンプを手に押してもらえます。なんかいちいち可愛い。