たんたんと生きる
家の改装をしている。
詳しくいうと、実家1階のリビングとキッチン、和室をすべてフローリングにしてもらっている。
今回の改装は引っ越す必要がなく、一部屋ずつ順番にフローリングと壁紙の張替えをしてもらう。
最初は和室から。
すべての荷物を2階やリビングに移動させる。
作業中、誰かしらが一応家にいるべきということで、私がひとり留守番をし、リビングで作業。
飲み物を取りに行きがてら様子を見てみると、すでに畳は取り除かれ、和室の下の板張りがあらわになっていた。
何十年も人に踏みつけられ、おかしやらジュースやら汗やらを垂らされ、思い出をすべて吸収した禿げかかった畳は、あっけなく家から姿を消していた。
職人「あっという間」
私「あっという間」
本当にあっという間。というか、撤去しているような音もしなかった気がする。
これがプロの仕事か。
それから、ゴミなどが散らばらないようにするビニールのようなもので遮られた旧和室。
たまにガガガガガとかゴンゴンという音がする。
そしてまた、ビニールの隙間から様子を伺ってみると、すでに板は取り除かれ、家の土台の板と地面が顔を出していた。
「え、この太い何本かの柱の上に薄い板が打ち付けられて、その上に畳がのっかってただけ?それで踏みつけられたり暴れまわったり飛んだりされながら何十年も建ち続けたの?家ってすごくない?家すごい」という感動が私の中を駆けめぐった。
その作業をしていたのはたったひとりの職人さん。
2日目もひとりたんたんと作業をこなし、いつの間にか“家”になっていく。
その、たんたんと“家”をつくる職人さんを見ていたら、少しずつ、いつの間にか、ここ最近のもやもやが晴れていた。
ひとりだとしても、進んでいない気がしても、たんたんとこなせば絶対に進んでいるし、必ず完成する。
私がやりたいと思っている、「星や宇宙をかわいく、わかりやすく伝える」ことは、ひとりで考え、ひとりで行動し、反応がなければ悩み、反応があっても悩み、悩みがつきなくて、とても孤独になる。
たぶん、環境も悪いと思う。
でも、いつかなにかに繋がる。
私にできることは、そう信じて、毎日をたんたんとこなすことだけなのかもしれない。
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