臨床検査の分野について〜検体検査編
ここまで臨床検査と臨床検査技師について、さらには「Youも臨床検査技師になっちゃいなよ!」的な方法まで書いてまいりました。
いよいよ一般の方が知りたいだろうなって思う(臨床検査技師になる方法はあんまり(ゴニョニョ)でしょうし・・・)検査項目について「色々、色々ー!」書いていきます。
かなり多岐に渡りますので、私もどこまで頑張れるかわかりません。
ですが、少しでも多くの方に、少しでもわかりやすく正しい知識をお伝えできるようにしていく所存でございます。楽しんでいただけたら幸いでございます。
検体検査の分野をざっくり書いてみよう!
さてご承知の通り、検体検査と一言で言っても、とても多岐に渡ります。そして、簡単な分類の仕方については以前別の記事に書きました。(検体種で分類するのか、分野で分類するのか)
この記事では分野別にざっくりと「こんな種類の検査があるんだよー」っていうのをお伝えしていきます。
皆さんが一度は目にしたことのある「血液検査結果」等の中に「謎の暗号&記号&数字(笑)」がいっぱい書かれていると思いますが、それが「ちょっと読み解ける」ような記事を増やしていくつもりです。
まずは、分野はざっくり分けて以下のようになりますが、皆さんが目にしやすい、普段よく出されている検査に関わるものを書いていきます。
一般検査
血液
臨床化学
免疫血清
微生物
病理
遺伝子
輸血
です。
これはあくまでも大分類であって、1つの分野の中でまた細かく分かれていきます。
「この分野はこんなものを見ていますよ」の概要
詳細については今後1つ1つ掘り下げて書いていきますが、ここでは上で挙げた分野について簡単に説明していきます。
まず【一般検査】からいこうかなと。実はこの分野が私の主な専門なのですが、ぶっちゃけ「雑多なもの」を扱っています(笑)
【一般検査】
主に皆さんよくご存知の検尿・検便があります。他にも髄液や胸水などの穿刺液中の細胞を数えたり、寄生虫の検査をしたりと、昔々から行われてきた分野で、他の分野と比べると【ざっくり】って印象でしょうか。腎臓の機能をざっくり見たり、便に血液が混じってないか見たりってことをします。
【血液検査】
「血液そのものを見る」というとイメージが難しいかもしれませんが、血液中の赤血球や白血球を見たり、血液が固まる仕組みや、実は固まりっぱなしだと困るので時間をおいて溶かしていくという仕組みがあって、それらがうまく働いているかをみたりしています。健診だと貧血とかを見てますね。
【臨床化学】
血液中の「化学成分」とか「酵素」とかを見ています。項目数が非常に多いのですが、肝機能とか腎機能とか見ますよーと言うとわかるかな?と思います。
【免疫血清】
例えば肝炎ウイルスなどの種々の感染症に関する抗原や抗体、自己抗体、アレルギーなど、免疫(抗原抗体反応)が関わっている検査です。あまり健診でフルにはやらないかもしれませんが、肝炎検査とか、女性でしたらSLEなどの自己抗体などはオプションでやるかもしれませんね。ホルモン検査もこちらになります。
【微生物】
文字通り「微生物=細菌」の検査です。喀痰、便、尿、血液、体液、傷口からの分泌物、カテーテル等、ありとあらゆる材料から「病原起因菌」を特定し、薬剤耐性なども見ていく検査です。
『腸内フローラ』が一時盛り上がりましたが、あれは「病原性があるかどうかは関係ない」のと「研究レベル」の話ですので、今現在病院では行っていないはずです。
新しい検査技術等がメディアに取り上げられると、いつも患者さんが殺到して大変なのですが、「腸内フローラ」の時も凄かったですね。
【病理】
主に手術材料や喀痰、尿など、ありとあらゆる材料の組織や細胞を様々な方法で染色して観察することによって、どのような組織や細胞があるかを見ていく分野です。
この「病理」の分野は「病理診断」というものに関わってきますので、病理医と共に仕事をしております。我々臨床検査技師は検査の専門家として、病理医が病理診断をするための標本作りをしています。また、様々な解剖にも立ち合います。
【遺伝子】
学生の頃に生物の授業で習ったかもしれません。皆さんの細胞の核一つ一つの中に入っている「あなたの設計図=遺伝子」に関係する分野です。研究が進むにつれて、遺伝子の異常等でどんな疾患が出やすいか、どんな体質かなど詳細にわかるようになりました。最近では遺伝子の全てを解読するという研究(ゲノム解析)も進み、私も1年少し携わったラボでは「がんゲノム検査」という「がんに関連するゲノム解析」を行っています。
【輸血】
文字通り輸血に関する検査です。皆さんがよくご存知の「ABO式」「Rh(D)型」血液型はもちろん、様々な血液型、不規則抗体というものが数百種存在しますので、拒絶反応を防ぐために詳細に調べていきます。
また、輸血の部署では皆様方からの善意でご提供いただいている「献血」から作られた様々な「輸血用血液製剤」の管理をしたり、最近では自己血輸血のための採取・保管を行ったりしています。
検体検査は日進月歩
臨床検査の歴史はめちゃめちゃ長いわけではないのですが、医療や科学技術の発達に並行して研究が盛んに行われ、日々目まぐるしい進歩を遂げています。
昔々は医師が簡単な検査をしていましたが、技術が進歩し項目も多岐に渡るようになって、検査の専門家である臨床検査技師が誕生しました。
私たち臨床検査技師も、医療技術の進歩そして検査技術の進歩についてい苦ため、研修会参加や専門書、専門資格試験へのチャレンジなど、自分自身の技術や知識を向上させていくよう日々努めています。
今はだいぶ増えたとはいえ、患者さんの前に出ることが多くなく目立たない職種ではありますが、皆さんの健康を守り、疾患治療に対して、非常に重要な役割を担っている臨床検査技師の存在を、一人でも多くの方に知ってもらえたら幸いです。