【映画の感想】X-MEN フューチャー&パスト
(前半はネタバレなし、後半はネタバレありです)
※フィルマークスに投稿した感想の転載です
前作から続いて鑑賞。最初から衝撃的な未来描写で飛ばしてくる。本作はどうも旧三部作と新シリーズ両方の続編という変わった位置付けらしく、旧三部作は観たような観ていないような…という身には若干置いていかれる感じの導入部だけれど、最低限状況がわかる程度の説明はあるので何とか食らいつく。
それにしても「傷がすぐ治る」という能力のせいでウルヴァリンはとにかく無理難題を押し付けられるし、無茶な状況に放り込まれる。なまじ能力があるとそれに見合ったしんどいミッションが発生するのは現実と同じ。大いなる力には大いなる責任が伴う。
ということでウルヴァリンは意識だけを過去に飛ばし、崩壊した未来の元凶を取り除くためのミッションをこなすことになる。
冒頭にてプロフェッサーXとマグニートーが「ウルヴァリンよりも過去の自分が心配」と呟いているのが何とも面白い。でもそれは裏を返せば「良い歳の取り方をしてきた」と言えるのかもしれない。過去の自分を恥ずかしいと思えるということは、相応の分別をつけられるようになってきた、ということでもある。
原作では暴れん坊らしいウルヴァリン(ヒュー・ジャックマンは個人的に非常に理性的に見えるのであまりそんな感じはないけれど…)が、若い頃のプロフェッサーに助言を与えるシーンもあり、またその助言の仕方も自分のあり方をわきまえたやり方なのが感心する。説教するでもなく自らが体験したことから言えることだけを伝えるというのは「いい大人」の一つのモデルかもしれない。
(以下スペースのあとにネタバレあり)
それにしても前作から続いてマグニートーの強さが尋常ではない。ミサイルを止めたのも恐ろしいシーンだったけれど、ロボットの内部構造に鉄の神経を張り巡らせて自分の思い通りに動かす…というのは観ている側は「おおー」という感じだけれど、これを思いつけと言われたらなかなかしんどい。ここでも製作者の想像力が光っている。
しかしマグニートーの能力、「磁力を操る」だけでなくて「たくさんのものを一度に操る脳のキャパシティ」という方が比重が大きい気がする…ミサイルをまとめて止める程度ならまだしも、ロボット複数機…。
本作は各キャラクターの転換点としても描かれている部分があり、プロフェッサー、レイヴン(ミスティーク)は特に丁寧に描かれている。二人とも自身の特性(能力)に由来する、過去から続く苦しみに対して足掻きながら、最後にはそれを克服する形で前に進んでいる。これもまた一つのフューチャー&パストということなのだろう。
能力の描き方という意味では、未来編におけるセンチネルとのバトルでも工夫を凝らした使い方が魅力。特に空間をつなげる?能力は二重、三重に使うことで予測のつかない攻撃を行っていたりと面白い。
ただ、ウルヴァリンの爪はやはりアダマンチウムであってほしい…骨の爪はいつ折れるかとヒヤヒヤしてしまう…。