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銀河英雄伝説と組織論

リブート版アニメの次期公開が控えているとはいえ、それを待ちきれずにAmazonプライムで配信されている昔のアニメをひたすら見続けて90話を過ぎたあたりにいます。銀河英雄伝説。なぜこれほどの名作を見ずに生きてきたのか。例によって僕も一番好きなキャラはヤン・ウェンリーです。

用兵という現代世界では耳慣れない言葉が飛び交うアニメですが、これを「人材活用」と読み替えると急にイマドキな感じがしてくるのは不思議なものです。しかしこのアニメで語られていることの半分くらいはこの人材活用であるような気がしてなりません。

構成員一人ひとりがそれぞれの事情と信念を持ち、独自の行動原理で動こうとするのを何とか統率し、得意分野で力を発揮させ、賞罰を駆使しながらもモチベーションを保たせ、その果てにようやく目的を達成するというのは字面だけ見れば現代の企業活動と随分似通った営為であるように見えます。

リアルワールドの登場人物達はアニメのキャラほどわかりやすく個性が描写されたりはしない(時折強烈な人はいます)ですが、それでも一人ひとり違った動機があり、バックグラウンドがあり、思考回路があり、信念があるのは同じなわけで、というよりアニメキャラよりも余程複雑にそれらを有しているわけで、それを顧みずに気の赴くままにあっちに配属させたりこっちに異動させたりしていれば勝利が得られないのは必然ですよね。どうですか。無頓着に働き手を振り回す例、多すぎませんか。

戦争も企業活動も戦略という言葉を用いてその活動を表現したりするわけですが、どちらも「どのようにリソースを割り振り、どんな力学で諸要素を動かしていくか」という観点では類似したものであり、将帥あるいはリーダーというものは如何に人を動かし人に動かされるということについて熟知した存在でなければならないか、という思いを新たにします。

それにしても我々勤め人というのは、これほどドラマチックなポテンシャルを持つ用兵の現場にいながらにして、何故こんなにもぐったりしているのか。

銀河英雄伝説という至高の名作に触れながら、一番に惹かれる対象が登場人物でも世界観でもなく「タンク・ベッド」(一時間の睡眠で八時間分の睡眠効果が得られる装置)であるなど、あってはならないことだというのに。

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