恋と深空 考察【ロールバック編】
ロールバック計画とは何だったのか、ロールバック隊はどのような組織なのかを考察します。ネタバレがありますので、未読の方は先にゲームをプレイする事をお勧めします。
時系列の予想
考察の詳細に入る前に、考察した結果として出てきた時系列予想を先にまとめます。
ロールバック隊結成
王族が主人公を星核に送ることを目論んでいる事を知ったセイヤがロールバック計画を立案する。
セイヤは、誰かを犠牲にして成り立つ国の在り方に疑問を呈し、同じ志を持つ人を集める。王族に謀反する集まりとして、ロールバック隊が結成される。
ロールバック計画では、主人公に代わる星核のエネルギー源を探すことを目的とする。セイヤは、主人公が生死を繰り返す事ができ、星の餌になり得る事を隊員には伏せる。そのため、隊員はエネルギー源を星外へ探しに行かなければいけないと思わされる。
テスト航行開始。
セイヤが一時帰還。
テスト航行の結果、エネルギー源となれる物質は、エーテルコアしかありえないと決断が下る。同時に、別時空からエーテルコアを持ってきても、エーテルコアは主人公と同一であり、女王を星核へ投入する事と同義である事が判明する。
目的を変更し、エーテルコアを主人公から分離することを目的として据える。
女王のエーテルコアを分離しようとすると、女王がエーテルコアを持っている事が隊員に露呈し、女王の身に危険が及ぶため、違う時空の主人公を探すことを目的として据える。
先遣隊のⅠ号が時間軸の調査のため、テスト航行を行う。
ロールバックⅡ号が出航
女王即位の日にⅡ号が出立。
Ⅰ号とⅡ号の通信が途切れる。
ブラックホールに入る。
Ⅱ号が主人公を発見し回収。帰還中に深空トンネル(=ワームホール)が崩壊。
主人公とはぐれる。
セイヤが力を使い崩壊トンネルから脱出。
地球に到達
脱出後、墜落でズレたルートを修正。先遣隊が地球に設置した引力錨の元へ到達。
ロールバックⅡ号が故障。
ロールバック隊の間で、暗黙のルールを設置。
セイヤが研究員として紛れ込み、宇宙通信基地へ潜入。
ロールバックⅡ号の信号送受信機能が復活。
隊員が平和ボケしていき、ロールバック隊の中から離脱者が出る。
離脱した隊員から、ロールバック隊の保有する技術が地球に漏洩し、深空トンネルが開き、裂空災変が起こる。
主人公を発見
災変中に主人公が発見される。
主人公からエーテルコアを分離し、引力錨に格納する。
主人公から分離したエーテルコアでは、永久機関にならず、いずれ消耗してしまうことが判明し、ロールバック隊が引力錨を廃棄。
引力錨がEVERに渡り、その後EVERが引力錨を廃棄。
引力錨が暗点のコウジ派に渡る。
キノアがロールバック隊に復帰する。
分離したエーテルコアが、主人公に戻る。
ロールバック隊が帰航
宇宙船が直り、ロールバック隊がフィロス星へ帰還する。
フィロス星の永遠性が消失。
上記予想を立てた理由として、以下に考察の詳細を記載します。
ロールバックⅠ号の考察
Ⅰ号は存在したのか?
セイヤとキノアが乗ってきた宇宙船は「ロールバックⅡ号」という名前がついている事から、Ⅰ号の存在が示唆されている。
セイヤのストーリーでは、老朽化した宇宙船と、老朽化していない宇宙船の2種類が登場している。
2つを見比べると、1枚目は中央と側面が朽ちているのに対し、2枚目はまだ形が残っている。
Ⅱ号が地球に到達したのは200年以上前である。
200年の間で朽ちたことも考えられるが、セイヤとキノアがフィロス星に帰るためⅡ号を修理している事から、修理して復活するとは思えないほど朽ちた宇宙船がⅡ号とは考えにくい。
さらに、フィロス星では百年単位を数年単位と捉えているような時間感覚をしているので、数百年で朽ちる素材で宇宙船が製造されている事は不自然である。
また、2枚目の画像は、セイヤが追光騎士団の制服を着ている事から墜落直後だと思われる。よって朽ちていない2枚目の方がⅡ号である可能性が高い。
Ⅰ号の目的
ブラックホールを超える事で、時間を遡れることは、既に判明している。
ロールバックⅡ号出発前のフィロス星にいるセイヤは、時間軸の特定にまでは至っていない。
以上の事から、ロールバックⅠ号は、先遣隊として、おおよその時間軸に遡り、主人公がいない事を確認したら、別の時間軸に移動する、といった事を繰り返し、時間軸を特定していったのではないかと考えられる。
ロールバックⅡ号が特異点に墜落する前に、「基地から応答なし」と音声案内が流れている。
「基地から応答なし」という事は、「基地」は「目標アンカー」から情報を発信していると解釈できる。
「アンカー」は英語で「船の錨」を意味する。作中で「錨」を含む名称がつけられている物は「引力錨」がある。
引力錨は宇宙船が墜落した場所にもある。
引力錨の近くに、草が生えていることから、しばらく時間が経過している事がわかる。仮にこの画像が墜落直後なら、この引力錨は宇宙船が墜落する前からあった事になる。
よって、ロールバックⅠ号の目的は、先遣隊として先に地球へ向かい、主人公がいる時間軸を特定した後、時間軸の情報を、引力錨経由でロールバックⅡ号に発信する事が目的だったと考えられる。
崩壊トンネルで塵になった彼女の考察
Noahは、主人公が崩壊トンネルの中で塵になったかもしれないと言っている。
ロールバックⅡ号は、女王主人公を置いて出航しているので、この「彼女」はハンター主人公の可能性が高い。
そうすると、地球到達前にどこかの時空で主人公を回収しており、帰り道で崩壊トンネルに遭遇し、はぐれた可能性がある。
Ⅱ号遭難の考察
Noahは、ワープポイントに「ミス」があったと述べている。
ここだけ読むと、当初は特異点に行く予定はなかったが、ワープポイントにミスがあったせいで、予定外に特異点へ墜落してしまった印象を受ける。
しかし、時間を遡るためには、ブラックホールを超える必要がある事は、すでに判明している。
「事象の地平面」とはブラックホールの表面のようなものであり、「ブラックホールを超える」とは「事象の地平面を超える」と同義であると予想される。
よって、事象の地平面を超える事は予定に含まれていたと考えられる。そして、おそらく「特異点に墜落」も予定されていたと思われる。
さらに、船の許容範囲を超えたのは、ブラックホールではなく、深空トンネルの中であると言及されている。
深空時代では、深空トンネル=ワームホールであると説明している。
現実世界で、ワームホールは別時空へ繋がっている事が予想されており、ワームホールの入り口の見た目はブラックホールとほぼ区別が付かないと言われている。
https://lab-brains.as-1.co.jp/enjoy-learn/2022/12/38589/
恋と深空の作中では、ブラックホールとワームホールを同じものと扱っており、以下経路を辿ると時空航行ができるという設定だと思われる。
ロールバックⅡ号は、ブラックホールに入る前に、目標アンカーを見失っている。
最初は通信できていて、途中から応答が途切れたのであれば、最初は開通していたトンネルが、後から崩壊した可能性がある。
ロールバックⅡ号は、崩壊トンネルから脱出した後、ルートを修正している。
ロールバックⅡ号が引力錨の元に墜落している。
この事から、この修正されたルートは、地球にある引力錨を目的地としたルートの可能性がある。
Ⅱ号は、目標アンカー=目標時間軸の情報を喪失していたので、緊急でⅠ号が設置した引力錨の元へ、行き先を変更したのだと考えられる。
ロールバック計画の考察
時系列予想の元になった、ロールバック計画の考察です。ロールバック計画の目的はどのようなものだったのか考察していきます。まずは、目的として考えられる仮説を洗い出し、その後、各仮説について検証していきます。
凡例:
女王主人公=伝説「指間の流星」で登場する主人公
秘話主人公=秘話「流星の降る夜」で登場する主人公
ハンター=本編で登場する主人公
【仮説A】
別時空からエーテルコアを持ち帰り、女王主人公の代わりに星核へ投入する
【仮説B】
秘話時代にあった人工星核の制作技術を、過去から輸入し、伝説時代で再現する
【仮説C】
女王主人公を見捨てて、女王主人公を星核へ投入する
【仮説D】
星を捨てて、女王主人公を逃がす
【仮説E】
秘話以前まで過去にさかのぼり、人工星核ではなく、最初からエーテルコアを星核に使う
【仮説F】
秘話以前まで過去にさかのぼり、人工星核の制作を阻止し、星核へ人を送り込む未来を改変する
【仮説G】
地核消失以前まで過去にさかのぼり、地核消失を未然に防ぎ、永生になる未来を改変する
仮説の検証
【仮説Aの検証】別時空からエーテルコアを持ち帰り、女王主人公の代わりに星核へ投入する
星核のエネルギー源となる永久機関を探して持ち帰る事が、ロールバック計画の目的だったと仮定する。
セイヤは、エーテルコアの存在を認知している。
以上の会話を根拠として、セイヤはエーテルコアの入手を目的としていると仮定する。
仮説に対する反論
別時空からエーテルコアを持ち帰って星核へ投入することは、女王主人公を星核へ投入する事と同義となる。セイヤはエーテルコアが析出する人間は全て同一人物だと認識している。そのため、主人公を助けるためにロールバック計画を立てたセイヤが、別時空の主人公を持ち帰り星核へ投入する事は考えにくい。
【仮説Bの検証】秘話時代にあった人工星核の制作技術を、過去から輸入し、伝説時代で再現する
主人公は星核に投入されると、星核の中で生死を繰り返す。
伝説時代に主人公が存在していることから、秘話以前に作られた人工星核の中に主人公はいない。そのため主人公がいなくても稼働する星核製作技術が存在すると考えられる。伝説時代では、秘話時代にあった人工星核の制作技術が失われており、そのために人間が星核の燃料として投入されていると仮定する。
仮説に対する反論
仮説Aの検証にて記載済みだが、セイヤはエーテルコア(=彼女)を探している。人工星核の制作技術が目的だった場合、エーテルコアを探す必要がないため、この仮説は否定される。
【仮説Cの検証】女王主人公を見捨てて、女王主人公を星核へ投入する
フィロス星の状況は末期でもう取り戻せない状態にある。
そのため、星を救う事は諦め、別時空へ逃避したと仮定する。
仮説に対する反論
セイヤが女王主人公を犠牲にする選択肢を取るとは考えにくいため、この説は否定される。
【仮説Dの検証】星を捨てて、女王主人公を逃がす
星を見捨てて、女王主人公だけ逃がしたと仮定する。
仮説に対する反論
ロールバック隊は、女王主人公を置いて出発したため、この仮説は否定される。
【仮説Eの検証】秘話以前まで過去にさかのぼり、人工星核ではなく、最初からエーテルコアを星核に使う
地核が消失した時点で、人工星核を入れるのではなく、最初からエーテルコアを使用する。そうすることで、人間を燃料にし、同時にワンダラーを出現させる事を未然に防止することが目的だったと仮定する。
仮説に対する反論
仮説Aと同じく、別時空から主人公を持ち帰って星核へ投入することは、女王主人公を星核へ投入することと同義となるため、この仮説は否定される。
さらに、ロールバック隊が故郷を救うために結成された隊だと考えると、未来が変わってしまう事を目的として、仲間が集まるとは考えにくいので、この説の可能性は低いと考えられる。
【仮説Fの検証】秘話以前まで過去にさかのぼり、人工星核の制作を阻止し、星核へ人を送り込む未来を改変する
永生を望む事が、過ぎた願いだとし、崩壊を受け入れる。そのために過去へさかのぼり、人工星核の制作を阻止し、永生になる未来を改変することとが目的だったと仮定する。
仮説に対する反論
仮説Dと同じく、ロールバック隊が故郷を救うために結成された隊だと考えると、未来が変わってしまう事を目的として、仲間が集まるとは考えにくいので、この説の可能性は低いと考えられる。
【仮説Gの検証】地核消失以前まで過去にさかのぼり、地核消失を未然に防ぎ、永生になる未来を改変する
永生を望む事が、過ぎた願いだとし、有限な寿命を受け入れる。そのために過去へさかのぼり、地核の消滅を未然に防ぎ、永生になる未来を改変する事とが目的だったと仮定する。
仮説に対する反論
ロールバック隊が故郷を救うために結成された隊だと考えると、未来が変わってしまう事を目的として、仲間が集まるとは考えにくいので、この説の可能性は低いと考えられる。
新たな仮説
以上で洗い出した仮説は全て反論が可能である。そのため、新たな仮説を立てることを試みる。
【新仮説1】エーテルコアと主人公は分離可能である
【新仮説2】主人公から分離したエーテルコアは星核として利用できる
【新仮説1の検証】エーテルコアと主人公は分離可能である
仮説Aでは、エーテルコアが主人公と同一である事が、反論材料となっている。そのため、主人公からエーテルコアを分離して利用できる可能性を探る。
材料1:引力錨に格納されていたエーテルコア
主人公のエーテルコアは散逸している。
solonホテル屋上にあったエーテルコアが、散逸した主人公のエーテルコアなら、エーテルコア自体は、主人公から分離して、持ち帰る事が可能である。
材料2:セイヤが手をかざしている石碑が引力錨と同じ形をしている
引力錨は、ロールバック隊から持ち込まれた物である可能性が示唆されている。
以上の事から、エーテルコアを主人公から分離し、引力錨に格納したのは、ロールバック隊だった可能性がある。引力錨に格納したのは、エネルギーが主人公の元へ戻らないようにするため、と考えられる。
材料3:災変時にセイヤが主人公に会っている
スエの発言からは、心臓のエネルギーが半減したのは、災変時だった事が示唆されている。
主人公は災変時に、外部から心臓に接触されている。接触者は背中から襲ったので、ワンダラーだったか、セイヤだったか、もしくは別の何かだったかは分からない。しかし、心臓にあるエーテルコアに接触することが可能な状況だった事は確実だったと思われる。
材料を加味した結論
以上の事から、主人公からエーテルコアを分離する事が可能とした場合、以下仮説が復活する。
【仮説A】別時空からエーテルコアを持ち帰り、女王主人公の代わりに星核へ投入する
【新仮説2の検証】主人公から分離したエーテルコアは星核として利用できる
主人公は、星核に入れられると星核の中で生死を繰り返す。よって仮説Bでは、秘話時点で主人公が地上に存在している事を理由として、人工星核にエーテルコアは使われていないという説だった。しかし、エーテルコアが主人公から分離可能なら、人工星核にエーテルコアが使われていても整合性が取れる。
しかし、伝説時点で星核のエネルギーは使い果たされている。
よって、エーテルコアは、主人公から分離すると永久機関にならず、いずれ消耗してしまう事が分かる。
以上のように考えた場合、エーテルコアが主人公から分離すると永久機関にならないとフィロス星出発前に判明していたのであれば、地球到着後ハンター主人公からエーテルコアを分離しているのは不自然である。よって、分離したエーテルコアが永久機関にならないと判明したのは、エーテルコアを分離した後だと思われる。
結論
以上の仮説の検証により、フィロス星出発時点でのロールバック計画は、以下が有力である。
【仮説A・新】別時空の主人公からエーテルコアを分離して持ち帰り、女王主人公の代わりに星核へ投入する
永生を諦めたかどうかの考察
未来で、永生を保つ事を諦めた事が示唆されている。
そのため「永生を望む事が、過ぎた願い」だとし、有限な寿命を受け入れた可能性がある。永生を保つ必要が無いのであれば、女王主人公を犠牲にする必要もなく、人が星核に送られワンダラーに異化することも無くなるため、この可能性は十分に考えられる。
しかし、セイヤはキノアを送り返すつもりだと言っている。
送り返すのであれば、フィロス星が存続する必要があり、永世を保つ事を諦めていない事になる。そのため、上記のセイヤの発言が嘘である可能性を探る。
材料1:キノアが帰郷する動機の弱さ
キノアは、地球で恋人を作り、戦い方を忘れるほど、地球に居着いた過去がある。
キノアは「住めば都」を実行できる性格であることが伺える。そのため故郷へ帰る動機が弱く、送り返す必然性が無い。むしろ地球に居着いた方が幸せになる可能性すらある。
材料2:キノアが裏切り者と繋がっていた
キノアは過去に、隊を裏切ったイズミと繋がっており、セイヤはキノアを警戒していた可能性がある。
キノアがセイヤの信頼を失って、いまだに回復しきれていないと仮定するなら、セイヤがキノアに義理を果たす理由はないことになる。
材料を加味した結論
材料を加味した結果、セイヤがキノアに嘘をついている可能性は否定できない。
仮に、セイヤが嘘をついていないと考えた場合、現時点では永生を諦めていないが、物語後半で諦めた可能性が残る。
フィロス人が寿命を持つ方法の考察
フィロス人が不老なのは、フィロス星にいるからだと思わせるような表現がある。
しかしキノアは、フィロス星ではなく地球にいても不老だと言っている。
フィロス星にいなくても不老なのであれば、フィロス人が不老なのは、フィロス星の影響ではなく、何か他の影響があるからだと考えられる。
そうすると、星核へのエネルギー補給を停止することで星が永生以前に戻れても、人々は不老のままという事になり、星の崩壊に人々が巻き込まれるという結末になってしまう。
そこで、人々の永生を止める事が可能かどうかを探る。
材料1:歳を取ったフィロス人が存在する
キノアが歳を取らないと言っているのにも関わらず、歳を取ったフィロス人が存在する。
材料2:子供が産まれている
歳を取らないのなら、成長もしないことになり、子供が大人になる事が不可能になる。そうすると、フィロス星では子供が生まれておらず、最初からみんな大人であるとなってしまう。
仮にフィロス星時代に子供が生まれていないのなら、フィロス星にいる人は皆、地球時代に生まれた人という事になり、わざわざ「地球時代に」と表現する必要がなくなる。しかし実際には「地球時代に」と付けている。
よってフィロス星時代に生まれた人がいる可能性が高い。
材料を加味した結論
まとめると、フィロス人は、子供から大人へ成長し、ある時点で成長が止まって、そこから歳を取らないが、成長が止まる時期が人によって異なっている状態となる。
仮に、種族的特性で不老なのであれば、成長が止まる時期が人によって異なるのは不自然である。
以上の事から、フィロス人は、何らかの外科的処置をして不老になり、処置をするまでは成長と老化が進む可能性が高い。
外科的処置で不老になるのであれば、同じように外科的処置で寿命を迎えられる可能性が十分にある。
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