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海洋を守るために企業や生活者ができること

6月5日の世界環境デーや、6月8日の世界海洋デー(”World Ocean Day”)など、6月は特に環境汚染の事を考えさせられるイベントが多い。地球の70%を海が覆い、地球上の酸素供給の50%は海から来ていると言われている。言うまでもなく、海は生態系の重要な役割を果たしており、その海洋が人々や企業活動によって排出するごみなどで危機的な状態に陥っている事を認識し、それらを守るための活動に繋げる気づきとなるのがこの世界海洋デーである。- Text by Miho Tabaru

美容業界で加速するBlue Beautyムーブメント

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近頃、シンガポール船籍のX-Press Pearl号がスリランカ沖で火災を起こし、積載していた化粧品用のマイクロプラスチック・ペレット(プラスチックの原料で新材・リサイクル材ともに使われる極小の粒上の素材の事を指す)が流出したことで、史上最悪のプラスチック海洋汚染だと言われている。美容業界では容器などで多くのプラスチックが今までも使用されてきたが、海洋汚染を削減するためのブルー・ビューティー(“Blue Bueaty”)という活動が欧米で勢いを増している。


Blue Beautyとは、クリーンビューティーの進化概念で、プラスチックを削減し、リサイクルを容易にし、日焼け止めクリームなどの美容製品に含まれる化学物質から海を守る事を目的としたものだ。日焼け止めの成分に関しては、特にハワイでは珊瑚の白化防止策として2018年7月からオキソベンジンとオクチノキサートを含むものは販売禁止されている。

Blue Beautyを推進するブランドの最終目的としては、海洋保全の推進や二酸化炭素量の最小限化など、環境を守る事に貢献する事。

事例としてエステーローダー傘下のラグジャリ―スキンケアブランド、DE LA MERの例を挙げる。同ブランドは、長年環境保全に力を入れてきたが、World Ocean Dayに合わせ、海洋保全を顧客にリマインドするために、今年も期間限定のBlue Heartラインの新パッケージをローンチした。

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また、イギリスを代表するオーガニックコスメのRENは、海に捨てられたプラスチックゴミから容器を作って販売している。

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まだ海洋汚染に取り組んでいない企業などは、このようなBlue Beautyのムーブメントなどに合わせて、自社製品も見直して見ると良いだろう。
生活者が貢献出来る事の一つとしては、こういった活動に賛同したブランドや商品を選択する事で、海洋保全へ参加する事。そして、当たり前だがプラスチックの使用を最小限にとどめる事である。

ファッション業界の海洋汚染に対する責任

海の環境を改善していくためには、美容業界のみならず、ファッション業界の取り組みも勿論加速させていかなければならない。なぜなら、20%の水質汚染の原因はファッション業界にあると言われており、特に商品の製造や染色の家庭で使用される大量の水や、化学薬品、そして化学繊維などから流出する小さな粒子のマイクロプラスチックなどが問題だとされている。

リサイクルポリエステルの光と影

現在、海に流出されているマイクロプラスチックの35%は、化学繊維から来ているとの研究結果が出ている。化学繊維は、価格や耐久性、リサイクルの容易さなどから、ファッション業界では広く使用されており、毎年生産される洋服の3分の2を占めている。化学繊維は、石油などから化学的に生成されるもので、ポリエステルや、ナイロン、アクリルなどが含まれており、この記事を読んで頂いているみなさんのクローゼットにも多く含まれているのではないだろうか。

化学繊維から流出されるマイクロプラスチックは、生産から使用、廃棄、リサイクルなどの多くの過程にて排出されるのだが、特に家庭での洗濯によって排出されているのが現状だ。排出されたマイクロプラスチックは、海に流れ、そこで生活する魚たちなどの体の中に入り、それを人間が食し、最終的には人体の中に入り込んでしまう。

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その状況を改善するためにも、次のような事を考えなければならない。


①素材の選択
リサイクルポリエステルは、使用済みのペットボトルから再生され、非常にサステナブルな素材だと多くのブランドが伝えている。それによって、生活者もその様に認識させられている。確かに、新しくポリエステル素材をつくり、それを利用するよりもマイクロプラスチックの排出量も少なく、石油などの資源搾取も少ない。

ただ、例えば天然素材と比較すると、土や地球に還る事もなく、洗うたびにマイクロプラスチックを排出し続けるので、環境負荷を考えると最適な選択肢ではない。

企業や生活者、両方の立場から素材の選択肢がある状況であれば、天然素材を選択すべきである。天然素材の中でも特に、タンパク質ベースのウールやカシミヤ、シルクなどの素材を選ぶ事がサステナブルな選択だ。次のオプションとしては、天然素材でセルロースベースであるコットンや麻、リネンなどの素材の選択が良い。

ただ、ここで気を付けなくてはならないのは、コットンやリネンなどの生産背景として、殺虫剤を多く使用したものでないか?染色の際に多くの化学物質が使われていないか?コットンの生産や製品になるまでの過程で最小限に水使用量が押さえられているか?こういった問いを企業がまずは率先して考え、素材の選択をし、生活者へわかりやすい言葉で選択できるように伝えなければならない。

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②洗濯習慣を見直す

企業として、洗濯習慣を生活者に変えてもらうための商品の改良も可能な選択肢のひとつである。

例えば、イノベーティブなサステナブル・テクノロジー・スタートアップとして有名なPANGAIAだが、特殊なペパーミント加工を施すことによって消臭殺菌の効果を発揮し、洗濯回数が少なくても問題なく着用できる。また、そのことを生活者が使用するうえでリマインドするためにも、T-shirtのデザインとしてお洒落にメッセージでプリントされている。
日本でもカテキン効果など殺菌作用がある商品はつくられているが、そのようなコミュニケーションが魅力的に表現出来ていない事が多いのではないだろうか。

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その他、生活者として可能な取り組みの一つは、米国で人気のGUPPYFRIENDのようなマイクロプラスチックを出さない洗濯ネットを使用する事。

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そして、洗濯時に「摩擦」を防ぎ、「低温」に設定し、「化学物質(洗剤)」を使用しない事でマイクロプラスチックの流出を最小限に押さえられる。

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海を守る活動には、一人一人の活動から、企業、政府、世界、など、各個人や団体が出来る事が多くある。海洋汚染はそれぞれ単体で解決できることでは無い。多くの個人や企業が参加できるムーブメント等も積極的につくっていくことで海洋汚染削減のスピードを加速させることが可能だ。


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