乳がんになった私 #15「未来の可能性」
妊孕性温存療法のための毎日の注射が始まった。
卵巣に刺激を与え排卵を誘発する “ゴナールエフ皮下注ペン” というものだ。
初めての自己注射には少し緊張したが、もともと注射は割と平気だったので慣れてしまえばなんてことないと思っていた。
卵子の成長具合をチェックするために、週に2度は病院へ。病院の日は病院で注射をしてもらい、それ以外は家で毎朝同じ時間帯に自己注射。お腹にプスッと刺して薬を注入。
注射11日目で、排卵を抑制する注射 “ガニレスト” が追加され、毎朝2本の注射を打つことに。
排卵を誘発すると同時に、抑制?!育っていない卵子を育てるためと、育ち切った卵子が採卵前に排卵してしまうのを防ぐため、ということか…?すごい…。
そして私は思った。
「けっこうストレス…!!!」
毎日の注射は思っていたよりも精神的にしんどかった。
そして注射は高額だった。
やはり早く妊孕性温存療法が保険適用になることを願う。(助成金があるとはいえ)
そして、注射を始めて18日後の4/20に採卵手術をすることになった。(時系列的にはその前の4/16に名古屋ライブを終え、4/19に乳がんを公表するのだがその話はまたあらためて…)
初めての全身麻酔。
気付いたら採卵は終わっていた。
少し下腹部が痛かった。
がんばったなぁ私。
がん治療が始まる前の妊孕性温存療法。経験してみて、心身ともにとても大変だと思った。
そしてがん治療のスタートが遅れるわけなので、その間にがんが成長してしまわないかという焦りもやはりあった。
でも、この選択に後悔はない。
私の場合は少し悩んだけど、母とパートナーの内田に背中を押してもらった。
実際に将来子供を持つことになるか、持てるかは分からないけど、これは未来の可能性なんだ。
この先も、生きている限り大事な選択を迫られる場面があるかもしれない。
大事なことは、その瞬間瞬間できちんと自分で選んだかどうかだ。
(#16へ続く)
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