【官能色眼鏡】vol.2 日傘をくれた男
私は人間の煩悩よりも、少しだけ多い数の経験値がある。いわゆる、経験人数のこと。
先週はちょっとハードで1週間のうちに4人とデートして、うち3人と夜を過ごした。自分でもちょっと狂ってると思う。(そういう自覚はあるのよ?)
その週に出会ったのが、日傘をくれた彼だった。仮に、日傘くんと呼ぶとしよう。日傘くんとは知り合ったのは、飲み友マッチングアプリだった。1ヶ月くらい前にアプリ上で知り合ってラインを交換して、一度会う約束をしていたけれど、私の都合でリスケさせてもらっていた。
そのリベンジで、再度こちらからお誘いして叶ったのが今回の会だった。渋谷の道玄坂上がったところの交番で待ち合わせていた。雨が降り出していて、日傘くんは黒の折り畳み傘をさしていた。降ると思っていなかったので、私は傘を持ってなくて、小さい折り畳みに入れてもらって店まで歩いていたら、ふと、「プレゼントあるんだ」と。
何だろうと思ったら、黒の折り畳み傘だった。気の利く人なのかな?と思って開くとフチがヒラヒラレース仕様。雨だからコンビニで傘を買ったら、女性用の晴雨両用の傘を買ってしまったらしい。後から気づいて、普通のものを買い直したんだって。だから、彼は日傘くんになった。
黒の折り畳み傘を二人で個々にさして、神泉エリアへ。選んでもらったお店は「庵狐」という和食のお店。カウンターに横並び。初めての食事はカウンターの方が好き。距離が詰めやすいのと、相手の温度を感じやすいから。とはいえ、対面式の席で、相手の顔をじっと見つめ続けて困った顔を見るのも好きなんだけどさ。笑
同い年で、大きめの会社で事業企画をやっている日傘くんは、グレーのスーツだった。オーダーで作ったワイシャツの左手首には名前の刺繍が入っていた。無料のオプションで入れられますよと進められてなんとなく入れたものらしい。ポールスミスの文字盤が綺麗な色の時計をしていた。あと、声が素敵だった。落ち着いた優しく丸い声。
同い年って共通項は最強だと思う。それだけで、話がとてもスムーズにできるのなんて魔法なんだろ?職場でちょくちょくあうマウンティングの話とか(男性同士でもあるんだね)、前回私がリスケしたのは酒と男でやらかして、あるコミュニティを出禁になったのを、和解するためだったこととか、わりと早い速度で深いところまで話せた。
飲みに行った女の子をその後、どうやって誘うか聞いたときに、それ言っちゃったらこのあと言いづらいじゃんって言われたのが面白かったな。でも、「このあとどうする?」って相手に委ねる聞き方は成功率低いと思うよ?自分の希望を宣言するところから、道は拓けるのだよ。言うのタダだし。
ビールから始まって、ハイボールを何杯か飲んで、最後に日本酒をシェアした。いい感じのほろ酔いだった。周りのお客さんは何度か入れ替わっていて、空席も増えていた。お店の閉店時間も近いのだろう。
そろそろ出ようと、会計をする。日傘くんは全部払いたいタイプの人だったので、有り難くご馳走になった。店を出る。まだ雨は降っている。何となく歩き出す。
「俺、全然この後(ラブホテル)行きたいけど」
潔さが男らしい、良い誘い文句だと思った。笑っちゃうし。神泉はラブホ天国。「いいよ、でもコンビニでアイス買いたいな」と、わがまま言って、アイスと少しのアルコールを今度は私が払って、三日月みたいな名前したホテルにするっと滑り込んでいった。
薄暗い部屋。小さなソファで並んでアイスを食べた。pinoはシェアできるからいい。食べさせられるのがいい。もうすでに前戯は始まっている。言葉少なになってきたところでキスされた。「ベッド行こっか」と開戦宣言。
日傘くんは2週間ぶりの開戦だったらしい。ゆったり喋っていた時とは別人みたいに、肉食獣のように激しいアプローチだった。右の肩をめっちゃ吸われた。痛いよって言っても、それがいいんだよって。(そうなの?痛いの嫌よ?)
キスも強く舌を吸う人で、私にもそれを求めた。強い刺激が好きなんだろうな。それと、唾液を欲しがった。口移しであげるとすごく喜んだ。相手を食べたいの変化形で、相手を欲する気持ちの現れなんだろう。
グレーのスーツを着ているときは普通の青年だったのに、脱ぎ捨てたら、むっつりのやや変態寄りの紳士だった。(変態は褒め言葉です。)荒っぽい言葉は使わないけど、言葉をかけてくるタイプ。「可愛い声出てきたね」「あー、めっちゃ可愛い顔してるー」実況中継型の言葉責め。割と好き。相手の喜びが伝わってくるから。
日傘くんの腕はジョリジョリしてた。サウナが大好きで、水風呂でキメるために剃ってるんだって。なんだかそれも微笑ましかった。それに私は伸び始めたヒゲとかジョリジョリが肌に触れると男の人としてる!って感じがして好きだった。
「ほら、咥えて、さわってあげるから」「いいよ、きもちよくなって」「がまんしないで」日傘くんは結構なおしゃべりさんだ。男は目で、女は耳で興奮する。なんて言うけれど、これは真理だと思う。女は耳でも気持ち良くなりたい。相手の言葉でも気持ち良くなるし、自分の言葉でも気持ち良くなる。なので、私はちゃんと気持ちいいを伝える。こうして欲しいも伝える。その度に相手の口角が上がったり、体温が少し上がるのを感じるのが好き。だから、すごく楽しかった。
しっかり果てて爆睡した。朝起きると、脱いだものがソファーに移されていた。日傘くんは丁寧さんだった。鏡を見たら右肩にキスマーク。怒って言うと、つけた記憶ないって言う。夢中になるくらいでしてたなら仕方ないかと許す。朝も致す。お酒入ってない時の方が、より大きさを感じるのは気のせいなのかな?果てれば気だるい土曜の朝になる。
雨は止んでいた。スクランブル交差点でわかれる。一人でご飯を食べるのが寂しくてアプリを使うと言う日傘くん。また、ご飯食べようねって言って別れる。また、美味しい夜を食べたいね。あれから、日傘は使われていないまま。
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