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固定資産管理システムの対象範囲


0.はじめに

【固定資産管理の目的】
・減価償却計算などの会計上の管理
・設置場所や管理者などを記録する現物管理

【ポイント】
・固定資産管理の対象範囲と、帳簿上の固定資産が必ずしも一致するわけではない。
・固定資産管理システムを使用する場合、すべての固定資産が対象になるとは限らない。(件数が多く、減価償却計算を行う有形固定資産だけシステム管理し、他は表計算ソフトで管理するケースもある)

⇒ 固定資産管理システムを使用する場合、どの範囲を管理対象とするか明確にする必要がある。

1.有形固定資産

建物、機械、車両、備品など実体のあるもの。
有形固定資産は企業において最も件数が多く、現物管理、償却資産費の計算とともに必要なので、通常は固定資産管理システムで管理する。

2.建設仮勘定

会計上は有形固定資産に含まれるが、処理方法が特殊。
建設仮勘定に現物管理はないが、工事番号別の費用集計や工事完了時点で固定資産勘定に振替する。
この機能は、有形固定資産の取得処理に必要となる。

3.無形固定資産

特許権、借地権、知的財産権、ソフトウェアなど目に見えないもの。

4.投資等

投資有価証券や出資金、長期貸付金など。
減価償却計算も現物管理も特に必要ないため、固定資産管理システムの対象外とする。(資金管理)

5.繰延資産

現在の投資が将来に影響を及ぼすような場合に、その費用をいったん資産として計上し、影響する期間にわけて償却する。
この特定の費用を「繰延資産」という。
減価償却計算を自動的に行うのであれば、管理対象とする。

6.少額資産

会計上、取得価額が20万円未満の器具備品は「費用」として計上できる。
しかし、実際の物品は存在するので、場合によっては現物管理が必要。
また、税法上では、費用として計上できる範囲が、10万円未満に限定されている。
したがって、10万円以上20万円未満の物品は、税務申告のために減価償却計算が必要になる。

上記を踏まえ、少額資産については
・現物管理が必要なもの
・10万円以上の税務上固定資産管理が必要なもの
について、固定資産管理システムの対象とすることがある。

7.リース資産

リース(取引)とは、リース会社が対象資産を購入し、一定の期間(年数)の使用を前提に、リース会社が使用者に貸し出す契約のことをいう。

①ファイナンス・リース
売買契約の要素が強いため、リース資産として計上し、減価償却を行う。
そのため、他の固定資産と同様の管理を必要とする。

②オペレーティング・リース
ファイナンス・リース以外のリース取引。
通常の賃貸借契約として会計上は取り扱うため、固定資産管理システムの対象外とすることが大半。


<参照書籍>
経理・財務知識の再入門講座 SEならこれだけは知っておきたい
著:小橋淳一



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