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マルシェの主催企業がマルチ商法だと気付いてギリギリで撤退した話

わたしのnoteは基本的に、何かから逃げたとか、何かをやめたとか、そんな話ばかりです。noteに書かれていないところの日常ではそれなりに平和な日々を送っております。そして今回もやっぱり、何かから逃げたり、やめたりした話です。


週末にショッピングモールをぶらつくと、ハンドメイドアクセサリーを展示している空間に出会うことがあります。イヤリングやピアスが趣向を凝らしてディスプレイされ、作家さんがそれらの作品を手売りしている空間です。
即売会的なイベントに慣れている人には、小規模なデザフェスといえば伝わるでしょうか。そうではない人にとっては、お洒落な文化祭というイメージのほうがわかりやすいかもしれません。ハンドメイド以外にも、マッサージなどのボディケアをしているブースや、飲食物の販売、そして占いなどで出店をしているブースが並んでいることもあります。

私は何年か前から、趣味と実益を兼ねてマルシェに出店することがありました。マルシェというのは、尖った特技を持つ人が中心となって作るイベントなので、多少クセの強い雰囲気を感じることがよくあります。しかしながらあるとき、クセが強いというのではなく、なんとも言えない違和感が漂うマルシェに申し込んでしまったことがあります。

そのマルシェはごく普通に「こくちーず」で参加者募集の告知を出していました。日程やその他の条件が合いそうだったので気軽に応募したのですが、今思えばいろいろと変なところがありました。

まず、主催企業の明記がありませんでした。
これに関しては、特に主催企業が無く、有志の個人事業主同士が協力して主催を行っているマルシェもあるため、申し込み時点では特に気にしませんでした。

ただし、申し込んだ後にアチーバーを名乗る人物から連絡があり、そこで初めて『ユ○○○○』という主催企業名を知らされました。加えて本来は紹介制のイベントであり、このアチーバーからの紹介という形で参加してほしいという依頼がありました。
このような申込方法を取っているマルシェに参加するのは初めてでした。

次に、ホームページやSNSに、イベント参加中の光景を撮影した画像がほとんど載っていなかったことです。普通は集客のために開催中の写真を撮り、リアルタイムでSNSに投稿すると思います。
しかしながら、このマルシェについてはそういった画像が極端に少なかったです。参加者が記念撮影をしている集合写真が多少あったものの、個々のブースを写したものはほとんどありませんでした。
マルシェというのはどこも荒削りなところがあるのが普通なので、この時点ではさほど疑い無く参加申し込みを進めました。

申し込みを終えたあと、申込者の中には謎の格差があることが判明しました。

まず『会員』と『非会員』の区別があること。

『会員』と『非会員』で参加料金に違いがあり、『会員』の方が安く設定されていること。
(申し込み案内のポスターには『会員』『非会員』の文字が無く、高い方の料金に『一般』とだけ書かれていました)

『会員』は写真付きのブース紹介(即売会におけるサークルカットのようなもの)をチラシに載せることができるが、『非会員』はそれができないこと。

『会員』は現金の代わりに『ポイント』を使って支払いができるということ。

そして『非会員』はこのマルシェに参加できるのが1回だけで、2回目以降も参加する場合は『ユ○○○○』の会員にならなければいけないこと。その会費は入会金、月額会費ともに万単位の金額でした。

これらの情報はイベント開催1週間前という、直前と言っていい時期に行われた説明会で初めて公開されました。

説明会では、いかに自分たちの団体が国際貢献をしているかと、会員同士の助け合いで売上を伸ばしているかがアピールされました。
助け合いで売上を伸ばしている以上、マルシェに参加するだけではなく『会員』になって欲しいということなどが伝えられました。私は当初、『会員』というのはマルシェの運営委員会か何かだろうと思っていましたが、そうではないことに気付いてだんだん違和感が強くなりました。

説明会のあと、嫌な予感を覚えつつ『○○○○○』でGoogle検索をしました。

はっきり「マルチ商法」という文字が出てきました。

しつこい勧誘を受けて困ったというネガティブな意見もあれば、『ユ○○○○』を利用して上手くいったというポジティブな意見もありました。しかし、そのどちらにも共通して書かれていたのは

「ユ○○○○は紹介によって会員を増やし、会員が増えれば増えるほど自分の収入も増えるネットワークビジネスである」

という説明でした。

先に出てきた『ポイント』というのは、この団体に入会すると得られる特典のようなものでした。会員同士ならこのポイントを使って買い物ができるが、売上は半分しか現金化できないという仕組みのようでした。
(ユ○○○○の説明ではこの仕組みによって会員同士でお得に買い物ができるから集客になる、とのことでしたが、言い換えれば会員以外の集客は難しくなるし、現金収入も単純に考えて半額になるからジリ貧システムだと思うのですが。会員専用ポイントで光熱費や家賃、通信費は払えないのにどうやって商売する気だろう)

わたしはポジティブ、ネガティブ両方の意見を参考にした結果、やはりバックについている団体の名前を巧妙に隠して募集をしていたとしか思えないし、申込後に後出しで伝えられる情報が多すぎる点に不信感を覚え、参加を辞退することにしました。申込時に接点を持った人とは連絡手段を断っています。

マルシェというのは自分が行っているサービスをアピールする場でもあるのですから、団体名ををわざわざ隠す意味が無いんですよね。Threadsの書き込みによれば、マルシェ開催中の様子をSNSにアップロードするのは禁止されていたそうです。
アピールの場でわざわざ情報を隠すというのは、自分たちのサービスはとても人に好まれるものではない、と自己紹介しているのと同じです。

マルチ商法(=ネットワークビジネス)をやっている人たちって、自分たちは素晴らしいことをしている、価値のあることをしていると言う割に言論の場から逃げるんですよね。それは後ろめたい気持ちの表明以外に何があるのでしょうか。

今回の件は事前の対策は難しかったと思います。何故なら団体名を隠していたことに加え、毎回微妙に開催するマルシェの名前を変えていたため、外観からはマルチ商法が母体になっているとは全くわからなかったからです。
強いて言えばSNSやブログにアップロードされている画像の数を調べたほうがいいかもしれません。普通のマルシェなら、集客のためにリアルタイムでマルシェ開催中の光景をアップロードするはずです。

そして事前にわからなかったとしても、マルシェの主催者がマルチ商法の可能性があると思ったら、空気を読まずに縁を切る勇気が必要です。

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