はじまり
何度経験したって、いつも新しいもの。
何度出会ったって、いつもときめくもの。
何度別れたって、いつも切なくなるもの。
恋をする、って、一体どういうことなんだろう。
恋は理屈じゃない!なんて言う人もいるけど、それは「人を好きになる」に至るまでの道のりが理屈じゃないだけであって、恋自体は結局理屈で出来ているんじゃないかなと思う。
誰もが心躍らせたくて、でも時には安心したくて、そうやって恋をするんだろうけれど、そんな難しいことをなぜ人々はいとも簡単にやってのけられるのだろうか。
愛じゃないんだからもう少しラフに考えなさいよ、と言われて、ラフに考えたら考えたで、「もう少し相手のこと考えてあげたほうがいいよ」となるし、じゃあ一体恋愛の「恋」の部分って何なんだ!と思う。
私にとって、恋をし合っている人たちはみんな「歩道と車道の間にある細いブロックをいつも歩いている人たち」に見える。
いつか落ちちゃうかもしれないけど、誰かと手を繋いで渡れば怖くない。
もし落ちるときは、二人一緒。そこで終わり。また平坦な道を歩く二人になる。
たった一段、自分と違う場所にいる人たちのことを、ここまで「ハードル」と思うことは、まさに私の経験値の低さが表れている。
でも、いつまでも怖いまま。
「誰かと恋をする」という小さな一歩を踏み出せないことが、私にとっては大きな問題なのだ。
私は、平坦な道でもいいから一人で歩いていける気がする。
道の途中で、手を離されることが怖い。私だけ勝手に落ちちゃうかもしれないことが怖い。
こうやって、小さな理由を並べて「恋」に対して勝手な恐怖心を抱いて踏み出さないのは、他でもない自分自身だ。
そんな自分が大嫌いだ。