【ステイ・ホーム日記2】
今夜は新たまを丸ごと柔らかく煮るつもりで、鍋に新たまとコンソメを入れて1時間水に浸している。その間に日記。勝手にロックダウン生活に入って2回目の週末。朝どうしても起きれない日が続いていて今日も目覚ましに全く気づかず、ベッドから出たのは10時を過ぎていたと思う。湯船に浸かって、着替えて軽くメイクをして、近所にブランチと買い物へ。久しぶりに外を歩いた気分。家にこもる生活をしていると1日100歩歩いたかどうか。さすがに運動不足で、外の空気を吸いたくなる。
下北沢も普段の週末に比べればだいぶ人は少ないとはいえ、そこそこ人は歩いていた。胃袋にズキュンで、クスクスと季節の野菜を混ぜて食べるエスニックな野菜ランチをペロリとたいらげて野菜欲が満たされる。昨日まで入稿に追われてちゃんとした食事が摂れなかったから体は素直だと思う。ナチュラルワインも飲んで気持ちよくなってスーパーへ。オオゼキも週末にしてはお客さんは少なめ。メモしていたものを買って、お店を出て友だちと約束していたzoomお茶会。私は初めてのzoom。スマホの画面にみんなの顔が並んでいてうれしい! それぞれに抱えていることはあるけれど、とりあえずみんなが元気で安心した。もちろん直接会いたいけれど、今は会えないからzoomを通してコミュニケーション取れるのがうれしいし、この機会に楽しみたい。歩きながらzoomして、ナチュラルハウスでみりんと小麦粉とバターを買う。
自宅方向に歩いて、そのまま環七を超えて羽根木にあるお花屋さんへ。家にずっといるから瑞々しいものを目につくところに置いておきたくて、チューリップ2種類とナデシコを買った。ナデシコは小さいころ実家の庭に咲いていて、つい懐かしくなった。白と鮮やかなピンクがマーブル状に混ざったような花びらをしていて実家の庭で見たのよりもモダンで店員さんに教えてもらわなければそれがナデシコだとわからなかった(わたしの中ではナデシコは薄いピンク色)。帰宅してからもzoomでおしゃべり。友だちが”自分を出せない、自分を隠してしまう”と悩みを話してくれてみんなで話し合った。
わたしはその場では言えなかったけれど、わたしもまったく同じことで悩んでいる(その場で言えないことが本当にたくさんあって、そういう意味でもわたしは書く方が合っている気がする)。悩んでいるというかそういう自分と付き合っていくしかなくて、こうして人に見てもらう日記も自己開示の手段のひとつ。けどこの日記も玉ねぎのいちばん上の薄い皮を1枚剥いだみたいなものだと思う。玉ねぎの内側の中心の方なんて、見せられない!って強く思うと同時に開いて見せたい真逆な自分もいる。
こうして日記を書いている間に1時間が過ぎて今はコトコト新たまを煮ている。玉ねぎ1つとコンソメ1かけと水。シンプルでいわゆる素材の味を楽しむってやつ。新たまのみずみずしさを見ているとうらやましい。フレッシュで春を抱えていて、甘くて美味しい。ずるい。わたしも新たまみたいになりたい。母に教えてもらったレシピともいえない新たまの食べ方がある。新たまの頭に包丁で6等分くらいの切れ目を入れてラップをして電子レンジにかけるだけ。透明感を増した新たまにかつお節をまぶして味ポンで食べるというもの。これが、味ポンのさわやかさが新たまの甘みを引き立てていて、とっても美味しい。これでご飯おかわりできる。ぜひお試しあれ。
夜はLINE通話で親友とおしゃべり。20年以上のつきあいで本当は今週末、彼女が住む京都へ遊びに行く予定だった。それがコロナであえなく断念。とりとめもなく、互いのことをいろいろ話すうちに、さっき新たまを水に浸しながら、タイピングしては何度も消してしまった言葉を彼女がスラスラと、わたしの気持ちを代弁するように話すので、これは宇宙のどんな采配なんだって鳥肌が立ちそうになった。
親友はこう言った。ayaposseが毎秒いろんなことを感じたり、思ったり、考えたりしたことを、ayaposseはわたしに「これは話すほどのことじゃないかな」って言わないかもしれない。だからわたしには言わないかもしれないけれど、いろんなことを感じてるんじゃない?って。その通り過ぎてびっくりした。わたしが感じてることや思っていることは、今ここで言わなくていいことなんじゃないかって思っているから言わない。今の場面とはまったく関係ない突飛なことを考えていたりするから。だけどどこかに残しておきたいからわたしは書くのかもしれない。書く行為は、空気を読んだり、遠慮しなくていいから、友だちたちとの会話の中で自分の発言を挟む隙間を探したりせずに完全な自分のペースでいられるから、安心していられる。
彼女は何気なく口にしたから、たぶん覚えてないかもしれないけれど、そんなふうに言ってもらえて救われるような気持ちがした。うれしくてうれしくてびっくりした。それなのにわたしはさっきの会話の中で、この驚きを伝えられずになんともないフリをしてしまった。だからせめて書き残しておく。
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