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2023 トレンド予測(CX/サービス)

2022年はインフレや景気後退への懸念により、多くの企業が困難や岐路に直面する1年となりました。米Fitch Ratingsのレポートによると、インフレの一方でアメリカ国内の消費支出の伸びは2023年に減少すると予想されています。必要不可欠でない支出は減少し、体験型サービスや高い価値を求める消費者に対して、ブランドや企業は理解を示し、進化を遂げ、将来のための関係構築が重要となります。そのような状況下で、2023年、カスタマーエクスペリエンスはどう変化していくのでしょうか。

まず、この1年で大きな進化を遂げた体感型のAR・VRエクスペリエンスはより標準化されると考えられます。特にファッション業界においては、衣類やメイクを仮想的に試着するだけでなく、製品やブランドを紹介しながら仮想世界を構築していく動きがより活発化するでしょう。2022年に席巻したフィジタル(フィジカル+デジタル)体験は、ファッションやエンターテインメントだけでなく金融業界や保険業界といった新産業にまで拡大される見込みです。車や家といった高額商品の購入時にも、フィジタル体験は必要とされるようになるでしょう。

そして、特に注目すべきは、深刻な人員不足を緩和するためのオートメーション化の更なる促進です。物流倉庫やカスタマーサポートの自動化はより進む見通しです。また、興味深い点として、主に防犯上の理由から設置場所を限定されてきた自動販売機がスマート自動販売機として進化し、新型コロナウイルスの世界的な流行以降、空港やオフィス、学校などを中心に設置台数を大幅に増やしています。

化粧品ブランドの自動販売機 (pic by AYDEA)

自動販売機業界は、2027年までに世界で約1,466億ドルの売上を達成すると予想しています(約5.7%の年平均成長率)。アメリカ国内では、2020年時点で推定365億ドルの売上を記録。従来のようなドリンクやスナックだけでなく、イヤホンや充電器などのモバイル周辺機器、BenefitやKylieといった人気のコスメライン、ベビー用品、Sprinklesのカップケーキなど、幅広い種類の商品が販売されるようになりました。

Farmer's Fridgeの自動販売機 (Photo by AYDEA)

2013年、シカゴを拠点にスタートしたFarmer's Fridgeは、新鮮なサラダやラップサンド、フレッシュなフルーツを使ったヨーグルトなどをを提供する自動販売機です。現在は空港、オフィス、病院、大学に400台以上の自動販売機を展開しています。自動販売機のタッチスクリーンからだけでなく、アプリやウェブサイトからも注文が可能。クレジットカード、デビットカード、Apple Pay、Google Payで支払うことができます。パンデミック中、他者に接触することなく商品が購入できると重宝された自動販売機は、コンピューターによる遠隔操作やデジタルウォレットでの支払いが可能になったことで、現在もその重要が高まっています。どの商品がどれだけ売れているかリアルタイムでモニタリングできるため、フードロス削減にも役立っています。また、企業は収集した貴重な顧客データから消費者の行動・好みを追跡し、製品やサービスの提供についてより多くの情報に基づいた決定を下すことができます。2023年には設置台数の増加だけでなく、更なる進化を遂げた様々な種類の自動販売機が登場すると考えられます。


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