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40代メイク無精がRMKトップアーティストメイクレッスンに行ってきた話

※ 今回の記事は、自転車とは全く関係がありません。

SNSで見かけたメイクアップレッスンが、ずっと気になっていた。日本発のメイクアップアーティストブランド、RMK(創始者RUMIKOさんの名前が由来。発音はアールエムケー)の店頭で、同ブランドに所属するトップアーティストによる1on1メイクアップレッスンが受けられる、というものだ。

でも、お高いんでしょう……? と思ったら、レッスンで紹介してくれるものを含む商品を一定額以上購入すればOKとのこと。つまり、レッスンそのものは無料ということだ。さらに、誰でもwebサイトから予約可能。広く門戸が開かれている分人気があるようで、いつでも予約が取れるわけではないが、全く予約が取れないという程でもない。

もし行くとしたらこの日がいいな、という枠がたまたま空いていた。これは運命かもしれない。会場は百貨店のコスメカウンター。久しく足を踏み入れていない地ゆえに躊躇したが、勇気を出して予約してみた。

1. 発端

何故メイクアップレッスンが気になったかというと、コロナ禍での外出機会の激減にあわせてほとんどメイクをしなくなってしまい、これではいかん! と奮起したからである。

出社しない平日は日焼け止めを塗って、眉毛を描いて、終了。メイク開始から終了までの時間は短いが、リモート会議の画面に映る自分の灰色の顔が怖い(背景をキューブリック公式アカウントが無料配布していた映画シャイニングのホテル画像にしているので、余計にホラー感がすごい)。外出する時は年代物のアイシャドウやチーク……え、これ買ったのって何年前?……をペペッと指で塗る。外出先の鏡に映った自分の顔を見て、あれ? アイシャドウ塗り過ぎた? チークもなんか変? と感じることが、増えてきたのだ。

これでも、若かりし頃はメイクが好きだった。人気ブランドから新商品が出ればチェックしていたし、トレンドも意識していた。それが、仕事が忙しくなった数年前からメイク用品を買わなくなり、コロナ禍になってからはお洒落? なんですかそれは……? 状態になっていた。

年齢を重ねたのも大きい。気付けば40代半ば。自分の顔なんて誰も気にしないだろう、と思っていた。
だけど、ひとりだけいたのだ、わたしの顔を気にする人が。
わたしだ。
わたしの顔色が悪いのも、アイシャドウを付け過ぎて殴られた人みたいになっているのも、わたしが気になるのだ。綺麗でなくてもいい、自分が違和感を感じずに、心地よくいられる顔になりたい!

いよいよレッスンの日がやってきた。わたしは中年の切実な願いを胸に、百貨店に向かう電車に乗り込んだ。

2. 導入

メイクレッスンを体験された方のポストによると、レッスンはメイクを落としてスキンケアからスタートするとのことだったので、潔く日焼け止めを塗って眉毛だけを描いたものぐさスタイルで百貨店に入店する。
華やかなコスメカウンターに少し気後れしながら、BAさんに予約していた者ですが……と伝えると、カウンターに案内していただけた。

「ご予約ありがとうございます。今日担当するトップアーティストの藤村さんは、RMK創設の時から活躍していて、ホームページでも一番最初に紹介されているんです。ファンも多いんですよ。とても優しい人なので、色々質問して下さいね」

なんということだ。日程と場所で選んだ枠は、トップ中のトップアーティストの枠であった。
そんなすごい人にわたしのような無精者が教わっていいのだろうか……? と少し不安になったが、わからないから来てるんだし! せっかく教わるならトップ中のトップがええやん! と気持ちを切り替えた。もう中年なので、積極的に開き直って生きていこうと決めている。

現れた藤村さんは穏やかな物腰の男性で、眼鏡の奥の瞳が優しかった。綺麗に上がったまつ毛に控えめな美意識を感じ、この人になら全てをお任せしてもいいな、と思えた。

3. レッスン

レッスンは静かに始まった。メイクを落として、スキンケアから始めていきます、と藤村さん。

各工程の最初にこれから何をするのかを共有してくれるのだが、これがメイクリハビリ勢(わたしだ)にはありがたかった。さらに悩みはないか、希望があるかを確認しながら、メイクをする上で意識すべきポイントを教えてくれるので、ひとつひとつの工程を見直す気持ちでレッスンに臨むことができた。
一方的にメイクをしてもらうのとは違う。「レッスン」という言葉を意味を噛み締める。

ここからは各工程で教えてもらったポイントとアイテムを、自分の備忘を兼ねて書いていく。

① スキンケア

【悩み】
・いまだに思春期のような混合肌。乾燥するのに、部分的にテカる。

【アドバイス】
・皮膚が薄く、油分よりも水分が足りていない肌。
・トリートメントオイルの後でローションを付けてあげると、オイルと水分が結びついて浸透する。すると、モチッとした、手が滑らない肌になる。

ふくよかな柑橘の香りがするWトリートメントオイルを藤村さんの手で優しく顔に付けてもらい。来てよかった……! と早くも嬉しくなる。今使っているオイルがなくなったら次はこれを買うと決める。
オイルの後にローションをパッティングすると、ベタつきがないのに手が吸い付くもち肌に。肌の中に水分が入っているのを感じる! 同時に、スプレー化粧水を適当に振りかけていただけの自分を恥じる。

クリーム代わりに使える日焼け止めが良さげだったので、これは春になる前に買おうと決意。今使っている日焼け止めは、何回振っても油が分離しているので……(経年劣化?)。

② ベースメイク

【悩み】
・頬の赤みが気になる。ファンデーションを塗っても隠れない。

・ファンデーションを塗っても、いつの間にかなくなっている。残っているところは毛穴落ちがひどい。
・目の下に長年濃いクマがある。コンシーラーを重ねても隠れないし、余計に目立ってしまう。

【アドバイス】
・頬の赤みは艶でカバーしましょう。
・ファンデーションはある程度カバー力があり、艶のあるタイプをチョイス。首にあわせて少し黄み寄りの色にすることで、頬の赤みもやわらげることができる。
・コンシーラーは明るいベージュとオレンジをブレンドして使う。指や筆でしっかり付けず、ブラシでポンポンとのせてあげればOK。

藤村さんが使うアイテムは下地、リクイドファンデーション、コンシーラー、そしてパウダーのみ。
頬の赤みと見るやグリーンのコントロールカラー、頑固な目の下のクマにはカバー力のある濃いめのコンシーラーを勧められる人生を送ってきた人間からすると、驚きのラインナップだった。
コントロールカラーを重ねると崩れやすくなるし、艶で赤みはカバーできます。それにクマにコンシーラーをたくさん重ねるとよれてしまいますから、と藤村さん。


早速下地を顔の左半分に塗ってもらって驚いた。この時点で顔色が均一になっているのだ。もちろん、赤みやくすみが全部なくなっているわけではないが、艶のあるいい感じの肌になっているのである。今日はファンデーションは塗りたくないな、という日は下地だけでもいいですよ、と言ってもらって、下地は絶対に買いだな! と心の鼻息を荒くした。


リクイドファンデーションは片頬につき1プッシュをザッと広げる。顔の中心から外側に向かって伸ばす、とかせずに、ざっくりと大胆に置いて下さい。そこから指でトントンとタップしていくと、シールのようにぴったりと肌に貼り付きますから、という藤村さんの言葉に、そんなことしたらファンデがムラムラになるのでは……と不安になったが、杞憂だった。現代のファンデーションの進化っぷりに驚く。
カラーはイエロー系の100。頬の赤みが気にならない、綺麗な肌の人になった。


コンシーラーは明るいベージュ01番とオレンジ色の04番を混ぜて使う、とのこと。しっかりとつけないのが大事なので、柔らかいアイシャドウブラシを使って、筆先に2色のコンシーラーを順番に付けて、ポンポンと肌にのせていきます、と藤村さん。そんなソフトタッチでわたしが長年飼い続けている手強いクマを倒せるのか? と思ったが、ふわふわコンシーラーによってクマは巣穴に帰っていった。
厳密にはクマはそこにいるのだけど、全然気にならなくなった。色と光のマジックということらしい。これは、新手のスタンド攻撃だろうか? 

な……何を言ってるのか わからねーと思うがおれも何をされたのかわからなかった……頭がどうにかなりそうだった……

目の下、そして色ムラのある小鼻の脇にもコンシーラーをポンポンとつけていく。ブラシの先についた少量を、ふわっとのせていくだけ。指で叩くこともしない。それなのに、こんなに顔色が整うんだ……と感激した。


艶を活かしたいので、パウダーは少しだけにしましょう、と本当にサッとブラシでフェイスパウダーをのせて、ベースメイクが完成した。

③ アイメイク

【悩み・希望】
・いつも同じようなベージュやブラウン系のアイシャドウばかり使ってしまう。違う色も使ってみたいが……
・眉毛が薄く、上手く描けない。パウダーを使うとのっぺりする。

【アドバイス】
・アイシャドウは生き生きと見せるピンク系が似合うと思う。
・アイブロウは色と硬さの違うペンシル2本を使って、骨格に沿って描いていきましょう。

ベースが完成したので、いよいよカラーメイクに入る。どんなメイクをしたいですか? という藤村さんの質問に、わたしは考えこんでしまった。ベージュ、ブラウン、無難な色ばかりを使っているためか、自分の顔にあわせてみたい色がイメージできないのだ。

お似合いになる色はこのあたりでしょうか、と藤村さんが出してくれたアイシャドウパレットの中で、一番最初に手に取って見せて下さったのがピンク系の4色アイシャドウだった。かわいらしい色に少し気遅れするが、顔色を良く見せてくれる色です、という言葉に後押しされる。

グラデーションは考えなくていいんです、と言いながら、藤村さんは先程コンシーラーをつけるのに使ったブラシ(ティッシュで都度綺麗に拭かれていた)でアイシャドウを取り、目の上にのせて、スッスッと左右に広げていく。締めの色は目尻と目頭に置いて、また左右にスッスッ。これが目の丸みを強調する塗り方らしい。明るい色で眉と目の間を埋めて、ラメカラーを目の上の真ん中にふんわりと入れると、元気そうな女性が鏡の中に現れた。

目にのせた色は明るく綺麗だが、決して若すぎない。いかにもなしっかりメイク、という雰囲気でもないので、わたしのカジュアルな服装(普段は登山ブランドばかり着ている)にも合う。
商品の説明に「フレッシュで可愛らしいローズピンクパレット。子供っぽくならず、青みによらない絶妙なピンクにこだわり、ピンクをモダンにアップデート。」とあるが、本当に絶妙なピンクである。


最後にアイライナー。わたしがまつ毛エクステをつけているのを確認して、なくてもいいですが、と前置きした上で、まつ毛の間を埋めてあげると目の印象がより際立ちますから今日は使ってみましょう、とブラウンのアイライナーを丁寧に引いてくれた。目尻の3分の1だけでいいそうだ。


アイブロウで顔の印象は変わる。それは知っている。しかし、自慢ではないが、眉毛を上手く描けたためしがない。
眉毛がおかしい人生を送っているのですが、どうしたらいいでしょうか……と暗い気持ちで伝えると、毛のない部分を明るい色の極細ペンシルで描き足してから、内側を少し暗い色の薙刀ペンシルで描いて、立体感を出していきましょう、とのこと。眉毛が重なる中心に近い部分に濃さが出るので、それをペンシルで再現してあげるのが重要なのだそうだ。なるほど。

藤村さんが少しずつ、スクリューブラシでぼかしながら描いてくれた眉毛は、普段自分で描く眉毛よりもずっと太く、しっかりとしたアーチ形だった。でも、不思議と顔立ちがはっきりして見える。これが骨格にあわせて描くということか……と膝を打った。これは、練習あるのみだ。

アイメイクは人によって色選びややり方を大きく変えていると思われ、アーティストさんのセンスを感じられる部分だと思う。実は、違う雰囲気のアイメイクでもう一度レッスンを受けてみたい、と既に思い始めている。行ってきたばかりだというのに!

④ リップ

【悩み・希望】
・普段は唇に色をのせないが、色がないから顔色が悪く見える気がしてきた。
・リップメイクをしてみたいが、何が似合うかわからない。

【アドバイス】
・艶でもマットでもお好みで。似合う色も複数あります。

藤村さんが提案してくれたいくつかのリップから、艶のあるタイプを選択。これはとても人気で、ずっと品切れが続いていたものなんです、という言葉に、みんなが買うということは間違いのない良品だ! と飛びついた。派手過ぎない色で、緊張せずに使えそうなのもナイスである。

帰宅して調べたら口コミの評価が高いことに驚いた。人気の「潤って落ちない」系の口紅の中でスマッシュヒットの品らしい。確かにレッスンから帰宅して食事をしても綺麗に色が残っていたし、乾燥もしなかった。メイクアイテムの進化は留まるところを知らない。

⑤ チーク

チークはメイクのまとめ役。いい言葉である。
肌に馴染むコーラルを薄く大きく頬に入れ、顎にも少しつければ、メイク完成である。

4. 購入

メイクが完成したところで藤村さんとはお別れ。すっかりメイク無精になってしまったわたしにあわせて、必要最低限のアイテムにときめきを添えて提案してくれたところに、優しさとプロ意識を感じた。次のレッスンも是非お願いしたい……と、名残惜しく見送った。

BAさんが今回使用したアイテムをレジュメにまとめてくれると、お買い物タイムのスタートである。藤村さんはトップアーティストなので、税込16,500円以上の購入が条件だ(RMKアーティストの場合は税込11,000円)。

結論から言うと、条件の2倍以上の金額のアイテムを購入した。というか、ほぼ全部買いました。だって、ここ数年メイクアイテムを買ってなかったんだもん。ファンデーションもアイシャドウも、全部3年前とか5年前とかのやつなんだもん! もう全部チェンジです。総入れ替え。長期間同じ化粧品を使い続けると劣化すると聞くし、衛生面でも問題があるだろう。

レッスンで使ったアイテムは型番を含めて全部わかるようにしてくれるので、後からでも購入可能

規定の金額のアイテム購入は必要だが、レッスンが実質無料と考えると、決して高くはないと思う。大体3~4アイテムの購入でクリアできるし、スキンケア製品はなくなるスピードも早いだろうから、買い替えスパンにあわせてレッスンを受けるのもいいな、と考えている。

ちなみに、一定金額以上の購入でノベルティももらえます。
わたしはレッスンでも使った2WAYミラーをもらいました。やったね!

5. 総括

鏡の中の自分をもっと好きになれそうな気がする。
この予感こそが、メイクアップレッスンの一番の効能だと思う。

自分の顔を一番見るのは自分。もちろんノーメイクの顔だって愛しているが、自分がいいな、と思える顔になれたら、メイクを楽しめたら、幸福度が上がること間違いなしである。

そして、メイク無精の中年がメイクレッスンに行ったら浮くだろうな……と思っていたが、決してそんなことはなかった。

トップアーティストの藤村さんはどこまでも穏やかで、言葉は多くないけども的確で論理的。何を言っても受け止めて助言を返してもらっている感覚があり、頼もしい先生、もしくは医師と話しているようだった。

BAの皆さんもとても親切で、対応にリスペクトを感じた。昔、他ブランドでこちらを見下してくるBAさんに当たったことがあり、もしそうだったら嫌だな、と思っていたのだが、全くそんなことはなく、とても気持ちのよい接客だった。

RMKは若い世代のブランド、というイメージがあったが、中年にも優しいことがわかった。これからお世話になります。
わたしのようなメイク無精の人にこそ、メイクアップレッスン、おすすめです。