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恋と深空 時系列順の感想【ホムラ編】

時系列に沿って、ホムラの物語を追いつつ、感想を添えていきます。ネタバレがありますので、未読の方は先にゲームをプレイする事を強くお勧めします。

※この記事は、伝説「忘却の海」と、思念「香り纏う夢」を含みません。見解は末尾に記載しています。


わんぱくだった子供時代

まずはホムラの生まれと育ちから遡っていきたいと思います。

「ホムラ、本当にリモリア人なの?」(中略)「僕は取り残された海の遺物さ。」

絆デート「潮汐の章」

「見て、魚がたくさんいる!(中略)あなた、子供の頃からここで暮らしてたなんて、幸せだったでしょ?」「そうだね。ここの魚はどれも新鮮でおいしかったよ。(中略)ここは、リモリア遺跡の一つだよ」

思念「クジラの歌」

海は…こことは全く違う世界だ。至るところに岩礁やサンゴ礁があって、常にいろんな魚が通り過ぎていく。僕たちは潮の満ち引きから時間を感じ、日の出から日の入りまで海面の光と影の変化を見る。(中略)海の中には危険が多いし、ここみたいにのんびりした生活は送れない。

思念「海の生命」

海は弱肉強食の世界だ。

思念「クジラの歌」

子供の頃の僕は、よく迷子になっていてね。手を焼いた家族が、はぐれた時にサメに襲われないようにこのクジラの笛をくれたんだ。この笛を吹けば、近くの海からクジラがやって来て家まで送り届けてくれるから…と。残念ながら、家族はいつもすぐ僕を見つけてくれて、サメも追い払ってくれたから、この笛を吹くことはなかった。

思念「クジラの歌」

ホムラは、リモリア人として海の中で暮らしていました。わんぱくな子だったようで、家族は手を焼いていたようです。危険な環境にも関わらず、家族と離れたりしていたようで、怖いもの知らずな子だったのかもしれません。

リモリアのしきたり

遠い昔の出来事がホムラの頭に蘇ってくる。おぼろげな記憶だが、彼は海月の儀式を行う母親の後ろに隠れていた。母親は優しく彼を前に引き寄せ、儀式を見せながらやさしくなだめた。「怖がらないで…」

秘話「セイレーンの歌」5話「一人芝居」

子供の頃のホムラは、ある時、母親が行う海月の儀式を見ます。

月が最も高く上った時、彼らはKを海の奥深くへ押し出し、彼が徐々に海水と一体となっていくのを見守った。

秘話「セイレーンの歌」5話「一人芝居」

リモリアでは、死は忌むべきものじゃない。祝福なんだ。海で生まれた命はやがて海に帰り、海と一体になって永遠の命を手に入れる。

思念「クジラの歌」

「海月の儀式」とは、葬儀の事を指すようです。現実世界でもクラゲは、体の90%が水分でできているため、死ぬと溶けて消えてしまうそうです。恋と深空でも、クラゲにあやかって「海月の儀式」と呼ばれるようになったのかもしれません。リモリアでは、海に還る事が美徳とされる文化のようでした。

誕生日の衝撃

この写真はどこから手に入れたものだと思う?これは僕に絵を教えてくれた先生がくれたんだ。先生は僕に、「絵を学ぶ前に、まず世界を観察することを学びなさい」と言った。(中略)この世界は、7割が海で3割が陸地だ。どうやったって、その3割に僕はいけない。だから先生は絵を教える時、どこから集めてきたか分からない写真や、昔の人が描いた絵を僕に模写させた。だけど僕は、ずっと写真や絵を相手に想像しながら描くのは嫌だった。そこで、「実際に見たことがないものは描けない」って先生に言ったんだ。

それで?先生が激怒しちゃった?

それだけじゃない。僕を言い負かせないからって、家族に告げ口したんだ。おかげで何日か外出禁止を食らったよ。もちろん僕は納得いかなかった。それでその年の誕生日、外出禁止から解放されたその日に、僕は海底から海流に乗って上へ泳いだ。人に見つからないように、こっそり手を海の外に伸ばしてーー

思念「不思議な巡り合い」

むかしむかし、僕…いや、僕の友人が…彼は…海に住んでいた。彼の暮らしていた深海は…退屈で、魚も醜い。彼はずっと陸の景色を見たがっていたが、ある日その願いが叶う。

絆デート「夜遊びの章」

毎年潮汐逆流の日の夜には、深海の生き物が逆流する海水にのって浜にやってくるんだ。

1期2章6話「次のターゲット」

陸に興味を持ったホムラは、年に1度、海水が逆流する日を利用して、深海から海面へ向かいます。しかし、そこで事件が起きました。

年に一度、潮が逆流する日がある。その日は、リモリア人が一年で一番弱くなる時なんだ。この弱点さえ知っていれば、どんなにか弱い人間でも彼らを殺めることはたやすい。(中略)たとえ君が僕を殺そうとしても、僕に抗う力はないのさ。

絆デート「潮汐の章」

子供の頃(中略)深海からひたすら上に向かって泳いで、海面の外に行こうとした。すると、海水が赤くなっている場所にたどり着いたんだ。(中略)あんな色は初めて見た。その後いくら探しても、あの日海に広がっていた赤色を完全に再現することはできなかった。

1期2章7話「聞こえる」

海の果ては血のような暗い赤に染まっていた。何かが引き裂かれ、飲み込まれ、血の塊が固まったように見える。

1期2章5話「絵の中の夢」

一族はみな血の泡となって消えるか、あるいは強制的に連れ去られ、故郷は静まり返った空虚な街となり果ててしまった。

秘話「セイレーンの歌」4話「即興劇」

奴らは私からうろこをはぎ取り、何度も血を抜いた。

秘話「セイレーンの歌」5話「一人芝居」

LCMECsは不死化細胞の一種なんです。ミクロの世界では珍しいものではないですが、この色は先生の絵を思い出させてくれます。(中略)LCMECsの正式名称の後半は、Cardiac Microvascular Endothelial Cells。最初の単語は…「Lem」で始まっていたような気がする。

深層「ミクロの宇宙」5話「課外授業」

「だたの興味本位なんですが、LCMECsの最初の培養細胞はどこから抽出されたんですか?」「…それは本部の機密だ。」

深層「ミクロの宇宙」5話「課外授業」

「…ホムラ先生?」「ミランくん。君達はいつも、生体から細胞を抽出するのかい?それとも…」(中略)「ば、場合によりますね。この細胞の出所は実験室で聞かなければ分かりません。今度聞いてみます!」「そうか…大丈夫だ。わざわざ聞かなくていいよ。」

深層「ミクロの宇宙」6話「LCMECs」

EVERグループの「心臓再生」研究に大きな進展があり、暗雲の隙間から光が差してきた。(中略)EVERグループが永遠の命の秘密にまた一歩近づいたことを意味している。

深空時代「永遠の命は夢じゃない!EVERグループ、『心臓再生』研究に進展あり」

「Lemuria Cardiac Microvascular Endothelial Cells」は「リモリア心臓微小血管内皮細胞」となります。「何かが引き裂かれ、飲み込まれ、血の塊が固まったように見える。」とは、おそらくリモリア人の心臓が取り出された事を表しているのでしょう。EVERは永遠の命を欲しており、リモリア人の不死化細胞を手に入れるために、潮汐逆流の日に弱る事を利用して、リモリア人を捕獲していたのだと思われます。

海は弱肉強食で、死が隣り合わせの環境だったと思われるので、ホムラは血自体は見慣れていたと思います。しかし、赤色は光が届かない場所では、ほぼ黒色に見えるので、深海に住んでいたホムラは、赤色は見たことが無かったのではないでしょうか。海面にたどり着いた時、ホムラは初めて赤色を見て、衝撃を受けたのでしょう。

主人公との出会い

先生は、陸地の物をリモリアに持ってくることはできないと言っていた。リモリアの生き物は陸地では生きていけないとも。今思えば、それもただの嘘だった。

思念「不思議な巡り合い」

彼は海へ戻ろうとしたが、浅瀬で座礁してしまった。さっきの魚みたいに、なす術なく死を待つことしかできなかったんだよ。

絆デート「夜遊びの章」

潮汐逆流の日で、力が入らなくなったホムラは、座礁してしまったようです。ホムラは「リモリアの生き物は陸地では生きていけない」とは聞かされていても、力が弱る事までは教えてもらっていなかったのかもしれません。

昔、遠足に来たことあったけど。

1期7章6話「遠足」

「少女に助けられた。」(中略)「もしかして、その少女に恋をしてしまった?」「恋?そう恋だよ。」

絆デート「夜遊びの章」

ホムラは、遠足で帽子島に訪れていた主人公に助けられたようです。助けてもらったホムラは、主人公に恋をしました。

海面のぬくもりに恋い焦がれて、日の出になってからようやく帰る気になる偏執的な生き物もいるよ。

1期2章6話「次のターゲット」

ホムラは主人公に夢中になってしまい、日が出て周りが明るくなった事で、やっと時間が過ぎたことを知ったのではないでしょうか。

そして明け方の干潮時になると、また故郷に連れ戻される。だからその夜に出会った全てが、彼らの陸の記憶の全てになる。

1期2章6話「次のターゲット」

ホムラの住んでいる場所は深海で、海流を利用して泳がなければ、子供のホムラにはたどり着けない距離だったのかもしれません。海流を利用するためには、干潮時にはもう帰る必要があったのでしょう。

約束だよ。君が来なかったら…どこまでも、君を追いかけ続けるから。

1期7章11話「抗えぬ心」

帰らなくてはいけないホムラは、主人公の方からホムラに会いに来てもらう約束をしたのだと思われます。

「あなたの鎖骨の真ん中にあるそれ、何?」(中略)「これはリモリア人だけが持っている印だ。(中略)名前は、この世で最も強い呪文だから。君が誰かの名前を呼んだ時、見えない何かでその人と繋がるんだ。」(中略)「もう歩けない。ホムラ、おんぶして。」彼が身をかがめた時、再びあの綺麗な印が現れた。木漏れ日に照らされ、開いた襟元でかすかに光っている。「ほら、乗りなよ。」(中略)「ホムラ、あなたはお馬鹿な猫だよ!」「ふざけないでよ。どうして僕がお馬鹿なーーニャー!」「名前、本当に効果があるみたいだね。」

思念「花の名のもとに」

別れる前にホムラは主人公とリモリアの契約を結びます。リモリアの契約は、相手の名前を呼ぶことで行動を制御できるもののようです。ホムラは自分を捧げても良いほど、主人公に心底恋してしまったのでしょう。契約した証は、ホムラの鎖骨に魚を模した印として刻まれました。

たかが絵描きに、仇なんているわけないでしょ。僕の恋人だよ。

深層「砂に沈む遺跡」6話「音声ファイル:衝突」

主人公がリモリアの契約に応じてくれた事で、ホムラはもうすっかり恋人気分でした。ホムラにとっては遠距離恋愛のつもりだったのかもしれません。

セイレーンは深海に戻り、ようやく全てが終わったと思っていた。しかし思わぬことに、目の前の海の王国は一夜にして血に染まった廃墟と化すことになる。

秘話「セイレーンの歌」4話「即興劇」

恋に浮かれていたホムラは、深海に帰ってやっと一族がEVERに蹂躙されたことを知らされたのだと思います。一族の悲劇を知った幼いホムラに、さらなる悲劇が追い打ちをかけます。

深海は彼にとって完全な牢獄となった。(中略)待っていたんだ。ずっと。でも彼女は現れなかった。

絆デート「夜遊びの章」

…親しくなるほど、別れはつらくなる。僕は別れに慣れていないんだ。

思念「まだらの足跡」

リモリアで例の事件が起きた後、ホムラはがらりと変わった。タンレイでさえ、彼を知らない人のように感じることがある。以前のホムラは燃え盛る炎のようなら、今の彼は長い間雨風にさらされた岩礁のようだ。冷たく硬い表面の下には無数のひびがあり、いつ波によって崩れ落ちるかわからない。

秘話「セイレーンの歌」2話「歌のレッスン」

主人公を待っていたホムラでしたが、いつまで待っても主人公は現れませんでした。当時を振り返ってホムラは「牢獄」と評しているので、無味乾燥な日々だったことが伺えます。叔母のタンレイから見ても、ホムラは覇気がなくなったようでした。

リモリアの復讐

果てしなく広がる大地と空は、かつては多くのリモリア人の夢だった。それが終わりのない悪夢になるとは思いもしなかっただろう。

秘話「セイレーンの歌」5話「一人芝居」

リモリア人達は陸にあこがれを抱いていました。しかし現実は悲惨でした。陸に期待していた分、かえって憎しみも強かったでしょう。

「フェーン氏が…死…死んでる!」幕の後ろで、ホムラは登場口のドアに背中をもたせかけ、外の喧騒を遮断していた。目を閉じて深呼吸を繰り返すうちに、ようやく自分を取り戻す。

秘話「セイレーンの歌」1話「サスペンス」

胸の中で、何かが彼に叫んでいる。目を開けろ、彼らのために復讐しろと。ホムラは立ち上がろうとした。しかしその時、黒い暗流に巻きつかれているような感覚を覚える。彼がその手で葬った多くの人々の影が目の前の暗闇に浮かび上がり、彼を下へ下へと引きずり下ろそうとする。

秘話「セイレーンの歌」5話「一人芝居」

リモリア人達は人間を憎み、復讐を望むようになります。そしてホムラにも復讐することを求めました。しかし、ホムラは気が進んでいないようでした。

「…私も行動を慎み、行方を知られないよう気を付けます。もしかしたら、いつかあなた様の近所に引っ越してくるかもしれません。」「別にすぐでも構わないよ。タンレイと僕が面倒を見てあげるから。」

思念「溺れるままに」

ホムラは身内の面倒を見ようとするなど、仲間意識が強い性格なのだと思います。そのため、一族が復讐を求めていたら、応えずにはいられなかったのでしょう。

ホムラはKの車椅子を押し、病室を出て海辺へ連れて行った。「諦めないで。僕が必ず君たちを家に帰すから」ホムラはそう言ったが、Kは首を横に振って海をじっと見つめる。「私はもう立ち上がることもできない。」(中略)病院で、当直の医師はこっそりホムラに伝えた。Kはもはや虫の息で、彼が何を支えにして苦しみながら生きているのか、自分にはわからないと。(中略)他の一族の生き残りも数人一緒に来ていて、彼らはKのために海月の儀式を行う事を了承していた。それでもなお、ホムラは心苦しかった。

秘話「セイレーンの歌」5話「一人芝居」

Kは人間にさらわれた一人でした。ホムラはがんばってKを、家である海に帰そうと努力しますが、間に合わずKは死期を迎えます。Kは陸にいるより、たとえ体が動かず沈みゆくだけだとしても、海で最後を迎えることを選びました。Kを救おうとがんばってきたホムラは、悲しみながらKの意思を尊重します。

レーウィンの葬儀は自宅の大広間で行われた(中略)ホムラはその悪意を含んだ視線を無視して、ガラスの水槽が置かれた大広間の中央へ向かった。彼は中にある人魚の骸骨を見て少し足を止めると、レーウィンの棺を向いて参列者たちと共に立った。(中略)ホムラが弔う番になった。彼は前に出て棺の横で身をかがめると、特別に選んだブルメリアをそっと置いた。咲いている花を、ガラスの水槽に向けて。黒と白ばかりの中、この明るい山吹色は唯一の彩りになった。彼が両手を合わせ、敬虔に目を閉じる。そしてひそやかに花束と同じ方を向き、声を出さずに哀悼の言葉を唱えた。聞きなれた歌声が聞こえてくる。タンレイが大広間の一番前に立ち、挽歌を歌い始めた。ホムラが目を開けると、まぶしい日差しがガラスの水槽を通り抜け、仲の骸骨は同じ姿勢のまま静かに空を見上げていた。彼はタンレイが誰のために歌っているかを知っている。タンレイもまた、彼が誰のために来たかを知っていた。

深層「花束と挽歌」4話「挽歌」

「自由、幸福、そして再生(中略)その花の花言葉だ。誰かにプレゼントするのか?」「うん、親戚の娘さんにね(中略)これの花束を1つ頼むよ。彼女の葬儀に持っていく。彼女の父親は、もう自分で彼女に花を渡せる機会がないんだ」

深層「花束と挽歌」3話「ブルメリア」

骨盤の両脚からヒレのような骨が伸び、両脚であるはずの箇所は長い脊椎骨になっている…骸骨の形は不気味でありながら美しく、星座をする少女のようだった。

1期2章2話「意外な出会い」

Kは幼い娘を人間に捉えられて、亡骸をさらされていました。

月が最も高く上った時、彼らはKを海の奥へ押し出し、彼が徐々に海水と一体となっていくのを見守った。人々の向こうから、Kがホムラに向かって微笑みかける。ホムラは彼の唇の動きを読み取ったーーー「怖がらなくていい」

秘話「セイレーンの歌」5話「一人芝居」

あなた達と同じ種族のある人は、人間にそそのかされて、最後には泡になって消えてしまったんだから。

思念「溺れるままに」

娘を奪われたKは人間をひときわ憎んでいたかもしれません。Kは失意の中、海の中へ消えていきました。

「いつか僕が死ぬとき、僕も海の一部になるだろう。」(中略)彼の表情に、私には到底理解できない悲しみが浮かんでいるような気がした。

思念「クジラの歌」

親戚という近しい者の死は、後々までホムラの心に傷を残しました。

主人公へ会いに行く

届いたラテを彼女に渡そうとしたところで、ピタリと手を止めた。「例の物は?」「バッグにあるわ」タンレイがラテを受け取ろうとすると、ホムラがまた手を少し引っ込める。彼女は仕方なくバッグから資料を取り出し、テーブルの中央に押しやるように置いた。そこでようやくホムラもカップを置き、資料を見始める。「どんどん強情になってきてるわね…」タンレイはラテを飲みつつ、資料に集中しているホムラを見て呟いた。(中略)タンレイは、資料に載っている人達の名前を書き写す彼の筆圧が、紙を突き破りそうなほど強いことに気づく。

秘話「セイレーンの歌」2話「歌のレッスン」

「ご乗船の皆様、目的地の臨空市が前方に見えて参りました…」ホムラが資料を取り出して火をつけると、紙は一瞬にして海風の中に消えていった。(中略)調べた人物の情報は、いくつかの点で彼が持っている情報よりも詳しいものだった。(中略)ホムラは写真の中の少女を見て微笑み、カモメをなでた。

秘話「セイレーンの歌」6話「物語の続きへ」

しびれを切らしたホムラは、子供の頃に「どこまでも君を追いかけ続ける」と言った通り、待っているのではなく、自分から会いに行きます。

「EVERには執行リストがあるよね。リストに載っている人間は、死んでいるか行方不明かだ。(中略)もしリストにその名前があれば、彼女に関する一切を処理させてほしい」(中略)ホムラが本当に取引すべき相手は、自分ではない。彼の余裕ぶりを見るに、それは彼自身もわかっているだろう。ホムラを「あの人」に紹介できれば、どちらにとっても有益な取引となるかもしれない。「ホムラ先生。明日の夜、ここであなたを待つ人がいます。ですがあのリストを手に入れられるかどうかは、あなたの交渉力次第です」「蜂の巣?」ホムラが手にした住所に視線を走らせ、彼の手のひらで炎がそれを呑み込む。

深層「砂に沈む遺跡」6話「音声ファイル:衝突」

「蜂の巣」というバーの2階の個室で、ホムラはソファに座ってコインを弄んでいた。

秘話「癖になる痛み」3話「参入者」

リモリアの復讐のためにEVERの情報を探っている最中、ホムラは主人公が狙われている事を知ります。そこでホムラは交渉をしかけ、EVER内部の者と内通することに成功します。

大学か…計算によれば、確か彼女はまだ学生のはずだ(中略)臨空大学。お前が探している人間はそこにいる。(中略)引き続き、臨空大学に行くためにどんな口実を使おうか考えを巡らす。

秘話「癖になる痛み」2話「もう一つの偽装」

情報提供を受けたホムラは、主人公が、自分が講演を行った大学の学生だという事を知ります。ホムラは主人公に会いたくて、大学に行く口実を考えはじめてしまいます。

人気芸術家がキャンパス内をうろつき、ある女子学生の情報を聞きまわれば、すぐさまゴシップ誌のトップ記事になるだろう。この件は…やはり秘密裏に進めなければならない。(中略)講座が終わり、ホムラはホールを出た。すると、芸術学部長がオフィスでお茶でも飲まないかと声をかけてくる。ついでに特任教授へのオファーの件も話したいらしい。(中略)「お気持ちはありがたいのですが、遠慮しておきます。」

秘話「癖になる痛み」2話「もう一つの偽装」

お望みの情報だ。彼女を狙っている者は少なくない。この状況から考えると、既に手を回している者がいる。しかも、何年も前からな。

秘話「癖になる痛み」3話「参入者」

彼女の気配は既に海の住民でない狩人を引き寄せている。ホムラはわかっていた。もし今軽率に彼女のそばに姿を現せば、自分が狩人達の標的になるに違いないと。さらに言えば、彼女を餌にして、彼がひっかかるのを暗がりに隠れて待っている人間もいるかもしれない。(中略)もうここまで来たのだから、一刻も早く会おうと先走る必要はない。手を出す上で前提となるのは、絶対的な安全を確保することだ。

秘話「癖になる痛み」4話「餌」

主人公は複数の勢力から狙われているようでした。自身も狙われている立場なので、ホムラは逸る気持ちを抑え、冷静になろうと努めます。

臨空大学のキャンパスはどんな人にも開放されている。ゆっくりと並木道を歩くホムラのそばを、多くの人が行き交う。前回の講座で訪れて以来、彼はこのキャンパスの雰囲気を気に入っていた。(中略)もしかすると、彼女は今の人込みの中にいるかもしれないし、気付かないうちにすれ違っているかもしれない。

秘話「癖になる痛み」4話「餌」

冷静になろうと努めるホムラですが、会いたい気持ちが抑えられないのでしょう。主人公と会えるかもしれないと期待を膨らませつつ、キャンパスを歩いているように見えます。

近くにある掲示板に目が留まるーーそこには偶然にも、懐かしい人の写真が貼られていた。数年ぶりの再会だったが、ホムラには一目でわかった。この写真はこれまでに見たどの写真よりもはっきり写っている。彼女の顔は、記憶とは少し違うが、そこまで明らかな差はない。幼さが消えただけで、笑顔は昔のままだ。(本当に久しぶりだ。)彼は心の中でつぶやいた。(中略)手に入れた情報が増えるほど、彼はかえって焦らなくなっていた。ここに残されたいくつもの足跡の中には、重なり合った二人の足跡もきっとある。

秘話「癖になる痛み」4話「餌」

キャンパスを歩いていると、ホムラは偶然、主人公の写真を見つけます。成長した主人公の顔を見れたホムラはとても嬉しそうです。長年、画質が悪い写真を見て想いを馳せていたのなら、当然でしょう。主人公と会ってしまうかもしれないのに、キャンパス内を歩き回る事はいけない事だと、ホムラ自身も後ろめたいのかもしれません。足跡が重なっている事を信じることで、自分と主人公の繋がりを確かめ、自分を諫めようとしているように見えます。

いやあ、よかった。これでこれから1年間、ホムラ先生はうちの特任教授ですね!

秘話「癖になる痛み」5話「予期せぬ出会い」

主人公の顔を見てしまったホムラは、主人公を想う気持ちが高まってしまい、がまんできずに臨空大学の特任教授の依頼を受けてしまいます。

主人公との邂逅

ちょうど昼休みの時間になり、数人の女子学生のグループがホムラの後ろに座った。そのうちの一人が答える。「えっと、確か…シーソルトチーズケーキだったかな?」その瞬間、懐かしい声がホムラの鼓膜を打った。(中略)彼女はまだ友達と何か喋っていたが、その後の内容はもうホムラの耳には入ってこなかった。(中略)声のトーンは落ち着いたものになっていたが、発音や話し方、発言する時のテンポやアクセント、そして言葉の一つ一つが、ホムラの遠い昔の記憶を次々と呼び起こす。

秘話「癖になる痛み」5話「予期せぬ出会い」

念願叶って、ついにホムラは主人公と邂逅します。話の内容が頭に入ってこないほどですから、そうとう嬉しかった事が伺えます。

「リモリア?」「えっ、知らないの?」「…あはは、卒論の準備で忙しくて」彼女の疑問がどういう意味なのかはわからない。リモリアについて聞いたことがないのか、それとも講義の情報を知らなかったのか。

秘話「癖になる痛み」5話「予期せぬ出会い」

浮き立つホムラに、ひどい仕打ちが訪れます。なんと主人公はリモリアの事を覚えていなかったのです。ホムラは思わず動揺してしまいます。

「臨空市…と臨空市の人には、どこか不思議な感覚を覚えるんだ」「その感
覚を具体的に表すと?」(中略)「手のひらや舌の先で感じる、辛さのようなものさ」「つまり、味ということですか?」「味なのかな?」(中略)味覚ではなく知覚ーー病みつきになるような痛みであることを。

秘話「癖になる痛み」1話「発火」

久々にあの「辛さ」が襲ってきた。心臓の先端から、下に向かって徐々に広がっていく。この過程は同時に病みつきにもなる。

秘話「癖になる痛み」4話「餌」

ホムラは恋人との遠距離恋愛のつもりだったので、会えない辛さでも、病みつきになったのだと思います。

スパイスが足りなければ、辛味も平凡なものになってしまう。

秘話「癖になる痛み」5話「予期せぬ出会い」

しかし、主人公と相思相愛というスパイスがなければ、それは病みつきになる辛さではなく、ただ辛いだけになってしまいます。

救われただって?むしろ災いの始まりさ。(中略)全部あの子のせいだ。彼女が何もわかっていないから…。気まぐれで動物を助けると、好かれてしまうよ。

絆デート「夜遊びの章」

可愛さ余って憎さ百倍。ホムラは完全に拗ねてしまいます。

出会いのやり直し

「ワンダラーのせいで、帽子島行きの船は出てないよ。行かない方がいい。」「なるほど…船のチケットが手に入らないわけだ。君のおかげで無駄な時間を使わずに済んだよ。」

1期1章7話「さざ波」

臨空市近海にある小さな島で、山が帽子の形をしていることからこの名がついた。かつては人気の観光スポットだったが、現在はワンダラーが多発していることで廃墟となっている。

深空百貨/臨空ライフ

主人公が在学中に、既に臨空市にいたホムラが、帽子島が封鎖されている事を知らないのは違和感があります。「なるほど」と言っている時、ホムラは目をそらしていました。目をそらしたのは嘘をついているからでしょう。ホムラは知らないふりをしているのだと思います。おそらく、子供に手伝ってもらい、主人公をおびき寄せ、偶然の出会いを演出したのではないでしょうか。

金魚すくいの出店には「リモリアの海で世界最後の魚を救おう EVOLバーチャルフィッシュの中には本物の魚が1匹だけいるよ!」と書いてありました。諦めきれないホムラは、ヒントを散りばめることで、なんとか主人公に思い出してもらおうとしているように見えます。

「待って。この子、あなたと一緒なら少しは長生きできそう。」「…」「もし海が好きなら、臨空市で一番綺麗な海『白浜湾』にーー

1期1章7話「さざ波」

スマートに金魚を掬って見せ、リモリアの知識を披露し、かっこよく決めたと思ったら、帰り際にホムラは主人公から赤い魚をプレゼントされてしまいました。ホムラの鎖骨には、魚を模した赤い印があります。赤い魚をもらったホムラは、主人公と契約を交わした時の事を思い出したでしょう。動揺したホムラは、主人公が話している途中で、退散してしまいます。

主人公との再会

アトリエで作品制作をしていたところに主人公が訪ねてきます。

(よく喋るな。雑誌に載っているのは偽物なんじゃ…。)

1期2章9話「サンゴの謎」

ホムラは主人公に会えたことが嬉しくて喋りすぎてしまいます。はしゃいでいるようです。

そのサンゴは僕のものだ。だから僕に任せて…

1期2章10話「血と焔」

ホムラは、主人公からワンダラー出現の元凶の疑いをかけられて、はぐらかそうとします。サンゴの石を使った絵を買ったレーウィンが、リモリアの復讐に関わっていたからでしょう。

「真実を話すつもりがないみたいだね。またあなたの絵で何かあれば、ここに人が殺到するよ。」「ハンターの我慢って3分までなの?話は終わってないよ。」

1期2章10話「血と焔」

ホムラがはぐらかしていると、主人公は帰ってしまいそうになり、ホムラは慌てて主人公を引き留めます。ホムラとしては、長年の想い人をここで手放したくはなかったのでしょう。

「問題がサンゴにあるかどうか、僕に確かめさせてくれない?」「…熱い!!!幻影…?」

1期2章10話「血と焔」

ホムラは主人公を引き留めるために、とっさに嘘をつきます。サンゴの石に、自分の血を垂らし、青い魚の幻影を出します。ホムラは青い魚の幻影を出す能力を持ち、ホムラの血は特異エネルギーを増幅する効力があります。それを、青い魚も、特異エネルギーも、両方サンゴの石が原因だと、主人公に錯覚させました。作戦は上手くいき、主人公を引き留める事に成功します。しかし、引き留めたはいいものの、主人公はサンゴの石について、また追求してきます。

「ねえ、このサンゴ、特異エネルギーがついてるんだけど。どこで買ったの?」「買ったんじゃない。サルデーニャ島に住むサドー人との物々交換で手に入れたか、あるいは…」「覚えてないならいいや…」

1期2章12話「不平等な取引」

ホムラはもう一回はぐらかしますが、主人公の方も、また引き上げようとしてしまいます。

「最終記録、見てみる?」「記録?」

1期2章12話「不平等な取引」

ホムラは慌てて、覚えていないが記録があると言って、主人公を引き留めます。

「…それで、これの出どころを知ってどうするつもり?」「現地を封鎖することになるかも。」「じゃあ簡単には渡せない。けどーー代用品があればいい。実は、サンゴは臨空市の近くでも取れるんだよ。でもさっき怪我をしてしまったから、探す途中で何かあったら大変だ。」「…なら、どうしてほしいの?」「さっきの戦闘、君はなかなか手慣れているようだった。もし僕のボディーガードになってくれたら…」「…ボディーガード?」「一緒に行こう。代用品さえ手に入れば、これは譲ってあげてもいい。」「…」「返事は待つよ。これは僕からの『個人的な依頼』だ。じゃ、さよなら。」「(任務のためだ。とりあえず彼と一緒に行ってみよう)引き受けるよ。でも無茶は言わないでね。」

1期2章12話「不平等な取引」

主人公と一緒にいたいホムラは、とっさにボディーガードを依頼することを思いつきます。特異エネルギーが付着したサンゴの石を渡すことを交換条件に、代用品を手に入れるために同行するよう、主人公に交渉します。ホムラは話している最中、目が泳ぎまくっていましたが、なんとか作戦は成功。主人公は同意してくれました。

主人公との追憶

「あなた自身もあのリストに載っていることはご存じかな?6番目にね」ホムラは否定せず、ただ不満そうに眉をひそめた。「そんなに後ろなのかい。一番上だと思っていたのに」そのどうでも良さそうな様子を見て、ふとレインウェアの頭にある推測が浮かんだ。彼は奇妙な死に方をした人々や、他の都市で騒がれた「セイレーンの殺人」の噂を思い出していた。それから自らの手、あるいは他の「レインウェア」の手で処理してきた、EVERグループが「研究サンプル」と呼んでいる異属の命の事を。

深層「砂に沈む遺跡」6話「音声ファイル5:衝撃」

ホムラは一族の中でも前線で復讐を執行していたためか、EVERはホムラがリモリア人だという疑いをかけているようです。

確かにあなたの作品には、アトランティスのようなロマンチックな雰囲気がありますね。

秘話「癖になる痛み」1話「発火」

「では早速ですが、ホムラ先生は最初の講義のテーマについて何か考えられていますか?」(中略)「まずは美術史から始めるつもりです。(中略)教科書に書かれていない美術史について話します。」その後すぐに、ホムラの講義『忘れられた海ーーリモリアの芸術と文明』のポスターがキャンパスのあちこちに貼られた。

秘話「癖になる痛み」5話「予期せぬ出会い」

リモリアを狙う奴をおびき出すためでしょうか。EVERが疑っている事は事実だと言わんばかりに、ホムラはリモリアをテーマにした作品を発表したり、リモリアについての講義を行います。

「簡単に言うと、N109区のとある人物から絵を描くよう依頼されたんだけど、断ったんだ。」「…1枚の絵のために、あなたを殺すの?あなたの絵に特別なところが?」「それはもちろん、僕の絵の中に自分達の欲しいものに繋がる秘密が隠されているって、そいつらが気づいたからさ。」

1期7章2話「絵の中のからくり」

「N109区に興味津々のようですね。ひょっとして、仲間入りしたいんですか?新しい懸賞任務が発表されていますが、興味ありませんか?私も紹介料が欲しいんですよ。」「ターゲットは誰なんですか?考えてみます。」受信した画像を開く。懸賞のポスターに載っている人物を見て、激震が走ったーーそれはどこからどう見てもホムラだったのだ。

1期7章1話「調査」

ホムラが撒いた罠にかかった人物がホムラに接触してきて、ホムラをN109区の懸賞にかけました。

君は優しいね。僕の安否を気遣ってくれるだけじゃなくて、ランチまで一緒に食べてくれるなんて。

1期7章2話「絵の中のからくり」

ホムラが懸賞にかけられている事を知った主人公が、ホムラにN109区の情報を聞きに来ました。

「彼らが欲しがっているものは、あなたの絵の幻影と関係してるの?」「幻影?君は何を見たんだい?」「海辺にいる少女だよ。私にはわからない歌を歌ってた…すごく切なそうな声で。」

1期7章2話「絵の中のからくり」

話の途中で主人公は、絵の幻影を見たと言い出します。ホムラは、主人公のこの言葉を聞いて、もしかしたら記憶が呼び起こされたのかもしれないと期待したでしょう。ホムラは主人公に何を見たのか問いただします。主人公が話したのは、海辺の記憶でした。

「あなたの絵が特別なのは、あのサンゴを使ったから?」「ああ。あのサンゴは珍しいもので、海の底の『リモリア』と呼ばれる場所にあったそうだ。そこには珍奇な宝物がたくさんあって、小さなサンゴ一つでさえ、人に幻を見せる不思議な効果がある。あのサンゴを砕いて作った絵の具を使うと、絵を見た者は画家が描いた夢の中に入れるんだ。」

1期7章2話「絵の中のからくり」

主人公が思い出すかもしれないと思ってか、ホムラはリモリアの話をします。

「展示準備から展示中、売却まで、あの絵に触れた人の数は少なくとも2桁以上いるはずですが、ワンダラーが出たという報告は受けてません。」「でも、もし誰かが彼の絵のせいで幻覚を見たり、見た事のないものを目にしていたら?」「それはすごい誉め言葉ですね!自分の作品を目にした者が狂っていくなんて、ほとんどの画家が叶えられない事ですよ!」

1期2章7話「聞こえる」

今までレーウィン以外に問題が出た事はなかったようですので、「小さなサンゴ一つでさえ、人に幻を見せる不思議な効果がある」というのは嘘でしょう。主人公の話に合わせただけだと思われます。

彼が寝ているときに、こっそり共鳴のEvolを使ってどんな夢を見ているのか覗こうとしたことも何度かある。

秘話「流星の降る夜」1話「遠い星」

主人公のEvolは、他人の夢を覗き見る事ができるので、主人公が絵の幻影を見たのは、サンゴではなく、共鳴が原因でしょう。

私達の右斜め後ろの席に、黒いジャケットを着た男が体を低くして座っているが、その姿は植木に遮られている。

1期7章2話「絵の中のからくり」

アート関係の低俗な週刊誌さ。セレブやアーティストのゴシップばかりをネタにしている。

1期7章3話「謎の追求」

主人公と話をしているとパパラッチが現れます。

「あのレーウィンっていうコレクターのことだよ!彼が…死んだ。(中略)死んだんだ!昨日の夜!寝室の浴槽で溺死したそうだ。誰も気づかなかったらしく、翌日執事が見つけた時には、もう助かる状態じゃなかった。(中略)警察が屋敷を封鎖して捜査したが、監視カメラを調べても、彼以外は誰も部屋に入っていない。(中略)レーウィンの寝室の隣のコレクションルーム。そこに飾ってあったホムラの絵が消えたんだ。聞いた話によれば、レーウィンは死ぬ前にナイフで腕や足を何度も切り付けていたらしい。その傷口は、ウロコのようだったとか。ぞっとするだろ。金持ちだからな。警察はすぐに情報を隠しやがった。自分の首が飛ぶような秘密がもれないように…フン。」(中略)「彼が死んだのは昨夜なんでしょ。僕はどこにも出かけず、ずっとアトリエにいたよ。お悔やみ申し上げることしかできないね。」

1期7章3話「謎の追求」

…ウロコ!?これ…本物?噓でしょ…。このウロコ…ホムラは本当に普通の人間じゃない…!?(中略)伝説通りだ…ホムラ、本当にリモリア人なの?

絆デート「潮汐の章」

市内で有名なコレクターであるレーウィンに意識障害の症状が現れ始めた。彼はコレクションルームに籠って出てこなくなった。多角的な診断により、精神疾患の可能性はないとのこと。

1期2章2話「意外な出会い」

「Aksoの遠隔体調検測装置によれば、あなたの体の各数値は回復傾向にあり、測定された身体年齢は実際の年齢よりはるかにお若い。」「なぜ1年経っても私が死ななかったか興味があるか?

1期2章3話「一触即発」

レーウィンは意識障害があるものの精神疾患はないそうですから、精神病を患っていて自傷行為を行っていたという訳ではないでしょう。レーウィンは、延命するためにリモリア人の不死化細胞を移植した結果、体が適応しきれず意識障害が出始めたのだと思われます。ホムラを見ると、リモリア人は人魚の姿に近づくほど皮膚のウロコが増えていく体質のようです。レーウィンは移植後に体に変化が出始め、皮膚にウロコが出始めたのでしょう。せっかく生き延びたのに自分が人魚になるかもしれないという現実から逃避するためにウロコを取ろうとして、ウロコのある部分をナイフで切り付けていたのだと思います。

EVERグループCEO・ディンが記者会見を開き、ある実験の成果を発表した。(中略)「我々の目的は命の境界を作り変えることではなく、寿命を延ばし、生命の質を向上することである」と強調した。また、「この実験は研究の一つの可能性を示しただけである。コア研究における人体実験は厳しく禁じられているが、我々は法律や倫理を尊守し、それらに抵触することはない」とも述べている。

深空時代「永遠の命は夢じゃない!EVERグループ、『心臓再生』研究に進展あり」

EVERは自分達の行っている事に対して、世間からの批判を浴びる事を危惧しているようですから、レーウィンの死因と、ホムラの絵を隠蔽したのでしょう。

明日、君の上司に君の悪質な尾行についてクレームを入れて、インタビューをキャンセルするように僕のマネージャーに頼んでおくよ。君は確実にクビだね。(中略)だから調べてくれないかな。君がさっき話した、情報を隠そうとした者が誰なのかを。

1期7章3話「謎の追求」

EVERは証拠を隠滅し引き上げようとしますが、ホムラはしっぽを掴み引きずり出そうとします。

石階段を上がって屋上庭園に出ると、臨空市で最もにぎやかなエリアが足元に会った。(中略)私は体についた草を払い落とすと、立ち上がって別れを告げた。(中略)「今描いている絵を完成させるためには、一番肝心な絵の具が足りないんだ。」

1期7章4話「波と潮の下で」

ひと段落すると主人公が帰ろうとします。ホムラは主人公と次の約束を取り付けるべく「絵の具が足りない」と、理由を取って付けます。

「あと数日はちょっと忙しいから、その後に必ず。」(中略)「実は、N109区に忍び込む方法をふと思いついたんだよね。」「どんな方法?」(中略)「少し隙を見せれば、彼らは自ら君に接触してくるかもしれないよ。」「餌を投げるにしても、暗がりに隠れた大魚がちゃんと噛みつくように、先に正しいスポットを探しておかないと。」「僕がスポット探しに協力するよ。(中略)僕に協力するって決めたら、明日の朝、白砂湾の埠頭においで。」

1期7章4話「波と潮の下で」

主人公が返事を渋るので、ホムラはN109区の情報をちらつかせます。すると主人公は乗ってきてくれました。

あれが帽子島。あそこに奇妙なワンダラーが現れたんだ。(中略)そいつのコアにはレアな物質が含まれているんだけど、それで…絵の具を作って、創作に取り入れたいんだ。

1期7章5話「波と潮の下で」

おそらく、このホムラの話は嘘でしょう。昨日時点での話では、制作中の作品に一番肝心な絵の具が足りなくなったので補充するためと言っていました。しかし、今日は新しい創作を行うためと言っており、矛盾しています。おそらくホムラも、嘘を重ねすぎて、自分が何を言ったか把握しきれなくなってきたのではないでしょうか。

「コアにそんな使い方が?信じないよ。」「おかしいな。もう目の前なのに、30分漕いでもたどり着かないなんて。君、サボっていないかい?」「サボってないよ。あなたが私と逆方向に漕ぐから、全然進まないの。」「このオールが悪いのさ!僕にこの運動は向いていない。船を捨てて泳ごう。」

1期7章5話「波と潮の下で」

さすがに主人公も訝しみます。主人公を騙せなかったホムラは話をそらします。

「波動は感じるけど、探査機は反応なし…ワンダラーじゃないのかも。」「その『腕時計』の感度が心配だ。サンゴは持ってきた?」「またこの前みたいにあなたの血を使うの?」「君のEvolでやるの。これはここのものだ。君が異常を感じたのはここの特異エネルギーが付着しているせいかも。君のEvolをサンゴと共鳴させたら、ワンダラーが引き寄せられて来るかもしれない。」

1期7章6話「遠足」

以前ホムラは「あのサンゴは珍しいもので、海の底の『リモリア』と呼ばれる場所にあったそうだ。」と言っていました。しかし、ここは帽子島です。「これはここのものだ。」という事は、サンゴは帽子島のものだと言っている事になり矛盾します。

帽子島
臨空市近海にある小さな島で、山が帽子の形をしていることからその名がついた。

深空百貨/臨空ライフ

リモリア
2034年に臨空市南東の遠海で発掘された海底城塞がリモリアの遺跡であることが判明し、リモリア文明の存在が裏付けられた。

深空百貨/都市伝説

リモリアは遠海で、帽子島は近海で、場所も離れています。

調査船が目標の海域に着いた日ーー20日だったかと思います。セイカ先生がチームを率いて、ハンさん、トワさん、ヨウ教授の4人で、潜水艇で海中へ潜っていきました。(中略)海中には以前我々が建設した考古学基地があるので、数日は滞在できます。

深層「砂に沈む遺跡」3話「音声ファイル2:離脱と消失」

ハンターを帯同させず、民間人がたった4人で長期滞在できるほどですから、リモリア遺跡にワンダラーはおらず、特異エネルギーもなかったと思われます。おそらく「サンゴの石がリモリアの物」というのは嘘だったのでしょう。それに、ホムラの血が特異エネルギーを増幅し、ワンダラーを呼び出せる事は既に分かっているのに、わざわざ主人公に試させる意味がありません。

ホムラは以前、主人公が絵の幻影を見た話に食いついていました。おそらくホムラは、共鳴することで、主人公の記憶がまた呼び起こされないか、試したかったのではないでしょうか。レーウィンの絵は奪われてしまったので、少しでも主人公の記憶が呼び起こされやすいように、絵の代わりとして、主人公と約束をした場所である帽子島に連れてきたのかもしれません。

「…終わった?」「…たぶん?」「これは、ため息が出るね…」「あなたが言ったんだよ!私のせいにする気?」(中略)「長い道のりになりそうだ…はい。また頑張って。」(中略)「本当にワンダラーが引き寄せられるなんて…」「欲しいものが見つからなければ意味がない。今夜はここで野営しよう。」

1期7章6話「遠足」

ホムラの目論見は上手くいかず、主人公の記憶に変化は現れませんでした。しかしホムラは粘ります。

「ホムラ、猫が怖いの?」「怖くなんてない!興味がないだけさ…(中略)ワンダラーにやられたか…」「一体何が…」「触るなーうっ…」「手が!」

1期7章8話「か弱い悪魔」

ホムラの血が燐龍を引き寄せるなんて。彼の血に一体どんな秘密が…

7-10「深海の渦」ワンダラー説明

海から燐龍が現れました。燐龍が現れたのは、おそらくホムラの血が原因ではないでしょう。前回は、特異エネルギーが既に付着していたものに、ホムラの血を垂らして、ワンダラーが現れていました。今回は、ホムラの血は、特異エネルギーに触れていません。おそらく、主人公の共鳴が原因でしょう。主人公がサンゴの石に共鳴したとき、共鳴の波が海にまで伝わっているシーンがありました。燐龍はその波に引き寄せられたのだと思います。

「まずい…どうして海の中に!ホムラ!…ゲホッ…ゲホゲホ!急がなきゃ!ホムラ…どこ?あそこだ…」「近づかないで。でないと…君の安全は保障できない。」

1期7章11話「抗えぬ心」

燐龍を撃破した後、二人は海の中に飲み込まれました。海の中では、星の磁場の入り口が開いていました。燐龍の出てきた星の磁場でしょうか。ホムラは水中で自由に動けるため、自分ひとりで対処しようとします。

「あなたは?あなたはどうするの…!」「君に関係ない」

1期7章11話「抗えぬ心」

主人公がいつまで経っても思い出してくれず、さらに猫が怖い事をからかわれた後だったので、ホムラは拗ねていたのでしょう。天邪鬼な事を言ってしまいます。

「ホムラ…行かないで…」「覚えてないくせに、僕を止めるなんて…今回は、君が自分で選んだんだ。」

1期7章11話「抗えぬ心」

主人公は無意識にリモリアの契約を行使してきます。主人公の言葉に呼応し、ホムラの鎖骨の印が光りました。「今回は、君が自分で選んだ」ということは、「前回は、自分の与り知らぬの所で選ばされた」という事になります。もしかしたら、ホムラは主人公とリモリアの契約を結んだ時に、十分な説明をしなかったのではないでしょうか。

彼女とのことは時間をかけていきたい。あの件は少しずつ、ゆっくりと清算しなければーー

秘話「セイレーンの歌」4話「餌」

もしかしたらホムラは、「契約の意味を理解していなかったかも?もしかして意図せず、一方的に強制した感じになってたかもしれない。もしそうなら、彼女の信頼を得てから、しっかり説明しなくては。」と思い悩んでいたかもしれません。

善と愚は紙一重だね。食べられそうになった時、さっさと逃げた魚の方が命拾いするのさ。

1期8章1話「篝火」

ホムラは、目の前の星の磁場を尻目に、主人公を抱えて、さっさと逃げたようです。

「人間に愛情を持った動物は、ろくな最後を迎えない。人間は綺麗事ばかり言う。すぐに君を見捨てて、全て忘れてしまうよ。」「ほら、『みんながそうとは限らない』って言ってるよ。」「君は?大切なことを忘れていない?」「大切なこと?何の話?」「…別に。」

1期8章1話「篝火」

主人公がリモリアの契約を行使したことで、ホムラは、もしかして思い出したのかもしれないと期待したのでしょう。水を向けてみますが、残念ながら主人公は思い出していませんでした。

「サンゴならいつでも採れる。これは意外な収穫だった。」「燐龍のコア?流されたと思ってたけど、まさかこれを取りに行ってたの。」「目が輝いたね。でも一旦これは僕のものだ。」

1期8章1話「篝火」

帽子島にくる時、ホムラは「レアなコアで絵の具を作って創作に取り入れたい」と主人公に言っていました。コアを手に入れる事が目的という体裁だったはずなのに、ホムラは「意外な収穫」と言ってしまいます。ホムラは、主人公がサンゴの石に共鳴したとき、共鳴の波が海にまで伝わっていた事に驚いていました。おそらく、帽子島に燐龍がいることは知っていて、主人公を連れてくる口実に使ったけれど、本当に現れるとは思っていなかったのかもしれません。また、ホムラが手に入れる事が目的なのに、「一旦これは僕のものだ。」と、主人公に渡すことが前提のような言い方をしています。さらに言うなら、主人公と初めて会った時は、サンゴの石の出所を封鎖されると困るから、主人公に代用品を取ってくるのを手伝わせるという体裁でしたが、帽子島は初めから封鎖されている場所でした。ボロが出てしまったホムラでしたが、幸いにも主人公は気づきませんでした。

主人公に過去を打ち明ける

本当に君は優しいね。心配になるよ。(中略)君の何気ない善意が、他者にとってどんな意味を持つかわかる?(中略)無邪気で世間知らずな君に、ある人の物語を話してあげよう。それを聞いてもまだ優しさを振りまくか、考えて。

絆デート「夜遊びの章」

こちらを惚れさせておいて、主人公の方はすっかり忘れている事が悔しかったのでしょう。ホムラは主人公に嫌味たっぷりに忠告します。帽子島で手を尽くしても、主人公が思い出さなかった事で業を煮やしたホムラは、友達の話という体裁で、二人の思い出を主人公に語ります。

むかしむかし、僕…いや、僕の友人が…(中略)彼は…海に住んでいた。彼の暮らしていた深海は…退屈で、魚も醜い。彼はずっと陸の景色を見たがっていたが、ある日その願いが叶う。でもすぐに陸も退屈な場所だと気づき、海へ戻ることにしたんだ。(中略)彼は海へ戻ろうとしたが、浅瀬で座礁してしまった。(中略)さっきの魚みたいに、なす術なく死を待つことしかできなかったんだよ。(中略)少女に助けられた。(中略)救われただって?むしろ災いの始まりさ。その後、少女の記憶から彼は消えてしまった。泡のように…。それ以来、深海は彼にとって完璧な牢獄となった。

もしかして、その少女に恋をしてしまった?

そう、恋だよ。これでこの世の恐ろしさがようやく君にもわかっただろう?

その友達って、あなたのこと?

そうだと言ったら?待っていたんだ。ずっと。でも彼女は現れなかった。だから人を待つのは嫌いだ。なのに今日、ずっと待たされた。

ごめんなさい…

謝らないで。約束して。もう僕を待たせないと。

絆デート「夜遊びの章」

ホムラが話してみると、主人公は、ホムラの気持ちを分かってくれ、謝ってくれました。惚れた弱みか、謝ってくれた事で溜飲を下げたホムラは、約束してくれれば、許す事にしたようです。

これは僕の故郷における誓いの儀式さ。誓いが海の祝福を受けたなら、手に魚が現れる。誓いを忘れないで。

絆デート「夜遊びの章」

リモリアの契約はもう既に結んでしまっていますから、代わりに海の祝福で誓いを立てます。ここで、ホムラと主人公は、一旦の仲直りとなりました。

主人公へ開いた胸襟

主人公と仲直りしたホムラは、次はリモリア人の弱点を打ち明けます。

年に一度、潮が逆流する日がある。その日は、リモリア人が一年で一番弱くなる時なんだ。この弱点さえ知っていれば、どんなにか弱い人間でも彼らを殺めることはたやすい。(中略)たとえ君が僕を殺そうとしても、僕に抗う力はないのさ。(中略)今日の全ては、水夫の命を奪うために人魚が用意した罠かもしれない。(中略)そうやって怖がる様子を見るに、ここに残った事を後悔してる…そうでしょ?

問題ない。私は世界一のハンターだよ。(中略)ホムラ、あなたがそんなことを言う理由は知らない。でも私は…あなたを傷つけない。

信じていい?

…うん。

じゃあ夜が明けるまで、そばにいて…

絆デート「潮汐の章」

ホムラは、体が弱っているのにつられて、心も弱っているようです。心が弱ったホムラは、主人公が自分をどこまで受け入れてくれるか試すような事を言ってしまいます。そんなホムラの言動の裏にある不安を、主人公は理解し受け入れてくれました。主人公の言葉に安心したホムラは、主人公の膝で眠りにつきます。

主人公に対する誠意

ホムラは更に強く私を抱きしめ、うつむいて鼻先を私の鼻先に当てた。(中略)(もしかして…キス…するの…?)(中略)あと少しで唇が触れるというところで、彼はぴたりと動きを止めた。「ちょっと待って。」彼の目に浮かんでいた迷いは消え、代わりにかすかな後悔と苛立ちの色が滲んでいる。「駄目だ、こういうのはよくない。(中略)こんな大事なことを、こんないい加減にやるわけにはいかない。」

「一心同体大作戦」第1章 

主人公との仲を深めていったホムラは、ある時、主人公と良い雰囲気になって、キスしそうになってしまいます。しかし、すんでのところで思い留まりました。以前ホムラは「彼女とのことは時間をかけていきたい。」と言っていたので、恋人とは手順をしっかり踏んでいき、節目ではちゃんとロマンチックな場を用意して進展したい、と考えているのかもしれません。

時が変わって、叔母のタンレイが結婚することになり、ホムラは式に出席することになります。

「私の結婚式なのよ。(中略)叔母さんが愛する人を見つけたのよ」「その話は聞き飽きましたよ」「最後にこういう話をしたのは、だいぶ前のことよね。どうしてそんなに祝福をケチるのかしら?」「昔、あなたが契約を交わした時に祝福したじゃないですか。何度もするのは無意味だと思いますね。」

深層「花束と挽歌」1話「ヒスイカズラ」

リモリア人にとって契約を交わす事は、結婚と同じような事を意味するようです。ホムラは一途な性格のようで、再婚するタンレイに良い顔をしません。

何度もって何よ?誰もがあなたみたいに幸運に恵まれているわけじゃないんだから…

深層「花束と挽歌」1話「ヒスイカズラ」

海は弱肉強食の世界という事ですし、リモリア人はEVERから狙われている訳ですから、一生一人の相手と添い遂げる事が難しいのかもしれません。主人公を一途に思い続けているホムラのようなケースは、珍しいようでした。

「とても普通な人ね。池に投げ込んだら見つからなくなっちゃいそう。ましてや海なんて…」「タンレイは海で一番輝く真珠なのよ。彼女を見つければ、一緒に彼も見つかるんじゃない?」円卓のそばに集まったリモリア人が、ヒソヒソ話をしている。

深層「花束と挽歌」2話「結婚式」

出席者の内でリモリア人だけが、新郎の陰口をたいているようです。おそらくタンレイの夫は、リモリア人ではなく人間なのではないでしょうか。リモリアの復讐相手である人間だったので、新郎はリモリア人から陰口を叩かれたのかもしれません。

「私が結婚したのは、過去を忘れたからじゃない。過去に生きていたくないだけよ…ここにいるリモリア人はみんな、自分が立ち続けるための支えを探しているの。私は見つけたわ。他にも見つけた人がいる。(中略)支えを持つのが大事なことだって、理解してない人がまだいるみたいだけど。」ホムラは首を振った。「リモリアのことの方が、もっと大事ですよ」「リモリアのことはずっと大事よ」

深層「花束と挽歌」2話「結婚式」

タンレイがわざわざ言い訳のような事を言っているということは、リモリア人の間では、タンレイみたいに結婚した人は少数派で、復讐心が強い派閥から疎まれているのかもしれません。

「ホムラ、自分の結婚式について考えた事はある?」(中略)「ありません」

深層「花束と挽歌」2話「結婚式」

ホムラは一度も言ったことがなかったが、テイラーはずっと前から、彼は心の中に誰にも言いたくない人を隠していると察していた。

深層「花束と挽歌」6話「グロリオサ」

ホムラは主人公の事を、タンレイ以外には誰にも言っていないようでした。主人公が人間であることが一族に知れたら、主人公が疎まれるかもしれないと思って、ホムラは言い出せなかったのかもしれません。

好きな人に花を贈るのは、両想いになることを求めているという説もある(中略)いつか花を送りたくなったら、この庭にある花をどれでも好きに選ぶといい

深層「花束と挽歌」1話「ヒスイカズラ」

テイラーは、ホムラが選んだ炎のようなグロリオサを包んで彼に渡した。「これも贈り物か?この花は、君自身に合っている気がするけどな」「それはよかった」ホムラが花束を受け取る。「ある人にあげたいんだ」「それは、自分をその人にあげるということか?(中略)じゃあ私の庭には、いつでも君のための場所を空けておくよ」

深層「花束と挽歌」6話「グロリオサ」

ホムラは、テイラーから花を贈る意味を聞きます。花を贈るのは両想いになりたいから。そして、自分に見立てた花をあげるのは、自分をあげるということ。その後、ホムラは主人公と花園に行きます。

ホムラがゆっくりとポケットからサインペンを取り出し、私の手を引っ張る。(中略)彼は私の手の甲に1輪の花を描いた。(中略)「へー、お花をくれたってことだね。」「駄目かい?」「ちょっと誠意が足りないかな。」(中略)私は彼のサインペンを取ると、彼の手の甲に煙を上げる魚の頭を描いた。

思念「花の名のもとに」

ホムラは、主人公の手に花を描くことで、自分の事を好きになってほしいと伝えたかったのだと思います。主人公も花ではないですが、ホムラの手に魚を描いてくれました。ホムラは嬉しかったと思います。

このプロジェクトに出資したことへのお礼ということで、僕はこの花の命名権を貰ったんだ。(中略)でも、僕は名前を付けるのが苦手でね。最近完成した絵のタイトルも、君が決めてくれたし。いっそのこと、今回も君に任せようかな。(中略)ゆっくり考えてくれて大丈夫。半年以内に提出すればいいから、急ぐ必要はない。これも花を贈った事になるよね?誠意もあるし…(中略)ねえーーえっと…あの花の名前、ちゃんと考えてね。名付けたら、あれは君のものだから。命は全て同じだけど、名前があるから特別なんだ。名前は、この世で最も強い呪文だから。君が誰かの名前を呼んだ時、見えない何かでその人と繋がるんだ。

思念「花の名のもとに」

3億種類の色全部に名前を付けるなんて疲れるよ。好きな色にだけつければいいんだ。

思念「花の名のもとに」

この時、ホムラは花を自分に見立てたのだと思います。そして、この世でたくさんあるもののなかで、名前があるのは誰かに好かれている証拠だと考えている。だから、自分に見立てた花をあげることで、自分をあげたことにし、その花(=自分)に主人公が名前を付けたら、それは自分を好きだという事になる。ホムラはそう考えたのではないでしょうか。

あの花は私のものなんだね。じゃあ、私があなたの名前を呼んだら、あなたも私のものになるの?

思念「花の名のもとに」

ホムラの遠回しなアプローチは、ちゃんと主人公に伝わりました。気持ちが通じ合って、感極まったホムラは主人公にキスをします。

「何か…変わった気がする。」「うん。どこかが違っている。」

思念「花の名のもとに」

この時、主人公から名前を呼んで命令されていないのにも関わらず、鎖骨の印が光りました。おそらく、契約の更新をしたのではないでしょうか。以前ホムラは、主人公とキスしそうになった時「こんな大事なことを、こんないい加減にやるわけにはいかない。」と言っていました。もしかしたらキスは、契約の儀式を担っているのかもしれません。

君の目の前にある花は、20年前に絶滅している。当時の技術では種の保存が難しく、この花が世界から消えていくのを見ていることしかできなかった。その後、海外の生物学者がある方法を考え出したんだ。それは過去の記録されたデータに基づいて、この種をもう一度修復させる事だった。(中略)彼らは、「この花を復活させることはできたが、絶滅前のものとはわずかに違っている」と言っていた。つまりこの花は、世界にたった一つだけの新たな品種なのさ。

思念「花の名のもとに」

ホムラはずっと主人公に、子供の頃に自分達が誓い合った事を思い出してほしいと願っていました。しかし、主人公との仲を深めていくにつれて、昔の誓いにこだわるのではなく、今の主人公と想いあっていれば良いのだと、考えなおしたのではないでしょうか。「絶滅前のものとは違う、世界にたった一つだけの新たな品種」とは、昔の記憶を持っていない今の主人公の事を指しているのだと思います。そして、今の主人公は唯一無二だと言いたいのだと思います。ホムラは、幼いころの主人公を、今の主人公に重ねるのではなく、今の主人公をちゃんと見て、今の主人公とあらためて契約を更新したいと考えたのかもしれません。

愛される自信

彼女は僕のことを理解していない。理解していると思い込んでいるだけなんだ…

思念「溺れるままに」

僕がどんな風になっても、好きでいてくれる?

思念「溺れるままに」

ホムラは、自分が主人公を想う気持ちは強く固まっていましたが、主人公から想われているかは、自信がなかったようです。

「いま君の足元にあるこの道を、僕は3年間あるいていたよ。」(中略)「…そんな話、今まで聞いたことなかったよ。これだけじゃない。自分の過去について、あなたから話してくれたことはほとんどないよね?」

思念「溺れるままに」

ホムラは、自分に自信がないので、主人公に過去を話せないでいました。

「絶滅するのは花だけじゃない。どんな命にも、その日は来る…君なら、命の最後の時に何がしたい?(中略)もうすぐ死を迎えるとわかったらーー君に質問して、全ての答えを聞くよ。」(中略)「彼の言う『質問』が何なのかはわからない。(中略)キスだけでいいのだろうか。

思念「花の名のもとに」

以前、ホムラは主人公に、死に際にどうするかという話をしていました。リモリア人の死とは、海月の儀式=海の一部となることです。リモリア人は、海と一体となることを、永遠と捉えています。おそらくホムラは、主人公と死ぬまで添い遂げて、最後は一緒に海と一体となることで、死んだ後も永遠に一緒にいたいと考えているのではないでしょうか。そして、そんな自分の気持ちと比べて、主人公との温度差を感じ、不安になっているのかもしれません。ホムラの不安が伝わっているのか、主人公もキスするだけでは、ホムラの気持ちに応えきれていないかもしれないと感づいています。

「この違う世界を見て、孤独を感じなかったの?(中略)ねえ、さっきの質問、答えにくかった?」「今考えているところだよ。『リモリア人の飼い方マニュアル』を書いて君にあげた方が早いか…それとも、リモリアの千夜一夜物語を一つずつ語り聞かせた方が早いか。」「千夜一夜物語の結末をちゃんとわかった上で言ってる?もし同じ話を話してしまったら、語り手は王様にーー」彼が何も話してくれないのではないかと不安になり、私はわざと真剣な顔をして手を上げ、首を切るポーズをしてみせた。(中略)「今までの質問に答えなくていい。ただ一つだけ、一番大事なことを教えてほしい…あなた達リモリア人は、好きっていうことをどうやって表すの?」

思念「溺れるままに」

ホムラがなかなか自分の事を話せないでいると、主人公がアプローチしてきてくれました。しかしホムラは、怖気づいて千夜かけることで引き延ばそうとしてしまいます。すると主人公は、話す決心がついていないホムラの気持ちを汲み取ってくれました。

「私たち人間は誰かを好きになると、その人に唯一無二の印を残すの。」「言ったのは君だからね…僕と一緒に、同じ海に溺れてもらうよ」

思念「溺れるままに」

主人公は自分のせいにさせる事で、ホムラが言いやすい雰囲気を作ってくれました。「同じ海に溺れてもらう」とは、温度差なく、自分と同じくらい愛して欲しいという、ホムラの願いなのだと思います。

もし嵐の夜に、リモリア人に出会ったら(中略)私は彼の濡れた孤独な手を握ろう。そして彼を抱きしめてその温かい体に潜り込み、世界が奏でる他の音を全て無視しよう。

思念「溺れるままに」

主人公は、ホムラの気持ちに応えてくれました。「世界が奏でる他の全てを無視しよう」とは、人間界の常識や倫理観に背いても、という意味だと思います。そう決意した主人公なら、きっとホムラと一緒に海月の儀式を行ってくれるでしょう。

あとがき

解釈違いも多々あった事かと思いますが、最後までお読みいただきありがとうございます。

ホムラは恋に恋するロマンチストな人だと感じました。一目ぼれした女の子と、いきなり結婚の約束をしちゃう。そして子供の頃した結婚の約束を一途に想い続ける。でも大人になって温度差に悩んでしまう。なんて乙女で可愛らしい人なんだろうと思いました。ナイーブなホムラは、これからも思い悩むことが多々あるかもしれませんが、乗り越えられるよう応援しています。

ホムラの記憶に関する見解

本記事では、伝説「忘却の海」と、思念「香り纏う夢」を含んでいません。その見解を述べます。

ホムラは、伝説の記憶を持っておらず、リモリアに伝わる海神伝説を伝え聞いているだけだと考えています。理由はホムラの言動です。ホムラが主人公と出会った物語は、「忘却の海」「金砂の海」「香り纏う夢」「本編」の4つです。「金砂の海」「香り纏う夢」「本編」で、ホムラは主人公に記憶を思い出してもらおうとしたり、自分を覚えていないか聞いたり、主人公に忘れている記憶がある事を伝えたりしています。しかし「忘却の海」だけは、主人公の記憶に触れませんでした。「忘却の海」の物語序盤で、ホムラは主人公に対して、かなりそっけない態度を取っており、念願の再会を喜んでいる空気は感じ取れません。秘話では、大人になった主人公の声を聴いたホムラは、話の内容が入ってこないほど動揺しており、「忘却の海」でのホムラの反応と大きく乖離しています。そうすると「忘却の海」でのホムラは、主人公が大人になっていたので気づかなかったか、別時空の話ということになります。秘話でホムラは主人公の写真を見て、子供の頃と変わっていないと言っていることから、主人公が大人になっていたので気づかなかったとは考えにくいです。そうすると「忘却の海」は別時空の話だという結論になります。

次は「香り纏う夢」についてです。「香り纏う夢」で主人公が見た夢について、可能性は(1)本編と同じ時空で主人公の前世の話、(2)別時空の話、の2つです。主人公は別時空の記憶を見ることができるので、主人公の言動からは時系列や時空を特定することはできません。よってホムラの言動を見ていきます。「香り纏う夢」で、ホムラは主人公が転生する時に記憶を保持しないことを知っています。しかし秘話では、主人公がリモリアの事を覚えていない事に対してホムラは、「スパイスが足りなければ、辛味も平凡なものになってしまう。」と表現しており、記憶がないことにショックを受けている様子が描写されています。さらに、「香り纏う夢」の結末では、ホムラの声はかすれていました。しかし秘話でホムラは、喉に痛みを覚えているものの、オペラで主演男優を演じ、オペラ界の新星とまで評価されていました。魔法の代償なのに、自然治癒することに違和感を覚えて、「香り纏う夢」は別時空の話と結論付けました。主人公が見た夢の話を聞いたホムラは、嬉しそうなそぶりを見せず、動揺しながら夢の中の自分が主人公にあげたものを追求しています。これは夢の話が、現実のリモリア人の特徴と酷似しており、弱点を感づかれていないか警戒したからだと解釈しました。

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