有澤一華という人間 (1)
突然だが、あなたにとってのアイドル(idol)とは何だろうか。抽象的な概念であるアイドルという存在は、私にとって「理想と憧れ」である。
2020年11月30日 衝撃の出会い
それは衝撃的な出会いだった。2020年3月30日、人生の一部であったこぶしファクトリーが無観客コンサートの上解散し、広瀬彩海ちゃんという最大の偶像が卒業した後、私は大きな空虚感を抱えながら生きていた。つんくさんの曲が大好きで、ハロープロジェクトの存在に幼いころから支えられてきた。ハロプロエッグやベリキューは青春であり最高に楽しかった。もちろんこぶしファクトリーが解散したあとも日常は流れ、ハロプロ楽曲も変わらずきき、イベントやコンサートも行き、いわゆるハロオタらしい生活は楽しめた。ただ、「圧倒的推し」がいないのだ。自分の人生では初めての体験だった。猛烈なエネルギーは行き場をなくし、世界を見守る聖母のような気持ちで現場を楽しみ、研修生番組をみては微笑んでいた。
そんな中、その日は突然訪れた。2020年11月30日、ハロプロ研修生31期加入。
「大阪府出身・16歳・有澤一華です。よろしくお願いします。」
・・・・・・・・は?
一瞬思考がとまった。というよりも、頭の中で閃光がはじけたような感覚になった。(※病気ではない) 咄嗟に職業病で自分の脈を測った。心拍数が猛烈に上昇している。
ていうかなんだこのド紫の服は?貴族しか着やん色やで?そもそも顔が好きすぎんか?よく見たら体つきも好きすぎんか?お嬢様?絶対紅茶好きやろ?(偏見)
一瞬で駆け巡る血液と語彙のない興奮。正直驚いた。この感覚は確実に広瀬彩海ちゃんをナイスガールトレイニー時代の渋谷公演で見たあの時の感覚だ。心臓を鷲掴みにされたような、全細胞が叫んでるような筆舌に尽くし難い感覚を、まさかお茶の間で味わうことになるとは想像もしていなかった。
「憧れていた世界に向かっているって、凄く刺激的で、凄く興奮します。もちろん不安もありますが、大好きなハロープロジェクトさんの楽曲で歌やダンスをレッスンしてくださるなんて、とってもとっても感謝で一杯です。早く上手になれるように努力します。よろしくお願いします。」
アンジュルムのTシャツをきて語る彼女はきらきら輝いて見えた。エンドロールが流れる中、しばらく放心状態が続き、その後しばらくずっと彼女のことが頭から離れなかった。
まもなくしてプロフィールが更新された。
有澤一華 アリサワ イチカ
生年月日 2003年12月23日
血液型 O型
出身地 大阪府
特技 バイオリン、英会話、ピアノ(耳コピ)
趣味 食べること、音楽鑑賞(分析)
好きな音楽ジャンル ハロー!プロジェクト、70年代80年代洋楽、クラシック、JAZZ
好きなスポーツ シャトルラン、空手
座右の銘 日日是好日
ハロー!プロジェクト加入 2020年11月(ハロプロ研修生加入日)
あ、これだめ完全に好きだ。推そう。
出身地も血液型もバイオリンもクラシックやjazz好きも自分と一緒だった。遺伝子レベルで推せと言われている。
アイラブユーは書いては消すタイプの人間ではないため、決断にそう時間はかからなかった。
翌週のハロドリでは、初めてのアー写撮影の様子が放映された。
完全にタイプだった。
我ながら、恋ということを早期発見できたことは偉い。
もうこの時には頭の中には「有澤一華ちゃん」という感情しかなくなっていたのである。
2020年12月19日研修生発表会~光~
有澤一華ちゃんに出会ってからの毎日は楽しかった。好きな人ができると顔つきが変わるとはよく言うが、彼氏に「最近めっちゃ楽しそうだね」と言われた程である。ご名答すぎる。
即効で12月の研修生発表会のチケットを探し、後方ながらもなんとかチケットを入手することに成功した。
ここまで熱意を持ってチケットを探す、ということが久しぶりすぎて(※こぶし組の傷を抉るようだが、ファイナルリングのあの時くらい)、そこまで必死になれること自体、嬉しかった。
有澤一華ちゃんのパフォーマンスが見たい。一体どんな子なんだろう。はやくお目にかかりたい。エネルギーがありあまって、前日に記念のうちわまで作ってしまったやないか。
有澤一華ちゃんのイメージが寒色だったため水色で作った。
オープニングで彼女がステージに初めてでてきた時は、気づいたら泣いていた。かわいい。すっごい頑張って踊ってる。なんだこれ、愛おしすぎるしめっちゃ元気出る。公演では31期2名でのパフォーマンスがあることも知らされており、情緒が大崩壊しながらもその時をドキドキしながら待った。
限りあるmoment.......
まじで泣いた。
緊張で声が震えていたが、2人とも必死にパフォーマンスしている姿に涙腺が崩壊した。 しかし、緊張のなかにも彼女の歌声には芯があり、歌唱力の高さが垣間見える。伸びのある声は後方席までしっかり聞こえ、胸が熱く終始鳥肌が止まらなかった。 力強く拳を突き上げて歌う姿に、こぶしファクトリーの記憶が少し重なった。パフォーマンスを終えた彼女は少し安堵したように見えたが、その後石栗さんに新メンバーを紹介されて挨拶した際、強ばった笑顔でこう言った。
「大阪府出身、16歳、有澤一華です。この冬食べたいものは、卵焼き、あっ😳目玉焼きです🥚💦(ド緊張)」
会場で頭を抱え項垂れる。
何だこの子は?かわいすぎんか?そもそもこの冬食べたいものが目玉焼きって何?どういう選定基準?庶民への配慮なのか?
その夜にはもう、有澤一華ちゃんに養鶏場から差し上げるオタクになっていた。
2021年3月7日、13日 研修生発表会〜Yell〜 東京・大阪公演
実際のパフォーマンスをみてからというもの、寝ても醒めても有澤一華ちゃん状態になっていた。その後のハロドリで、
・12月のソロ選抜オーディションで落ちた時に帰り道悔しくて泣いてしまった。
・わたしの面白さで元気を与えるパフォーマンスをしたい。
という一連の発言をきき、その熱い闘志に更に好きが加速してしまった。まてよ、とここでふと我に返る。
\\私の面白さ?//
好きすぎてうっかり失念していたが、彼女は大阪府出身なのである。もしかして実はものすごく笑わせたもん勝ち精神が備わっているのではないか。
「なんか面白いこと言って!」という大阪人の嫌うよくある振りも 、彼女にとっては朝飯前なのではないか。彼女のキャラクターをもっともっと知りたい。あっ、その前に研修生Tシャツつくろう。
ミシンが大阪に置き去りのため、4時間手縫いでパフスリーブを制作した。裁縫は好きなので楽しかったが、我ながら恐怖であった。その間彼氏もビビりながらスターウォーズの映画を見ていた。
好きを貫き彼女についてあれこれ模索しているうちに、ソロ選抜オーディションの様子が放映された。
選ばれた。
新喜劇並にひっくり返って驚いた。でもオーディション映像をみて納得に変わった。
あ、16ビートばっちりだ。
おそらく彼女はハロープロジェクト楽曲を相当ききこんでいる。12月の発表会で緊張で死にそうになりながらもあのパフォーマンスができたのは、基礎力が高いからだと察した 。
東京も大阪も行かないと絶対後悔すると思い、急いで新幹線のチケットをとった。有澤一華ちゃんは大阪公演でのソロ披露だった。
コロナ禍で大阪にも全く帰れていなかったため、完全防備で箕面のおばあちゃんに会った。新大阪のホームで「見ないうちに美人になって〜あ、元からか!ワハハ!!」とノリツッコミをしながら私を抱きしめ、私の数倍のマシンガントークで近況を喋り倒し、「あんたにこれ!うまいで!!」といいながら紅しょうがチップスをくれた。まだまだ長生きしてくれそうだ。大阪で顔を見せられて本当に良かった。有澤一華ちゃんありがとう。
紅しょうがチップスはまじで美味しかった。おすすめです。
いよいよ彼女のソロだ。無駄に座席が近すぎて気が気じゃなく、当事者でもないのに心臓が飛び出そうになるほど緊張する。推しの晴れ舞台なのだ。オタク特有の祈りの姿勢でその時を待った。
また泣いた
泣くような楽曲ではないのは十分承知しているが、12月のあのガチガチの緊張はどこにいってしまったのかと思わせるほど堂々としたパフォーマンスだった。何よりも、全力でぴょんぴょん飛び跳ね、ステージを大きく使ってスマイル全開で必死にパフォーマンスする姿は、まるでコーギーのような愛おしさだ。困りまゆをしてみたり、怒った表情をみせたり、ひまわりのような笑顔を咲かせてみたり、表情も表現もころころ変わりそれでいて豊かだった。「泣いちゃいそうだよ、知らない」の歌い回しは全私にぶっ刺さりまくり危うく意識を失いかけた。パフォーマンスが終わった後には、私自身が満面の笑みと謎の達成感に包まれていた。 アイドルと一緒に成長している気分である。
ここで彼女のキャラクター面で垣間見えたものがあった。
・研修生ユニットデビューの発表、また追加メンバー募集のお知らせをしに譜久村リーダーが現れた時、飛び上がって喜び手を振る。
・お知らせに動揺し鳥肌を確認するなどひと味違うリアクションをとる。
もしやこの子めっちゃおもろいな?
一挙一動が大きく、見ていて飽きない。31期の同期の石山咲良ちゃんとのバランスが抜群である。もうこれだけで一日分の野菜である。ビタミーンズもひっくり返っていることだろう。
いちさくしか、という気持ちが芽ばえ始める。
有澤一華画伯との出会い
12月はグッズがなかったため、ここで初めてグッズを購入し有澤一華画伯と出会う。
お気づきだろうか、この筆圧と表現力。絵力とでも呼ぶべきだろうか。清楚で女性らしい見た目とのギャップで発電できるのでは、と思うほどの男性的な力強さ。私は一瞬でハートを撃ち抜かれた。極論ではあるが、彼女がもしも絵までもプロレベルであったら、ここまで愛おしさが大気圏を突破することはなかったかもしれない。それくらい、彼女の魅力を色濃く色付けていた。初めてグッズを手にできた嬉しさももちろん、こんな稀有な存在に出逢えた奇跡に、思わず自分の鳥肌を確認した。
総じて、動いている彼女は静止画では伝わらない爆発的な魅力に溢れていた。もっと魅力を知りたい。もっと魅力を伝えたい。こんな素敵な子に出逢えた奇跡に感謝しながら、地元の箕面ビール片手に、551蓬莱の出来たてをテイクアウトし、帰りの新幹線に乗り込むのであった。
久しぶりの新幹線で飲むビールは、最高に美味しかった。