【検体検査】ってなんですか?
【臨床検査】には大きく分けて【検体検査】と【生理機能検査】があるというお話をしてきましたが、ここではその中の一つ【検体検査】について説明していきます。
検体検査とは?
検体検査とは、尿や便、血液、各種分泌物、細胞、臓器など、人の体から排出されたものや、人の体の一部分を試料(検体)として行う検査です。
皆さんの中で普段馴染みがあるのは、尿検査や便検査、血液検査だと思いますが、実はありとあらゆるものが検体となるわけです。
時代が流れ研究が進み、私たち臨床検査のエキスパートである臨床検査技師も、全てを把握できなくなるくらいの様々な検体の種類と検査が存在しているのが現状です。
医療の最前線である都内某大学病院で、長年「メディカルスタッフ向けの検査相談員」をしていた私でさえ、最新の研究レベルの検査について質問を受けると「ん??」ってなるくらいですから。
どんなに年取っても忙しくても、生涯学び続ける姿勢は大切です。それは鑑定師としての自分も同じです。
検体検査の分類には2つある
またまた「2」という数字が出てきました。一言で検体検査と言っても、分類が2つあるんですね。
一つは「検体種」による分類。
これは尿とか便とか、血液とか、肝臓の組織とか、いわゆる「どんなモノを検査するか」という視点での分類です。
「痛くも痒くもなく、ただトイレでおしっこを取るだけで、色々なことがわかっちゃうんです。すごいでしょ?」って感じですかね。
もう一つは「分野」による分類です。
例えば「尿」と言う1つの検体の種類の中には
・いわゆる検尿 → 一般検査
・尿の中の色々な成分を機械等で測って濃度などをみる→臨床化学
・尿の中にどんな菌がいるかみる→微生物検査
・妊娠検査用キット→ホルモン検査(免疫学の一つ)
など、同じ「尿」というモノを測る検体検査でも、こんなにたくさんの「分野」の検査があるわけです。そして「体のこの部位のこの病気の時に、この検査ではこんな結果が出る確率が高い」というメカニズムが解明されています。
このメカニズムは長い症例数と期間をかけた膨大な数のデータを統計学的処理をしたり、研究した結果などから明らかにされています。
しかしながら「100%絶対にそうなるか?」と言われると、個人個人の「個体差」や様々な変動要因があるため、必ずしも「この病気なので、絶対に全員がこの検査でこうなります!」と言うことはハッキリとは言えません。ですから「〜こんな結果が出る確率が高い」というニュアンスで捉えてください。
以上のこともあり、一つの結果だけで確定診断することはありません。医師は患者さんの問診や触診、聴診等をし、ある程度絞り込んだ上で、様々な検査をして多方面からアプローチをしていきます。
そして、医師は得られた膨大なデータと、患者さんの症状等から、体のどの場所に不調があるかを、まるで探偵のように深く探っていくわけですね。
今回は検体検査には2種類の分類があるというお話でしたが、次からはそのうちの一つである「分野」について、一つ一つお話ししていきたいと思います。