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筆一本で社会に風穴をぶっ通した女性、伊藤野枝さん 〜個人の問題は社会の問題〜

今日は「コテンラジオ」で紹介されていた伊藤野枝さんのお話を聞き、その生き方や考え方に大きな衝撃を受けたお話。

彼女は28年という短い人生の中で、文章の力を武器に社会の矛盾に立ち向かった強い女性同じ福岡市の出身ですが、これまで伊藤野枝さんのことを知りませんでした。しかし、没後100年が経った今も、彼女の考え方は現代社会にも通じる部分が多くあります。

特に、女性の生き方や子育て、社会の仕組みについて考える上で、改めてドラマ御上先生でも登場した「個人の問題は社会の問題」について深掘りしたいと思います。

女性映像ディレクターとしての視点でも最後コメントしています。

世間の伊藤野枝像と、彼女の生きた時代

一般的に語られる伊藤野枝さんの評価には、次のようなものがあります。  

かつて平塚らいてうが編集長を務めていた雑誌「青鞜」で活躍するも、編集作業を放棄して休刊させ、不倫を公然と行い、結婚制度を否定する論文を発表。戸籍上の夫である辻潤を捨て、大杉栄と恋愛関係になり、四角関係を演じました。その暮らしぶりは「わがまま」「奔放」と批判される一方で、人工妊娠中絶(堕胎)や売買春(廃娼)、貞操観念など、現代でも議論されるテーマを扱い、数々の評論や小説を発表しました。
1923年、甘粕事件により大杉栄さんと共に殺害されました。

これだけを見ると、「自由奔放な女性」「自分勝手な人」という印象を持たれるかもしれません。しかし、彼女の生い立ちや当時の時代背景を知ると、その行動は「合理的な選択」だったのだと感じます。  

彼女が生きた時代は、「女は家にあっては父に従い、嫁いでは夫に従い、夫が死んだあとは子に従う」という価値観が支配していました。
父親も夫も働かず、母親や野枝さんは家族の生活を支えるために働かなければならなかったそうです。  

このような社会の中で、彼女は「なぜ女性だけがこんなに苦労しなければならないのか?」と疑問を持ちました。
そして、その疑問を社会全体の仕組みとして捉え、「どうすれば変えられるのか?」を考え続けたのです。


自分が大変な中、このように俯瞰して状況を把握したり相手の気持ちを想像したりしていたそうです。このメタ認知能力、辛い時ほど見習いたいなと思いました。


「今、行動せよ」——エマ・ゴールドマンの言葉

伊藤野枝さんは、アメリカのアナーキスト(無政府主義者)女性思想家エマ・ゴールドマンの影響を大きく受けました。
彼女の言葉に「今、行動せよ」というものがあります。  

政治や社会を変えることは簡単ではありません。
しかし、家庭や自分自身の行動や発言という身近なところから行動すれば、少しずつ変化を起こすことはできます。

バタフライエフェクト。小さな蝶の羽ばたきが大きな風を生む。 
全ての問題は属人性がある当事者の問題ではなく、それを生み出す社会全体の問題である、と。

「個人の問題は、社会の問題」

今、ドラマ『御上先生』でも話題になっていますが、「個人の問題は社会の問題」であると改めて思います。  

私自身の生活を振り返ってみると、
「仕事で理不尽なことがあっても、波風を立てたくなくて黙ってしまう」
「家庭でモヤモヤすることがあっても、喧嘩が面倒で放置してしまう」
ということが多々あります。  

しかし、諦めを繰り返すことで、次の世代——私の娘たちも同じ理不尽に耐えなければならない状況に繋がっているのではないかと考えました。

こんなに行動したにも関わらず歴史にあまり名を残さずに、自分の生活の中で思いや状況を文章に残して必死に生活していた野枝さん。こんな女性たちの苦労の上に私たちの生活があるんだなと感謝の気持ちとともに勇気をもらえました。

映像ディレクターの視点:ストーリーの力とメッセージの伝え方

野枝さんは貧乏な実家育ち。ですが叔父へ執拗な手紙を送り、その肉筆で叔父の胸を打ち東京での女学生時代の資金援助を受けます。
さらに実家の親と叔父が決めた福岡での結婚生活に嫌気がさし8日目で奔走、一人目の夫になる元恩師へ熱烈な手紙を書いて駆け落ち同然で東京での結婚生活を手に入れます。
その後、最終的に2人目の夫への手紙からの交流で正妻と愛人2人の女性から夫を略奪婚。

この野枝さんの強い文章の力を知って「伝えることの大切さ」を改めて考えました。まさに言葉は人生を切り開く。

彼女は、ただ自分の思いを語るだけでなく、文章の力で人の価値観を揺さぶり、行動を促したのです。

映像ディレクターの仕事でも、単に「綺麗な映像を作る」だけではなく、視聴者の心を動かすストーリーを作ることが重要。
野枝さんのように「個人の問題を社会の問題として捉える」という視点は、ドキュメンタリーや企業広告に応用できます。

例えば、社会をテーマにした映像を制作する際「現象や統計データを見せて社会問題を説明する」よりも「ひとりの主人公を追いかける」ことで、視聴者がより共感しやすくなります。
映像は感情を伝える力が強いため、「社会を変えたい」と思わせるには、
共感できるストーリーの作り方が重要です。

また、彼女は女性たちへ向けた雑誌「青鞜」編集長も務めていました。

その文章を読むと当時の読者に合わせた「強いメッセージ性のある表現」を意識していたことが分かります。これは、現代のマーケティングでも応用できるポイントで、ターゲットに応じたメッセージ設計が重要です。

例えば、20代の女性に伝えるなら、「自由な生き方」に焦点を当てる。
一方、働く母親に向けるなら、「子育てと仕事の両立」の観点を加えるなど、
同じテーマでも伝え方を変える必要があります。

「伝える」ということは、人が生きる上でとても大事な営みなのです。

まとめ:変化は小さな行動から

伊藤野枝さんの生き方を知り、「ただ不満を口にするだけでなく、自分の行動を変えよう」と思いました。 家庭でも、仕事でも、社会の中でも、 「おかしい」と思ったことには声を上げる。 小さなことでも、実際に行動する大切さを学びました。

100年後の誰かに、行動が何かを変えるかもしれません。

さらに仕事的にも学べることは「ただ主張するだけではなく、どう伝えるかが重要」という点です。

映像制作でもマーケティングでも、
「視聴者が共感しやすいストーリーを作ること」
「ターゲットに合わせてメッセージの強弱を調整すること」
この2つを意識することで、より大きな影響を与えられると感じました。

私自身、今後の映像制作において、「個人のエピソードを通じて社会問題を伝える」という視点をもっと活かしていきたいと思います。  

あなたの人生シナリオ執筆します、お気軽に問い合わせください。


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別府 綾/映像ディレクター
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