これ好きかも、があふれる『高田賢三 夢をかける』展
東京オペラシティアートギャラリーにて開催されている、『高田賢三 夢をかける』を観に行って参りました。
【KENZO】
テキスタイルを大学で学んでいる時から、耳にして、目にしてきましたが、何故今まで深掘りしてこなかったのやら…と悔やまれるほどに自分にとってはドンピシャなものであふれておりました。
髙田賢三（1939-2020）は、日本人のファッションデザイナーとしていち早くパリに進出し、斬新なアイデアで常識を打ち破るスタイルを次々と生み出しました。単身で渡仏後、1970年にパリで自らのブランドを立ち上げた髙田は、木綿の新しい可能性を打ち出したことで「木綿の詩人」と称され、早くから注目を集めます。その後も、身体を衣服から解放させることを意識し、直線裁ちの着物袖やダーツをなくしたゆとりある服を生み出したり、独特の色使いや柄の組み合わせを用い「色彩の魔術師」と称されるなど、日本人としての感性を駆使した作品を数多く発表しました。それらは、国境や文化、性別を自由に超え、これまでの西欧中心の伝統文化にとらわれない新しい衣服を示唆することとなり、今もなお世界中で愛されています。
2020年に惜しまれつつ逝去した髙田賢三の没後初の大規模個展となる本展では、髙田のファッションの変遷を衣装展示でたどるとともに、幼少期から描いていた絵画やアイデアの源泉となった資料、衣装のデザイン画などを紹介し、多角的な視点で人物像を浮かび上がらせ、日本人デザイナーのパイオニアとして世界で活躍した髙田賢三の生涯にわたる創作活動を回顧します。
ファッションの知識はもちろんありません。
それでも、高田氏の生み出すファッションにはひとつのテキスタイルとして非常に好みのタイプでした。
わたしが「これ好きかも」と印象に残ったものをご紹介。
重ね襟のような、花柄の生地が効果的。
「木綿の詩人」
1970春夏で日本の布地を使った作品を発表します。そしてその年の秋冬では、春夏の素材と考えられていた木綿を冬仕様にし、冬に木綿を着るという新しい提案を行いました。これにより高田氏は「木綿の詩人」と称されるようになります。その後も日本の生地や着物の裁断などを取り入れた服の提案を次々としていったとのこと。
当時における最先端なモダンなファッションの中に「木綿」が用いられてることに正直驚きました。
着物とはまた異なる、粋な印象を受けます。
このキャプションを二度見してしまいました。
フランス滞在中に集めたリボンで構成されているそう…！
純白のウエディングドレス、
と良く言われますが、純白の正反対の意味を持ち合わせているドレスに感じられます。
おそらく、どこか民族的な、生地に込められたストーリー性を感じるからそう思うのでしょう。
もしかしたら、着物も同じようにそれぞれ使われている生地にストーリー性があるので通ずるものがあるのかもしれません。
自分好みの要素が集まった、本展で一番好きな作品
高田氏のファッションの真髄ともいわれる、フォークロア調の作品。
主に世界各国の民族衣装にイメージを持たせたスタイルとされています。
日本の衣服にとどまらず、各地の民族衣装に関心を持っていた高田賢三は、四角い平面と無駄なく布地を使うことのできる直線載ちが多くの民族衣装の共通項であることを認識しており、それを作品に取り入れた。各国の民族衣装からインスピレーションを受け、立体裁断と平面裁断を融合させた高田の作品は、衣服を通じてボーダレス、ジェンダーレスの思想を体現した。
「80年代の服づくりは僕が70年代にやったことをさらに洗練させ、もっと実用的にしようと心がけている」と高田は語っている。
民族衣装、と聞くだけで個々の表現が強くてなかなかファッションに取り入れるのも難しいと思いますが、
高田氏のフォークロア調スタイルは、一本筋が通っていて、かつ、色彩にあふれており思わず歓声をあげてしまうほどでした。
柄×柄、強調色×強調色、
やってみたいけど抵抗がある組み合わせの数々で、もはや神業としか言いようがありません。
一応デザインの仕事をしているので、配色を考える作業もあります。
私は中間色やパステルカラーが苦手分野なので、この強い色や濃色の展開には非常に好みでした。
今回、思いもよらず自分好みのものが多く発見出来たことは大きな収穫でした。
この展覧会を企画してくださり、感謝です！