〖余談〗の時間 その四
私の店は自店の『たこ焼』を『たこ味焼(たこあじやき)』と呼んでいます。ソースをぬらず具はタコだけ。たこの旨味を味わうたこ焼だから『たこ味焼』です。茹でる工程をせず、生のタコを生地に入れ焼きますのでタコに火が入れば肉が縮み、そのエキスが流れ出て超トロトロです。おそらくこれ以上トロトロのたこ焼はないと思います。お客様に中にはそのエキス(液体)の多さに、
「小籠包みたい」
とおっしゃる方も多くおられます。たこ焼にとってトロトロは正義。とても大切なことです。
さて、そういう超絶トロトロのたこ焼である『たこ味焼』。お客様の中には生地に何が使われているかを色々詮索する方がおられます。食べながら仲間内で「あ~だ。こうだ。」と話す人が多数ですが、中には、
客「生地の中に○○を入れてるでしょう。」
っと得意げに話しかけてくる方が結構おられます。そのほとんどが男性、しかも女性を連れてご来店のお方です。おそらく女性の前で『俺ってわかる男』をアピールしたいのでしょう。まあ、キャラにもよりますが可愛いものです。ただ、その殆どの答えが、
『山芋』
ほぼ皆さん、そう答えられます。しかし残念ながらそれは不正解です。もちろん山芋を使っている店もあるでしょうけど、私の店では使っていません。もっと純粋に手間と技を駆使して『超トロトロ』を実現しています。
そうそう、ちょっと説明します。関西以外の全国の方にはピンとこないかも知れませんが、『お好み焼きにおろした山芋を入れてねっとり食感出す』手法は、私の知る限りでも40年以上前から使われています。最近ではスーパーで『お好み焼粉』や『たこ焼粉』が全国どこでも手に入りますが、関西、特に大阪の家庭では昔は小麦粉を使って自分で生地を作ったものです。その時に『おろした山芋』を加えた方がまあまあ多かったのです。
だからその知識が逆に
『トロトロ』=『山芋』
となってしまったのでしょうね。
さて、全国の方々はもちろん。関西人、いや、たこ焼にうるさい大阪人でさえ『知ったかぶり』で恥ずかしい思いをすることがあります。特に女性連れの方。ご注意ください。
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