「なんであれが土星だってわかるんですか?」
先日、スタッフとして参加した星空観望会で私は、お客様に位置を伝えながら、
「今ここから観ることができる惑星は、土星、火星、木星、金星です」
などと、おはなししていました。
予想をはるかに超える人数のお客様が来てくださったその日の観望会では、望遠鏡をたくさん設置して拡大された惑星を観ていただきました。
くっきりと映る土星を観た方の中には「こんなにくっきり観えるの!シールでも貼ってるんじゃなくて?」とおっしゃる方がいたり、「望遠鏡で観ると、月がまぶしすぎる!」と月の偉大さを新ためて感じる方がいたり。
でも、望遠鏡の数には限りがあり、どうしても並ぶ列ができてしまいます。
そんな方たちに声をかけて、星のおはなしをするのも私たちのしごと。
そうやってたくさんの方とおはなしをしていたのですが、列に並んでいるあるお客様に肉眼の状態で「あれは土星です」と話していたところ、突然聞かれたのです。
「なんであれが土星だってわかるんですか?」
その質問は至極真っ当。なぜなら、肉眼で観ると想像している輪っかのある土星じゃなく、白い小さな点にしか観えないんだから。
でも、質問の答えは単純。
勉強しているから。
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星の並びは、毎日、というか毎秒変わります。
そのため、観望会の前にはスタッフで「今日の惑星の並びはこう」「この時間、この方角にISS(国際宇宙ステーション)が観える」など、その日の夜空の動きを確認することが多いです。(たぶん、全員の打ち合わせがなくても、個々で確認はしてくる人がほとんどだと思います。)
星空案内人(星のソムリエ®️)として観望会などで活動している人は、日々勉強をしていたり、毎日のように星の動きを観ていたりするのでわかる、ということもあります。
でも、その白い点が土星だっていうことは、アプリで観たりネットで検索すれば、誰もがすぐにわかることだったりするのです。
しかし、私たち「星空案内人(星のソムリエ®️)」の出番はここにあります。
ぽちっとネットで調べればわかる時代に、その先の広く深い世界を伝え、魅せて、感じてもらうこと。
宇宙の魅力を伝え、楽しさを伝えることなのです。
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「なんであれが土星だってわかるんですか?」
このことばのなかに、「星空案内人(星のソムリエ®️)」の役割があるんだなと、改めて気づかせていただいたひとことでした。
そのあと、なんて答えたっけな。テンパってあまりすてきなことは話せなかったような気がします。
そういえば、当日行ったアンケートのひとつに「ふだん見ている星が惑星だとわかった」という回答もあったようです。
そうなんだよね。都会など明るい場所で観える星は、惑星のことが多いのです。もちろん恒星も観えるのですが。
そんな話はまたの機会に。