【2年生編6巻考察】綾小路を訪ねた例の人物の正体について
先日発売されたよう実2年生編6巻終盤にて、体育祭を欠席し寮で待機している綾小路と坂柳の元へ正体不明の謎の人物が現れました。
今回はその謎の人物の正体について考察して行きます。
◎例の人物は作中の人物の中でも誰が該当するのか
まずは例の人物が誰なのかという結論ですが、彼は恐らく現1年Aクラスに在籍する「石神京」でしょう。
彼はAクラスのリーダー的存在であり情に厚く実行力もある。但しそれは味方に対してだけであり、敵であれば容赦はしないという性格。仮に敵味方どちらでもない相手に関しては”無関心”だと神崎からは評されています。
この性格も、後述する彼の正体に繋がってきます。
◎石神である理由
”何故例の人物が石神京なのか”という根拠について彼の正体についても掘り下げながら一点ずつ解説します。
根拠や共通点等は以下の通りです。
・一人称が”俺”であること
・綾小路と同年代である
・坂柳理事長が用意していた政府の要人警護用ボディーガードを通り抜けて寮へ入っている
・2年生編4.5巻にて星之宮が「(石神を)以前一度高育内で見かけた事がある」と発言している
・月城やホワイトルーム生の動きに詳しい様子だった
・綾小路に対して「敵でも味方でもない」と発言
・入学後、未だ綾小路と坂柳に面識がない
・坂柳の声を扉越しで瞬時に理解し名前を言い当てる
・坂柳は扉越しでも昔感じた事のあるほどの気配だったと発言
・9巻で綾小路へ電話をかけた者と同一人物である
・綾小路へ「お前の存在が悪影響を及ぼしている。これ以上を防ぎたいだけだ」と発言
・「月城を排除し、ホワイトルーム生を排除すれば平穏が戻って来ると勘違いしているのではないかと思い、助言に来た」と綾小路へ忠告
・堀北に「また会いましょう」と発言
以上、根拠はこの程度です。
ここからは一部の根拠について解説して行きます。
〇一人称が俺である
これについては根拠というよりおまけ程度の共通点ですが石神と例の男の一人称が同じである為入れました。
〇綾小路と同年代である
これに関しても共通点です。綾小路は誕生日が来ると17歳、石神は後述する彼の正体によって年齢が変化する可能性もありますが、一応16歳という事にしておきます。
〇入学後、綾小路と坂柳に面識がない
綾小路の場合は9巻での謎の電話にて、坂柳は今回の寮への訪問で(以前聴いた事があると薄ら記憶にはあるものの鮮明ではない)声を聴いた事から入学後から未だ二人へ接触していない石神であっても違和感はありません。
〇坂柳の声を扉越しで聴きつつ瞬時に名前を言い当てる+坂柳自身も扉越しに昔どこかで会ったような気配を感じたと言う
この点については石神の正体に関わってきますが、ほぼ間違いなく坂柳理事長経由で昔から面識があるためでしょう。
坂柳理事長との繋がりで昔坂柳と石神が接触していたのであれば両者が互いを知っている点にも違和感は生じません。
但しここでポイントとなるのが坂柳は薄らとしか覚えていない不鮮明な記憶であるのに対し、石神ははっきりと覚えているような描写であった事です。
ここからは残りの重要な根拠を改めて見ていきましょう。
〇坂柳理事長の用意した政府のボディーガードを通り抜けて寮へ入る
〇9巻で綾小路へ謎の電話をした者と同一人物
〇星之宮が以前高育内で見かけた事があると発言
〇綾小路に対して「敵でも味方でもない」と発言
〇ホワイトルームの動きに詳しい
〇綾小路へ「お前の存在が悪影響を及ぼしている。これ以上を防ぎたいだけだ」と発言
〇「月城を排除し、ホワイトルーム生を排除すれば平穏な日々が戻って来ると勘違いしているのではないかと思い助言に来た」と綾小路へ忠告
〇堀北へ「また会いましょう」と発言
これらの根拠を語る上で欠かせないのが石神の正体についてです。
下記が彼の正体についての詳細になります。
彼の正体は幼少期より坂柳理事長と面識があり現在公安警察、もしくは公安調査庁の様な政府の情報機関に所属する調査官であると思われます。
公安警察、公安調査庁は互いに目的と管轄は異なりますが簡潔に言えば政治的目的等を持って破壊活動等を行う団体の活動を制限したり、国家の安全を脅かす団体の監視や潜入調査を行い場合によっては法律に則り団体の解散を命じたり逮捕へ乗り出すという国の秩序を守る組織です。
基本的には潜入先で協力者を作り、連携を取りながら情報収集等を行い調査を進めるのが基本となります。
但しこれはあくまで現実にも存在する組織を元に考えたもので、実際は上述した公安調査庁や公安警察に似た政府直轄であり坂柳理事長も携わっている架空の教育機関、情報機関の所属であると思われます。
以上が彼の正体についての説明ですが、次に彼が何故高育へ潜入しているのかについて前述した根拠も交えて解説します。
〇石神には政府と敵対するホワイトルームの動きを監視する目的がある
前述した政府側の情報機関は、いずれは日本の掌握を目的とし優秀な人材を量産する為に非人道的な教育を施すホワイトルームを稼働させている危険思想を持った綾小路父の動きを追っている。
石神の所属する政府の情報機関は直近のホワイトルームの動きを怪しんでいる(綾小路父が12月半ばに来校している事等)為、石神へ高育内の潜入調査を命じる。
9巻で綾小路へ電話をかけた時と同時期の2月上旬に昔から関わりのある坂柳理事長と接触し、更に情報収集や高育への入学手続きを事前に済ませる為に先立って高育へ来校する。
(※2月上旬に来校している事に関しては12月中旬の綾小路父の来校もだが坂柳理事長がホワイトルーム側に悪評を流され停職に追い込まれる3月の直前である事もポイント。坂柳理事長が2月の時点で悪評を流され始めている事実を知った上で石神にホワイトルームへの警戒を促していた可能性がある。)
その際に綾小路へ情報収集目的、もしくは何らかの忠告をしようと人気の無い深夜に高育内より電話をかけたものの偶然通った教師である星之宮の気配を感じ身を隠す。
第三者に会話内容を聴かれる事態は確実に避けなければならない為、その場で会話するのを辞めて名前を呼ぶ事により自身の声を予め認識させておいて入学後に改めて綾小路へ接触するという方針へ切り替えた。
〇坂柳理事長の用意した政府のボディーガードを通り抜けて寮へ入る
〇ホワイトルームの動きに詳しい
〇9巻で綾小路へ謎の電話をした者と同一人物
〇星之宮が以前高育内で見かけた事があると発言
これらの根拠を踏まえて整理すると
・坂柳理事長の用意したボディーガードを通り抜けて寮に入ったのは石神が政府の情報機関に所属している事もそうだが、坂柳理事長が事前に接触している石神の存在や顔、名前をボディーガードへ周知させていた為だと思われる。これにより石神は名前を伝えるだけで寮へ入る事が出来た。
この説によると体育祭のタイミングで綾小路へ接触する事も坂柳理事長には伝達済みであった可能性も出てくる。(恐らく2月上旬に接触した時点で連携をスムーズにする目的で坂柳理事長との連絡手段は確立済みである為、自室から携帯で坂柳理事長へ連絡を取る事も可能だったと思われる)
・ホワイトルームの動きに詳しいのは石神が所属する政府の情報機関が綾小路父の動きを調査しているから。また坂柳理事長との接触時に更なる情報を集めていた可能性もある。
・9巻で電話をかけた理由は綾小路へ自身の声を認識させ、入学後に改めて接触する為。
深夜にかけたのは人気の無い時間帯だから。
・星之宮が石神を見かけたのは2月上旬の夜中であり、偶然電話をかけている石神を見つけるがすぐに見失ってしまった。
石神が2年生編6巻にて綾小路に接触した際には「電話をかけた直後に不都合な事が起き、それ以来は連絡を取らなかった」と言っているが、”不都合”というのはほぼ確実に星之宮に電話の現場を少しの間だが見られてしまった事だろう。更に言えば”それ以来連絡を取らなかった”のは入学前の3月に坂柳理事長の停職によって理事長がホワイトルーム側の月城に置き変わった為、坂柳理事長が復帰するまでの間綾小路への連絡を控えていたからではないかと思う。
身分を隠して潜入調査している石神からすれば自身の正体が政府側の人間であると月城や周囲に絶対に知られてはならない。坂柳理事長の復帰まではなるべく綾小路への接触は避けて慎重に行動していたと考える。
石神の潜入目的についての説明は以上になります。
最後に下記の残りの根拠についてまとめて解説します。
〇綾小路に対して「敵でも味方でもない」と発言
〇綾小路へ「お前の存在が悪影響を及ぼしている。これ以上を防ぎたいだけだ」と発言
〇「月城を排除し、後はホワイトルーム生を排除すれば平穏が戻って来る。そんな勘違いしているんじゃないかと思って助言に来た」と綾小路へ発言
〇堀北へ「また会いましょう」と発言
石神が綾小路敵でも味方でもない中立な立場なのはあくまで潜入調査中の政府側の人間だから。
綾小路はホワイトルームの出身ではあるものの敵ではない。その理由はホワイトルーム創設者である父の目的に賛同している訳ではない上に、寧ろ現状ではホワイトルームへ強制的に戻そうとする父親と敵対状態にある為。また坂柳理事長が綾小路をホワイトルームより保護する姿勢を見せている事から石神も坂柳理事長の意向を尊重している可能性もある。
対して味方でもないというのは仮にも綾小路父の息子であり、政府の敵となり得るホワイトルームからの邪魔が高育へと入る原因を作っている人物だからだ。
高育は政府を主導として運営されている事は言うまでもないが、その特殊な教育施設にホワイトルームから邪魔が入ってしまうと一般生徒達の教育へ支障が出るのである。
従来通りに進む予定だった試験の内容変更や予期せぬ行事の追加、危険思想と高い能力を持つホワイトルーム生による他生徒への攻撃等、様々な”悪影響”が及んでしまう。
石神が綾小路へ放った「お前の存在が悪影響を及ぼしている。これ以上を防ぎたいだけだ」という言葉。
これがホワイトルーム等外部からの邪魔が入る原因が綾小路にあるという事を示している。
”これ以上を防ぎたいだけだ”というのは文字通りだがこれ以上政府の教育施設である高育に外部からの干渉が及ばないように動いているという石神の潜入目的に繋がってくる。
「月城を排除し、後はホワイトルーム生を排除すれば平穏が戻って来る。そんな勘違いをしているんじゃないかと思って助言に来た」
この一文から読み取れる事は、既に排除した月城や現在高育へ残っている複数のホワイトルーム生、これらを排除し終えたとしてもまだ他にも敵は残されている、もしくは今後干渉して来るという暗示である。
ホワイトルーム陣営では無い他の敵となると、綾小路に敵対する第三の組織が既に動いている事になる。
この組織の正体に関しては情報が少ない為謎の多い状態だが、現段階でも繋がりがあるかもしれない描写がある。
それは佐藤へ突如接触した謎の1年生だ。
この場面では佐藤の綾小路への想いを利用して軽井沢を退学に追い込もうとしている事が伺える。
軽井沢を退学へ追い込もうとする人物は現状天沢か八神の二択になるが、天沢は丁寧に敬語を使い話すような性格ではない上に語調が異なる為考えにくい。
八神の可能性も捨て切れないが、佐藤は一度2年生編1巻の八神の初登場時の場に居合わせていた事がある。
しかし佐藤は接触して来た1年生が初対面かつ見慣れない生徒だと感じている様子だった為、衣笠先生の書き間違えでなければ一度会っているはずの八神であるとは思えない。
そうなると佐藤を利用しつつ綾小路と軽井沢の仲を裂き、綾小路を陥れようとしている人物が他にも居ることになる。
この人物こそ石神が綾小路へ警戒するよう促した第三の組織の人間なのではないかと考えている。
4.5巻にて堀北へ「また会いましょう」と興味ありげに言った理由は結論から言えば高育の生徒の中に協力者を作る目的があり、その対象として堀北を選出したから。
生徒になりすまして潜入調査をする上では必然と同じ立場である生徒からの有力な情報収集も不可欠である。そしてその当時ホワイトルーム生を探していた堀北に目を付けていた。
では何故石神は堀北がホワイトルーム生を探している事に確信を持っていたのか、その理由は二つある。
一つ目の理由は無人島試験の際にタブレットにあるGPSサーチによる生徒の追跡を利用して綾小路が月城達の待つI2地点に居る事やそれを追うようにして動く堀北の反応を監視していたのだと思われる。
石神は無人島試験で月城は必ず綾小路に対してアクションを起こすと確信しており、定期的に綾小路の様子を伺っていた。
そして綾小路の居るI2地点に向かう反応を確認し、それが堀北である事を知った。
月城、もといホワイトルームが絡むI2地点へ向かう生徒にも関わらず一般生徒である事から堀北が綾小路の友人であり尚且つホワイトルームの内情を知る何者かによってI2地点へ誘導されたのだと読みそれから堀北をマークしていたと思われる。
二つ目の理由は、無人島試験からマークしていた堀北がプールの予約名簿を注視していた事。
堀北が綾小路の友人であり、無人島試験でホワイトルームに無関係な一般生徒にも関わらず月城達と綾小路が居るI2に誘導されるように向かっていた事を思い出す。そして何故堀北が名簿に注目しているのかを考えた結果、無人島試験で自身をI2へ誘導した人物(ホワイトルーム生)を探しているのではないかと確信を持つ。
探している相手の名前が分からないのに態々生徒自身が手書きで名前を記した名簿を注視しているという事は堀北は自分が探す相手からの置き手紙に書かれた文字と同一の筆跡を探している事になる。
ここまで思考した石神は堀北へ最後の確認、揺さぶりに出る。それが以下の台詞。
「じゃあ、俺の学力が高いというのはどのタイミングで知ったんですか?友人と予約の時間で打ち合わせていたのなら、OAAを起動して確認するまでにそれなりの時間がかかると思うんですが」
堀北が提案した時間変更の話がつつがなく進み安堵したタイミングでわざと揺さぶりをかけ、堀北が友達との連絡を装いつつ実際はOAAを起動している事や名簿に置き手紙と同一の筆跡があるかを確認しながら起動済みのOAAで生徒を一人一人照らし合わせているという事実をこの台詞によって確信したのだ。
以上の二つの理由により石神は堀北が自分をI2まで誘導したホワイトルーム生を探していると確信し、自身もホワイトルーム生についての情報収集の為に目的が一致している堀北を潜入調査の”協力者”として今後利用しようと画策したのだと考える。
石神にとっては敵でも味方でもない堀北だが、”協力者”としての利用価値は見出したからこそ「また会いましょう」という言葉を残した。
非常に長くなってしまいましたが、全ての根拠の説明は以上になります。
もちろん例の人物が石神であるとは限りませんが、可能性は非常に高いと思われます。
綾小路父、ホワイトルームの目的等も今回の考察に関わって来るのですがその点に関してはまた次回に回したいと思います。
最後まで読んで下さった方々、ありがとうございました。
この考察が少しでも参考になれば幸いです。
それではまた。