田中亮丞のロゴストーリー
▼プロフィール
氏名(愛称):田中亮丞 (りょっちさん)
お仕事:2022年6月にコーチとして独立。法人・個人向けにコーチング(※)の提供やCoaching Lifeというコーチングコミュニティを運営する。
好きなこと、趣味:ランニング(取材の1週間後に初のフルマラソンに参加!)、兄弟とやるゲーム、朝井リョウの「正欲」をきっかけにはまった小説、お香、料理など。
たった1人のあなたと出会い、分かち合う
ー早速ですが、ロゴに込めた思いについてお伺いしてもいいですか?
このロゴには、「たった1人のあなたと出会い、分かち合う」「ともに歩みながら、ココロで会話する」という思いが込められています。まず、このロゴづくりをお願いした背景として、人と関わっていくうえでの自分の軸がぼんやりとしており、言語化したいという気持ちがありました。ちょうどコーチとしての独立を強く考えている時期でした。
思いのひとつめが「出会いの瞬間」のイメージ、ふたつめは「そのあとの関わり」をイメージしています。
ひとつめに関しては、自分の心地よいコミュニケーションの形として、「誠実」というキーワードが強く出てきたんですね。自分にとっての誠実さを深堀していくと、相手を「唯一無二」で捉えることだと気が付きました。相手を雑にカテゴライズしたくなくて、例えばコーチ100人と会ったとしても、コーチと会っているというのではなく、今だったら「村山彩さん(※)」と出会っているというように、個別で見るということをすごく大切にしています。
ふたつめは、すごく簡単に言うと、表面上の話ではなく、相手のことを深く知りにいく会話がしたい、ということです。関係性が続いていく中で、相手が何を考えていて、相手の心の中で何が起こっているのか、に興味を持ちますし、知りたいと思ってしまうんです。「あなたはどんな人なのか?」という芯に向けて僕は話したい、ということを表明しています。
(※)インタビュアーである村山彩(Aya)はコーチとしても活動している。
ーそう思うようになったきっかけはありますか?
当時は意識したり言語化したりしていなかったのですが、幼少期の頃からそういった性質はあったのかなと思います。親から聞いた話で、小学1年生の時に先生から褒められたことがあったようなんです。「りょうすけくんは分け隔てなく人と接しますね」みたいな。クラスの中心から離れている子、一見変わっているような子でも、実際話してみたらその人らしさがみえて面白いなと感じていて、よく話したり遊んだりしていました。それが先生からするとすごく印象的だったみたいですね。
これは自分が転勤族だったことも影響しているのかなと思います。幼稚園の時から毎年引っ越しがあって、友達ともお別れして...。それでも新しい環境の中で、必ずひとりはすぐに声をかけてくれる人がいて、とても仲良くなれるんですよね。まだ周りになじめていなくて自分の良さも全然出せないときに声をかけてくれるって本当に嬉しい。それが何度もあったことで、過去の自分のようにひとりでいる子が気になるようになったし、僕だけでもその子の良さを知ることができていたらお互い嬉しくなれるかな、みたいな経験が今の思いのベースになっているのかなと思います。
ーりょっちさんが今、そういった思いを大切にする意味はどこにあるんでしょうか?
まず、ひとつ、さっき言った通り根底に誠実さみたいなキーワードがあるんですね。これは自分のアイデンティティだなって思っています。炎としゃべる中で言語化したことで、僕は人のために誠実でいるんじゃない。回りくどいけど、自分が誠実じゃない状態はアイデンティティを失っていることに等しいんです。そうある以外の選択肢がないんでしょうね。
もうひとつは、すごく抽象的な言い方になってしまうのですが、「ひとりひとりが比較されず個別に見てもらえて、その人らしさが発揮されている世界」を自分は見たい。自分なりの個性や誠実さの表現手段が、「個々を深く知ってつながること」で、自分のアイデンティティとそれが当たり前に出来てる世界に自分はすごく安心するだろうし、見てみたいなって思うんです。
自分の意志に気付いていなかった僕が、コーチングを通して人生のこだわりに気付けた
ー昔の話に戻りますが、そういった自分の性質を自覚し始めたのはいつ頃なんでしょうか?
それは割と最近な気がする...。自分にとって自然なことだったから、特別大事なことだと思っていなかったように思います。意識的に大切にしようと思ったのは、コーチングを学び始めた大学2年生の頃のような気がします。
僕、高校生ぐらいまで全く自分の意思がない人だったんです。友達といるときにご飯の場所を決めたこともないくらい。もちろん人と深く対話しようみたいなことも思ったことなかったです。この人の中で何が起こってるんだろうとか、無意識的には気になっていたのかもしれないけど、意識的に聞く、みたいなとこができてなかった感じがします。
ーコーチングを学んだり、受けたりする中でそれを大切にするようになっていったのですか?
そうですね。その中で、自分の欲しいものや関心が分かるようになってきたということがひとつあるかなと思います。もうひとつは、関心があってもどう聞けばいいかも分からなかったのが、コーチングを学んで実践する中で、聞き方や観察の仕方が分かるようになったというのも大きいですね。
自分の興味関心(相手のことを知りたい)が認識できて、それが実際にできるようになったっていうのが、コーチングによってセットで生まれてきた感じがしますね。
僕、コーチングに出会って自分の興味関心がわかったことで、情報学部から心理学部に転学したんですよ。はじめ、文転を大学に申し出た時は、「推薦入学しているからできない」と学務に言われました。しかしそれは暗黙のルールだったので、1年くらい毎月のように学務に通って、他の教授にも協力してもらって何とか転学することができました。
ー意思がなかったりょっちさんはどこへ...
もともとこだわりは強かったんだろうね。その領域が狭くて気付かなかっただけで。今もご飯はなに食べてもおいしいし、どこでもいいです(笑)。ただ、心地よいコミュニケーションのためにはこだわりたいことがあって、それが今回ロゴづくりで言語化できたんだと思います。コーチングを通して、自分の人生に対するこだわりに気付けたのかな、と感じています。
なぜ僕は行動するのか。
ー何がモチベーションだったんでしょうか?
そうだね、ふたつあるかな。ひとつは大学1年生の時にたまたま参加した起業家が集まるプログラム。みんなギラギラしていて、僕はこれを成し遂げたいんだ、みたいな人がたくさんいました。グループワークで「田中さんは何がしたいですか?」って聞かれたときにドキッとして。あ、このままじゃだめだ、みたいな。それがすごく自分の中に残っているように思います。
あと僕もともと心理学に興味はあったんですよ。ただ、高校生の時は理系の先生の言う「心理学って仕事ないよ」みたいな言葉をそのまま信じて理系に進みました。入ってみると理系の授業はあまり興味が湧かないし、いろんな人と交流する中で、「大事なのは何を学ぶかではなくて、どれだけ真剣に学ぶかだな」と思ってからは簡単でした。4年間しかない中でせっかくだったら自分の好きなことを学んだほうが絶対良い、どう考えてもそうだ、と思って一歩踏み出せたのが大きかったです。
ーコーチとして独立されたということも含めて、行動力がありますよね。
よく言われるんですけど、自分が行動力あるとは全く思ってないんですよ。むしろ遅いと思っているくらい。それこそ心理学を学びたいという気持ちは高校生からあったわけだし、コーチとしての独立も就活の時から考えていたことで、僕の中では石橋を叩いて渡るような慎重さなんです。ただ、意思決定の理由を自分個人に置くことができるようになったことで、遅くなったとしても「自分だから」という道を選んでいるだけで、ある意味必然のような感覚です。
コーチングで、もっと先の景色を見たい
ー「自分だから」という道を選んできたことで何か変化はありましたか?
6月から10月の間でコーチングが何か飛び越えた感覚があって、なんだろう、自分が何を提供すればいいのかが見えてきたような。傾聴はもともと得意だったのですが、何か行き詰ったときに決め手に欠けることがずっと課題としてあったんですよね。それが最近は、具体的なスキルでいうと良いフィードバックができるようになっていて、自分が観察して見えたものを素直に口に出すとセッションが進むということに気付いたのがここ3ヶ月くらいですね。
より確信したのは9月末に開催した奈良でのCoachingLife-Meet-(※)時です。いろんな人に自分が見えてるものを伝えてみたら、話が深まったり、その人の心理状態が変わる瞬間もあったり...。「こういう関わり方ができそう」と、仮説として思ったことが、相手にしっかりと刺さるようなこともありました。その場にはすごく対話がうまい友人もいたのですが、自分が彼の真似をしてもだめだし、彼が自分の真似をするのも違うなというのがひしひしとわかってきて。これまで培ってきたその人らしさをどう出すかということが見えてきて、より自分の在り方に繋がってきたように思います。
ー何が変化を起こしたのでしょうか?
そうですね、最近はある友人の家によく泊まりに行って毎晩話し込んだり、半年に一回くらい旅行に行く友人とベトナムのビーチを散歩しながら話したり、そういったコーチングではないけどコーチングっぽいコミュニケーションがすごく良かったのかな。「コーチング」としてだと傾聴に意識が向くのですが、そういう場所だと比較的言いたいことを自由に言えるような感じで、これを言うと話が進む、ということを感覚的につかめたのかなと思います。
あとは北海道でのリトリート(※)。リトリートの仙人のような方がいて、場作りの本質を見た気がします。人との関わりって作為的にするものじゃないんだ、みたいな。その人と関わることで自然体ってこういうことなのか、とか人との関わり方の間合いがわかってきたような気がします。
ー興味深いですね!!セッションを繰り返して、じゃないんだ。これからなにかやっていきたいことはありますか?
コーチとしてお仕事をするのはやっぱり楽しくて、いけるところまでいこうみたいなことを強く思っています。独立した当時よりもお仕事をいただいている状態ではありますが、まずはコーチングの仕事を突き詰めて、もっと先の景色を見たいです。PCCというコーチングの国際資格も取りたくて、再来年の誕生日までに取得すれば、おそらく日本最年少なんですよ。
自分が大事にしたい思いは、コーチングで表現ができて、しかも価値を感じてくれる人がいて、ぴったりだな、必然的にやりたいことだなと思っています。でもその先はどうなんだろう。一生フリーランスのコーチとしているイメージはあんまりなくて、次の章に早く行きたいからいけるとこまでいきたい、という感覚が強いですね。
ーそうなんですね!次章のイメージはどんな感じですか?
生活や人生の中心にコーチングがあるわけではなく、社会と強く関わりたい、と思っているような気がします。コーチングって個別の対応に閉じてしまいがちなので。コーチングを辞めてしまうというより、コーチングを自分にとっての当たり前とした上で、たぶんどこかでもっと社会にできること、世界にできることはなんだろうって。今も考えたりはするけれど、きっともっと強く考えて何か動き出してるんじゃないかなっていう風に感じますね。
「誠実であることがアイデンティティ」「「自分だから」という道を選んでいるだけで、ある意味必然」。印象的な言葉です。りょっちさんとの関わりで感じる「自然体の中にある力強さ」がどのように形成されていったのかを少し知れる時間になりました!
インタビュー・執筆 村山彩
↑ りょっちさんのコーチングを受けてみたい方はこちらから!
↑ 自分のロゴを作りたい方はこちらから!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?