乳がんになった私 #76「手術2日前」
11月28日、手術の2日前。
コロナの検査のために朝から病院へ。
早めに着いたので病院の食堂でモーニング。食堂って、なんか好きだ。
10時ごろに診察。
診察と言っても、今日はコロナの検査だけなので何を診てもらうわけでもないのだが。
S先生「森さん、先々週の心エコーの結果がですねえ、少し数値が気になるところがあるようで…」
私「え…心臓ですか?」
S先生「はい。分子標的薬のハーセプチンは心臓に負担がかかるので。治療前の数値は異常がなかったから、やはり少し影響が出てるようです。重大なことではなさそうですが、念の為、手術が終わってから循環器内科を受診してもらうことになります。」
私「そうですか…!」
一瞬、手術が出来ないと言われるんじゃないかと思い、ドキッとした。
今のところはそこまで気にしなくて良いレベルだそうだが、それでも循環器内科を受診しなくてはならない。事前に、心臓の機能に影響が出ることもあると説明を受けてはいたが…本当に数値に表れるんだ。次から次へと、“科”が増える。
S先生「それと、テレビの取材をさせてほしいと病院に連絡がありまして。」
私「そう!そうなんです!その話をしなくてはと思ってまして!」
S先生「森さんは撮影OKなんですよね…?」
私「はい、実は東海テレビさんが前々から取材してくださっていて、今回、病院でも撮影をさせてほしいというお話で、お電話がいったんです。先生も撮影OKしてくださって…本っっっ当にありがとうございます…!」
S先生「うん、僕はOKなんだけど、どこまで見せて良いのか、どこまで話して良いのかを森さんに確認しておかないとと思って。」
私「そうですよね、それを迷ってまして…どこまで見せるべきかを葛藤してて…検査の画像も、見せても良いものと、これは見せたくないというものもあって。でも、取材を受けるからにはきちんと伝わるものにしたいんですよね。」
S先生「なるほど。森さんたちのような仕事は、発信することも仕事だと思うから、大事なことですよね。」
どの検査画像を見せても良いか、どれを見せたらわかりやすいかを先生と相談した。
私「これを見せたら分かりやすいとは思うんですが…これは流石に見せたくないんです…!」
S先生「じゃあ、影が消えているという画像の変化が分かりやすいように、今からエコーやりましょうか。」
私「え!いいんですか?!」
S先生「はい。性能が良い機械の部屋でやるので、準備しますから待合室で待っててください。」
私「ありがとうございます…!!!」
日々、たくさんの乳がん患者さんを診ており、毎週手術があり、多忙極まりないであろうS先生。(実際にへとへとな様子の時もある)
快く取材を引き受けてくださり、しかもこんなにも協力的に考えてくださるなんて…本当に良い先生すぎる。
わざわざ明日の取材のためにエコー検査をし、その画像をプリントアウトしてくれた。
やはり、がんらしき影は消えていた。
S先生「あらためて、これを見せるか見せないかは森さんの判断に任せるので。」
なんだか作戦会議をしているようで…少し楽しかった。
コロナの検査は、鼻の奥まで棒を突っ込まれるので涙は出るが、平気だ。
看護師さんは「やだよねー!痛いよねー!ごめんねー!」と優しく声をかけてくれたが、注射や点滴を打ちまくっているので、屁でも無い。
万が一、陽性だった場合は夕方までに病院から電話がかかってくるとのこと。
陽性なら、手術は延期。
陰性であってくれ。
内田と一緒に、私の実家に帰った。
実家の私の部屋で、キーボードを弾いて楽曲制作をした。明日から入院。それまでに終わらせておきたいことがあったので頑張った。
夕方に内田は自分の実家へ帰り(森実家と内田実家は車で5分なのだ)、私は夜ごはんに母の作ったカレーを食べた。
母「なんか元気だねえ!」
そう、明日から入院、明後日が手術だが、私は元気だった。
病院から電話はかかってこなかった。
良かった、手術を受けられる。
右胸と、明後日さよならなんだなあ。
明日は朝から、実家に撮影クルーの方々がやってくる。
今夜は早く寝よう。
(#77へ続く)
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