振り返れば・・・ISO認証、CAP認証、衛生検査所認可取得の業務(しかも英語で)をやってきたっていう、結構レアな経験を語ろう①

私は今、欧州の某国ヘルスケア会社の日本法人にいます。公用語は英語。オフィスには本国の方もおられ、会議も文書もメールも全て英語でございます。

さて私は、臨床検査技師として某大規模病院に長年勤務したあと、一般的には「占い師」と呼ばれる仕事をしたり(今もやっていますが、師匠から怒られますので「Astrologer」ということで・・・)、アジア某国の会社から技術提供を受ける日本企業に非常勤で入ったり、健診専門クリニック(超ブラックだったよ、もう本当に・・・)に入ったりと、色々な所を転々と渡り歩いて今に至ります。

その中で、国際規格であるISO15189(みなさんご存知、近年取得が進んでいる臨床検査室の国際規格でございます)、アメリカのCAP認証(これもサーベイでおなじみの米国病理学会(CAP)が提供している認証です)、そして日本の法律が関わる衛生検査所登録申請を2社行う、という「お前は歩く臨床検査室のRule Bookか?」という日々を送っておりました。

ISOをとる、CAPをとる、衛生検査所認可を取る時というのは、まず基本の”き”に「ルール」「規格」といったものが関わってきます。

ISOやCAP認証の取得を経験され、QMS(品質マネジメントシステム:Quarity Management System)をベースに検査室業務をされている方々はよくご存知だと思いますが、とにかく揃える文書が多く、決まり事やルールも多く「面倒この上ない」ですよね?

某大規模病院時代、ISOを取得してから「ペーパーレス化ってなんですか?」というくらい紙ベースの作業が増えたように思います。

衛生検査所登録申請はISOやCAPほどの細かさはないですが、やはり日本の法律が絡みますので「きっちり明確に」が原則。「曖昧・いい加減」は絶対NGです。

数ヶ月前に終了した衛生検査所の立ち上げは、本社がISOを取得しているのと、あくまでも本社の日本ラボという位置づけでもあるため、原則として本社及び本国を始め複数の国にある検査室が共通で使用している品質文書を使って申請を通す、しかも最速で、という制限&条件付きのミッションでした。

前述したように本社の公用語は英語・・・ということは当然全ての文書は英語。つまり本社が作成し行政に提出する文書は全て日本語に翻訳しなければならないということ。

しかし、ここで本社ISOのQMSが壁を作りました。「英語版はQMSで管理された正式文書であるので、日本語に翻訳する時に勝手な変更や追記等はしてはならない」「日本独自の新規作成が必要な文書は原則として本社の各担当者が作成する。あなたは日本語に訳すだけ。」っていう、とんでもなく大きな厚い壁が・・・。

私はプロの翻訳家ではありませんし、限りなく元文書の内容を変更しないで訳せ、ここに要求されている内容が書いてあるのになぜダメなのか?等々言われまして・・・でも、行政の担当者でもないのですよね。

おまけに、私は英語力が優れているわけではなく、うまく口頭で説明ができないから伝えるのがさらに難しく。

複数の国にある検査室で共通で使えるようにざっくりと書かれてしまっている標準作業手順書(SOP)、行政に要求されている通りの文書区切りではないものの対応、基本的に作業日誌や台帳類はシステム内での電子記録となるので、説明資料作成や一部足りないものの紙運用雛形作成など、相互説明&交渉・相互翻訳という「難易度数倍増し増しの登録申請」に入社直後から日本国内で一人ぼっちでずーっと取り組んでいました。

元々、この会社の技術は日本では初めてのものであり、日本独自の文書の内容も「我々は数万件の検討データに基づくエビデンスがあるのだ!」と、一部どうしても譲ってくれない部分があったり。

・・・いや、もちろん言い分はよーく理解できるけど、正直言うと日本ではそういうやり方は普通しないんですわ汗

どうしても一部の文書は行政のプレ文書監査に通らず、私が大幅に変更して日本語で書いて行政から一発OKをもらったあと、本社QMSへの正式登録のため英文翻訳をしなければならないという流れとなりました。

行政への事前相談からわずか2ヶ月で現地監査を終え認可取得しましたが、一度経験しているとはいえ「難易度数倍増し増し」。緊急事態宣言中ということで自主在宅作業をしていたのと、本国との結構な時差があるということも重なり、最後の方は朝から夜中まで土日も潰してずっとやりっぱなしというカオスでした。

もう本当に「よくやった、自分」という一言でございます。


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彩月しおん(あやつき しおん)
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