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コミュニティマーケティング活動1年の振り返りと最近の関心ごと

【1枚目】コミュニティマーケティング Advent Calendar 2024 、23日目の投稿です。

今年はコミュニティマーケティング周りでたくさん活動した1年でした。ここ1年の動きと、最近の関心ごとやこれから深堀りしていきたいテーマを年末の振り返りとして書くことで自分を追い込み、来年どうなっているか見返していきたいと思います。


コミュニティマーケティング周りの活動

コミュニティマーケティング推進協会爆誕! & 活動開始

今年1番のトピックは、やはり協会の立ち上げです。活動の振り返りは代表理事の小島さんが書いてくれています。わかりやすい。

ここでも裏方全般は私がやってまして、法人設立から管理業務、経理やウェブ作成、問い合わせ対応など一通り担当してます。この5年の間に誰か手伝ってくれる人が増えると良いなと思ってたり(誰か!)。

協会は今年、設立記念イベントから企業 / 個人向け研修メニューの開発と実施、メディアさんを通したコミュニティマーケティングの認知・普及活動など、結構な勢いで爆走しました。
協会理事はもちろん、フェローのみなさんそして #CMC_Meetup 東京運営チームが中心となってできた事務局のみなさんがいなければ、こんなに色々な活動はできなかったです。まじで。ほんとに。大好き。

個人的には日経クロストレンドさんに連載記事を持たせてもらい、マーケ媒体にコミュニティマーケティングが特集として取り上げられたことに手応えを感じたトピックでした。

東京以外の #CMC_Meetup にもたくさん参加した!

去年は春まで大学院に通って、その後は寝た子を起こしたかのように色々な話が持ち上がって整理 & 精査する年だったのですが、今年は割と自分の動きが整ったので、東京以外の #CMC_Meetup にもたくさん参加することができました。

6月には名古屋をはじめとする全国横断チームで協力し合って全国大会の #CMC_Central も開催できたし、東京の運営メンバーだけでは絶対に形にできない規模にまで CMC_Meetup が広がって、各地で自走している状態が嬉しく、来年はさらに広がっていくと良いなと思っています。(自分の地域でも CMC_Meetup やりたい〜という方がいらっしゃったらぜひご相談ください!)

CMC_Central(撮影:集合写真家 武市真拓 さん)
CMC_Meetup 東京(撮影:集合写真家 武市真拓 さん)
CMC_Meetup 名古屋。今年は4回全参加!
CMC_Meetup 高知(撮影:集合写真家 武市真拓 さん)

他にも仙台、沖縄、大阪などなど色々、参加者として行ったり登壇させていただいたり。たくさんの地域の人たちと新たなつながりができたし、地域によって課題やテーマ設定も違っていて発見もたくさんありました。

なぜコミュニティマーケが好きなのか

私はコミュニティリーダーでもなくコミュニティマネージャーでもなく、コミュニティマーケティング「ど真ん中」ではありません。小島さんからは「小笹さんなくしては、CMC_Meetupも協会も存在しなかったのでは?」なんてありがたい言葉をいただきましたが、実は私、20代の頃からGoogle時代以外は会社立ち上げて副業してたり、共同創業したり独立したりでこれまで4社自分で法人を立ち上げたり(閉じたり)運営してきた経験があるのですね。それがこんなところで役立つとは。やっといて損はないもんです。

2016年、イベントレジストのCOOだった時代にCMC_Meetupの立ち上げからずっと関わってきて、結果協会の立ち上げと理事としての活動にまで至ったのは、私のこれまでの経験値と、イベレジを離れて独立したり学んだりしながら浮かんできた、これからの人生のライフワークとしてやっていきたいことがうまい具合にはまっているからだなぁと最近実感しています。

今年協会設立の時に書いたnoteで、コミュニティマーケティングに対する私の想いみたいなことを書きました。

この時に書いた想いはそんなに変わらないのですが、今のコミュニティマーケティングに対する想いを付け加えると、次の2つが私の原動力かなと思っています。

①ブリッジ人材を増やすことで企業や社会を変化させたい

この1年の間で、上記のnoteの特に3つめに書いた「一歩を踏み出し、機会によって自らを変える人を増やしたい」という気持ちがますます強くなってきました。そのためには、そういう人にきっかけを与える「ブリッジ」的な人材を増やす必要があるなというのがこの1年で付け加えられました。

日本は人が減ります。働き手が勢い良く減っていきます。人がいないから人材は取り合いになります。人を採るために企業はこれまでより良い条件を提示する必要があり、そのためには企業の体力が必要になります。体力がないと優秀な人材が流出します。けれど企業の体力ってそんなにすぐにつきません。だから企業は今すぐにでも変わらないといけない。

一方、企業の中にいる人も変わらないといけない。人が多い時にありがちだったヘッドカウントによる人材のアロケーションは、今後はスキルや能力で管理するようになってきます。

でも、「"何か"変化したら良いな」では、実際何も変化しないんですよね。企業も人も、どちらも自ら変わろうとして、行動しないと、当然何も変わらないんです。

企業も人も、その当事者自身が自社あるいは自分のスキルや能力を「見える化」させる努力が必要です。自分の能力をブラックボックス化させて大きく見せようとするような時代は、完全に終わりです。

そしてさらに人の話に絞ると、企業の在り方がそうであるように、所属する企業や組織の中だけでスキルや能力を評価するのではなく、人手が少なくなる程に「自分が身近なコミュニティや社会にどう貢献できるのか」を一人ひとりが考えていかないといけない。なぜなら人は取り合いになり、その企業だけで通用する人材では他社で通用しないから。自分の貢献範囲を「会社や組織」から「コミュニティ」「業界」「社会」へとレイヤーを上げて横断的に考えていくことになります。そしてそれは単に能力主義という話だけではないと思うんです。

見える化された人は、何を相談したりどう巻き込めば良いのかが他者からわかるようになるので、見える化された時点ではじめて機会を得ることができます。こうして機会を得た人は越境人材を経て変革人材となります。

そして、機会は誰から得るか?
機会をパスする人、それがブリッジ人材です。

棚からぼた餅を得るためには、ふさわしい棚の下にいないといけない。でもその前に、棚を作ってその棚にぼた餅を並べる人が必要なんです。私は全者が「機会によって自らを変える人(=越境を経ての変革人材)」、後者が「機会を見つけ、ふさわしい人にパスする人(=ブリッジ人材)」だと思っています。

ここで変革人材とブリッジ人材の2者が出てくるわけですが、私は特にブリッジ人材が肝だと思っています。ネットワーク(島)間をつなぐ役割としてのブリッジ人材は、どの島とどの島をつなぐと良い人や情報が流通するかを見通すことができ(=機会を見つける)、そして橋をかけるためのリソースを割り振れる(=機会をカタチにできる)人が最適です。例えば会社の外とのブリッジを建てようとした時に、そこにヒトやカネを配分できるかどうかです。こうして建てた橋の上を誰に渡らせるかまでおそらくイメージしておく必要があるでしょう。その「誰」というのが越境人材です。ブリッジ人材は越境人材に機会をパスします。越境人材は、越境することによって自らも変わり、そして越境先あるいは越境元も変わる。その変革をもたらすことになる人です。

「自ら機会を見つけ出し、機会によって自らを変えよ」を一人で全部やろうとするととても大変だし、一部の優秀な人しかできないけれど、「機会を見つける人」と「機会によって自らを変える人」は別に一緒じゃなくて良いんですよね。

コミュニティは、この機会によって自らを変える人と、機会を見つけ、ふさわしい人にパスする人が誰なのかが、 "外の目" によって判断されるサードプレイスだと思います。
会社や所属組織でありがちな、しがらみや忖度・経験年数や政治を一切取っ払った "外の目" にさらされた時、自分は機会によって自らを変える人、あるいは、機会を見つけ、ふさわしい人にパスする人になっているでしょうか?

その中でもブリッジ人材が増えていけば、機会を得る人も増えるはずです。だからブリッジ人材を増やすことが重要だと思うのです。

②コミュニティは研究対象としても面白い

そしてもう1つ、コミュニティマーケティングは研究対称として広くて深いということ。これからのマーケティングや経営、イノベーション周りでの示唆を多く見つけられそうなんですよね。

私は研究者ではないですが、アカデミックに片足のつま先位を突っ込んでいて、研究を通して体系化していくことにとても興味があるし、それらの先人の活動をとてもリスペクトしています。そして企業の変革・その中の人材の変革は自分の仕事のど真ん中の領域です。
そんな私にとって、「研究したい対象がある」というのは実はとても精神的支えになるんです。自分の探究心を満たせる先が常にあるという安心と支え。コミュニティど真ん中でない私がコミュニティにずっと関わっている理由の1つはこれだなぁと最近よく実感します。

コミュニティマーケティングはそれ自体、マーケティングの新たな可能性を引き出すものだし、コミュニティの運営はマネージメント / リーダー研究・ダイバーシティ・プロジェクトマネジメント・ナレッジマネジメント etc.、そしてコミュニティを経営・事業戦略と捉えれば、人的資本やイノベーションの発生原理、無形資産への投資や留保 etc. について考えを深めるとっかかりになります。

例えばサービスドミナントロジック。デジタルと生活者の進化 / 変化によって企業と顧客の関係性の捉え方も見直されてきています。20年程前に提唱されたサービスドミナントロジックは、価値は事業者側が一方的に提供するものではなく、アクター間で共創するものだという視点で価値創造を捉え直しています。この考え方がコミュニティの価値を説明する時にとてもしっくりきたのです。

で、去年のアドベントカレンダーではコミュニティをサービスドミナントロジックの切り口から整理してみるという試みをして、合計5本のnoteを書きました。これが自分なりの整理の第一歩。

そして今年開催されたCMC_Meetupでも何回か共有してみたりしました。

↓2024年4月:CMC_Meetup 東京のLT

↓2024年9月:CMC_Meetup 高知でのセッション

しかしまぁ、SDL自体奥が深すぎるので、まだまだうまく説明ができない。けれど価値って何か?という問いかけとコミュニティがそれにどう寄与するのかという整理は続けていきたいのです。

最近の興味関心ごとと深堀りしていきたいテーマ

私は自分のライフワーク的に取り組んでいきたいテーマが2つあって、これらのテーマを、研究と実践の両方からアプローチしていって体系化して、それをもとにさらに拡げていきたいと思っています。今の仕事は、カラフルでのコンサルティングや伴走支援、社外取締役としての企業・人材変革の仕事、大学の非常勤講師としてマーケティング思考を拡げる仕事、そして協会理事など、一見多方面に見えるかもしれませんが、全部この2つのテーマに収斂していく前提での役割です。

①日本の中小企業のイノベーションの取っ掛かりとしてのコミュニティ

私は日本の企業1社1社が、ほんのちょっとずつでも進化していけば日本の経済は明るくなると本気で信じていて、少しずつでも進化していこうよという活動を地道にやっています。

進化には色々あります。自社で新しい事業が立ち上がればそれは良いけれど、自社だけだとそれなりの投資も必要です。そうすると、他の会社と協業したり、場合によってはくっついたり、あるいは今のビジネスプロセスから脱却して新たな販路や協力企業と推し進める手もあるかもしれません。

いずれにしてもそういうことをするためには所属に関わらずマーケティング思考が必要だし、今の会社や組織から「越境」して、他の部署や企業、既存のエコシステムに囚われずに他のネットワークとつながることができる人材が必要だと思うのです。

グラノヴェッターの強い紐帯、弱い紐帯の話があります。

ここでいう「ブリッジ」は、強い紐帯同士を結ぶ越境人材です。一般的に強い紐帯というと企業内のネットワークを示します。けれど特に日本の場合、サプライチェーン自体が暗黙知の中で関係コントロールされていることもあり、私は企業単体ではなくサプライチェーン全体が強い紐帯であると捉えています。なので、ブリッジとなる越境人材は、このサプライチェーンの外側とも繋がりを作れるような人材であることが望ましく、その繋がりを作る有力な方法は、同業の交流会でもベンダー同士の集まりでもなく、業界が持つコンテクストとは別のコンテクストを持ったコミュニティなのではないかと思うのです。

②ロールモデルを増やすことによる人の知の可視化

人の「知」は多様だし、その多様さをどう活かすかが今後の企業や組織の強さに表れます。こうした組織を構成する人々の「知」を掘り起こし、共有・活用するには、ワンパターンなキャリア構築や "理想的なキャリア形成" とかいう概念を取っ払って、「こんな人がいても良いよね」「こういう考え方(生き方)もあるよね」という様々なロールモデルを提示する必要があると思っています。ロールモデルがあれば、人は自分の「知」をより開示しやすくなるのではないかと。

働き手が少なくなる現状、企業側が job discription を描いてそれに当てはまる人を見つける、という時代もそろそろ終わると思います。もちろんそれは残るけど、所与のアセットをどう活用してイノベーションを生み出すか、技術経営の人材経営版みたいな考え方がこれからますます必要になってくるのではないか、と。

これからテーマとして深堀りしてみたいこと

そろそろ書いてきて疲れてきちゃったので、以下箇条書き。こんなことが最近深めていきたい関心軸です。ディスカッション相手になってくださる方はぜひ!

  • 越境人材のケイパビリティの要素(ダイナミック・ケイパビリティに沿って+α)

  • 越境させられる企業の社内の仕組みや企業自体のケイパビリティの要素(ダイナミック・ケイパビリティが生成される要素)

  • 「埋め込み」アプローチ・ネットワーク理論からの企業コミュニティ分析

  • 個人のトラスト・企業のトラスト形成にコミュニティが寄与するか

今年1年コミュニティ軸でご一緒してくださったみなさま、本当にありがとうございました!



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