6: Edinburgh フリンジフェス参加の記録
長々としたフリンジの思い出もそろそろ最後にします。
ここまでお付き合いいただき誠に感謝いたします!
最後は余談を。
おまけの話
イギリスの食べ物はおいしくない。
と、いろんなところで言われているので、私も今回の旅は正直あまり食に期待をしていなくて、普段日本でたべているものを持っていこうかな?と考えていた。
結局、思ったよりスーツケースがぱんぱんだったのと、スタッフさんたちがお菓子やインスタントや簡易食材をたくさん日本から持ち込んでくれたので、甘えさせていただき自分では持ち込まなかった。
ごはんCHALLENGE!
エディンバラ到着初日はみんなとにかく腹ぺこだったので揃ってファストフードを石田さんにご馳走していただきました。
ハンバーガーにポテトにチキン。おまけにチュロス。
どれも日本のファストフードとは少しずつ違って珍しくもおいしかった。
海外で食に困ったら中華!
とはよく聞くけれど、エディンバラも中華は大変おいしかったです。
ピータン豆腐がおいしくて、大好きな絹豆腐に出会えたのも嬉しい。
愛するシェフのみなさん(舞監さんやマネージャーさん、キャストの皆様)は「男飯だよー」と言いながらパスタにカレーに揚げ物、おにぎりやグラタン、日々いろんなものを作ってくださいました。
わざわざ日本米を購入して作ってくださったおにぎり、涙が出るほどおいしくて有り難かった。
お衣装ハウスの丁寧な暮らし
私は肌荒れがひどいため、公演後はすぐにお衣装ハウスへ伺って洗顔させていただいていたのですが、「ついでに食べてく?」とお誘いいただき、一緒にランチをご馳走になっていました。
こちらは「丁寧な暮らし~♫」と言って、サラダにお肉にたっぷりのフルーツ!
スコットランドのフルーツのおいしさに驚きました。
私のお気に入りはネクタリン(桃)と洋梨。どちらも皮ごとカットして生ハムを巻いてビネガーやオリーブオイルやペッパーをかけて食べると夢のようにおいしかった…!
洗ってカット済の野菜パックはそのままお皿にのせて好きなオイルやビネガーをかけて、オリーブや生ハムをのせたり、
アボカドやサラダチキンと一緒にラップ(ナンを激薄にして平べったく丸くしたようなもの)で包んだり。
ミックスリーフによく入っているロケットというグリーンは少し苦味があってお気に入り。スモークサーモンに合います。
生のサラダ用ほうれん草、プチトマト、マッシュルームもすごくおいしかった!
日々の朝食
そして、自分たちのおうちで衝撃だったのはギリシャヨーグルト。
リドルというリーズナブルなスーパーで大容量パックを買ったのですが、日本のものと違ってゆるめでクリーミーで濃厚なのに甘くなく、何も入れなくてもそれだけでめちゃくちゃおいしい!
ギリシャヨーグルトのおいしさに気づいてからは、毎日ヨーグルトにブルーベリーやブラックベリーを添えて、スコーンやベーグルと一緒に朝ごはんにしていました。
スイーツがおいしい国
外食でおいしかったのは、スイーツ!
意外にも、見た目に反して大抵のものは甘さ控えめで好みでした。
寒いのにジェラート屋さんがたくさんあって、どれもクリーミーでおいしい。
スイーツだけでなく、エディンバラ中で一番のお気に入りだった、ヘイマーケット駅近くのレストランで出会ったウィスキー漬けのプディング。
こちらもプリンのイメージを覆すジューシーな味わいに、まるで甘くないクリームを添えていてめっっっちゃくちゃおいしかった!!
ゆるめのスポンジにびったびたにウィスキーを浸したみたいな感じ。
さすがスコッチウィスキーの国。
もう一度食べたかったなぁ~。
思い出すだけでおいしい。
諸事情で慌てて食事をしていた時だったのが惜しい。
もっともっと味わいたかったなぁ。
このお店のウェイトレスさん、日本だと不親切に受け取られかねない内容を親切心から教えてくれたりと、ちょっとコントみたいな、役者としても勉強になるパーソナリティで、とても楽しい食事の時間だった。
次にエディンバラに行く時は必ずまた訪れます。
お店がなくなりませんように。
屋台のクレープはパンケーキかと思うほど分厚くて巨大でクリームがたっぷりで、こりゃ大変だ~と思ったけれど、驚くほどあっさりとした味でペロリ。私が持っているのはアップルパイのクレープ。
せっかくの英国なのに、クリームティー(スコーンと紅茶)にありつけなかったのが唯一の残念。
クリームティーやアフターヌーンティーを扱うお店自体が多くなく、あっても閉店時間がめちゃくちゃ早い。
どうやらエディンバラ城内にもあるようなのですが、時間的に全く無理でした…。
椹野道流さんという作家の「祖母姫、ロンドンへ行く!」というエッセイを渡航前に読んで、絶対にクリームティーがしたかったので、いつかリベンジしたい気持ちです。
無念。
外食
パスタは日本のおいしいパスタ屋さんと遜色なし。
食べたかったお肉のタルタルには出会えず、代わりにお肉のカルパッチョはイタリアンならどんなお店にもありました。
ハギスも何度もいただきましたが、全然内臓っぽさがなくて、羊の内臓だなんて言われないとわからないくらい食べやすい。
缶詰よりもお店で食べるハギスの方が格段においしいです。
じゃがいもよりも小麦の食べ物を多くみかけました。
意外なことにベーカリーをあまり見かけなくて、あってもパンよりパイやサンドイッチを推している。
ベーグルサンドはどこもおいしかったです。
とにかくグリーンやチーズがおいしいので、私は日本のものよりも大好きになりました!
Edinburghのおいしいもの
この国は乳製品がおいしい!
チーズもクリームもヨーグルトもミルクもなんでも超おいしいです。
フルーツも日本とは異なるラインナップで、果物というより食事感覚でたくさんいただけます。
英国留学をされていたスタイリストさんによると、「英国料理がおいしい」のではなく、「以前より格段においしくなった」が正解のようです。
スーパーで出会ったものにもはずれなし。
日本では低脂肪乳を冷蔵庫に欠かさない私、スコットランドのスーパーではスキニーミルクを。無脂肪乳ということだと思います。
Edinburgh のスタバにて
毎日通った劇場近くのスタバで、初めていつものカスタムをオーダーする際、
「low fat milk」と言ったら全く通じなくて(low fat はアメリカ英語らしい)
そのうち店員さんが「あー!スキニーミルクね」と教えてくれて、「痩せ…?」と思ったら
「そうよ!痩せミルク!」とケラケラ笑っていた。
日本でいうところのスキムミルク(脱脂粉乳)か、と後々納得。
日本だと粉ミルクのイメージだけれど、普通に生乳や豆乳と並んでリキッドボトルで売っています。
この国は豆乳も少し薄めでおいしかった!
スタバはデフォルトのメニューがトールサイズからで、一番小さいサイズというと日本でいうショートサイズを出してくれる。
デフォルトがトールなので、何も言わずにショートサイズを頼むとエスプレッソが2ショット入っていて、なんか濃いな~と思っていたけれど、それも帰国が近づいた頃には好きな味へとひとりで英語でオーダーできるように。
カスタムオーダーのために言うことが多くてドキドキしたけれど、ちゃんと通じたことが嬉しかった。
人間観察
人間観察は役者にとっての引き出しを増やすための最重要事項なので、海外での外食や街歩きは貴重なチャンス!
面白人間にもたくさん出会い、素敵な出会いもいっぱい。
ベーカリーやカフェ、コーヒーショップの店員さんはみんな親しみやすくて明るかった。
本屋さんの彼は神経質そうで、それは丁寧に伝票を書いていたなあ。
照明家の彼女は毎日笑顔で挨拶してくれて、すぐ謝る私に「あなたは悪くないわ!指摘しただけよ」と明るく言ってくれた。
イタリアンカフェの店員さんは私がカッサータを知っていたことにとても喜んで、おすすめのケーキについて全部丁寧に解説してくれた。
関係ないけど、街のスイーツショップではカンノーリをよく見かけた。流行ってるのかな。
明らかにやばいおじさんはどこの国でも様子が似ている。特に目つき。
路上暮らしの人のおめぐみコイン入れがスタバのカップだったり。
18歳以下お断りのお酒とコーヒーを出すお店のカウンターでひとりで「アイスコーヒーある?」と聞いたらめっちゃ冷たく「ないね」とお髭のおじさん。
「もうすぐショーを見るからマグからテイクアウトカップに入れ替えて!」と頼めば「ほいきた!」と楽しげに「いそげいそげー」と対応してくれた大きなお兄さん。
仮面ライダーが好きと言っていた青年は「日本だと子供向けなの?大人は見ない?」と不安そうに尋ねてきて愛らしかった。そして服装などは日本のOTAKUと似ていた。一緒にいた彼女はパンクだった。
ミリタリータトゥーでみんなとの待ち合わせに遅れた私が問合せたガードのお姉さんは「わかる?大丈夫??」とすごく親切で
野外のショーで寒くて震えていたら「ちょっと待っててね、、今だよ!さあすぐに行って!」と心配そうに途中退出させてくれた優しいスタッフの女の子。
開演前にお手洗い前で連れを待っていたら
「友達を待つ?あなただけ先に入る?1曲めが始まったらしばらく入場できないけどそれでも良いのね?」と早口で圧がすごいけど親切な、目の周り真っ黒でピアスだらけの、仕事ができるパンクガール。
自由席の演目で席を取ろうとして、とあるグループに乱入してしまった時「私達グループなの」と指摘されたので慌てて席を空けようとしたら、一番いい席を譲ってくれたノリノリの女の子たち。
チケットショップの彼女はとても親切でチャーミングな笑顔が印象的だった。
CAに男性が多くて、乗客にはキリッとしているのにスタッフ同士になると途端に破顔して一瞬でラップを齧っている姿も素敵だった。
みんな覚えて、いつか私の記憶の引き出しから役の一部となってまた出てきてくれたらいいな。
英語について
学生の頃から英語が苦手で、幼中高大と英語教育に力を入れている学校へ進学したのに全然成績が奮わなかったため、正直渡航前は英語圏へ行くことにかなり苦手意識があった。
以前訪れたチェコは公用語がチェコ語なので、お互いに馴染みのない英語での会話はゆっくりかつ丁寧で助かったけれど、ネイティブの会話についていけるわけがないとビビり散らかして、一応渡航前に勉強用の本を買ったりもしたけれど、学生10年で無理なのに付け焼き刃で上達するわけがない。
一時期英語をがんばりたくて、BBCやNHKの英語版をひたすら流していたり、懐かしのclubhouseで英語チャンネルをずっと聞いたりしたけれど、わからない英語しか聞けないこと自体がストレスになってやめてしまった。
今回も日本語が聞きたい!!とストレスになるのかな、と思ったけれど、一方的に聞くのみでなく自分も参加する会話となれば、たとえ理解できずともストレスはなかった。
吉本の海外担当の社員さんが英語ペラペラなので、同行して下さることにどれだけホッとしたか知れません。
そして、彼女と行動するたびにいろんな人との会話を耳ダンボで聞きつつ、
「こんな時はどう答えるもの?」
「学校でこう習ったけど実際の会話ではどう?」
と質問すると
「学校英語ではそう習うけど、現地では意外と失礼かも。大体こう返すのが一般的」
など親切になんでも教えて下さって、だんだんワクワクしてきた。
少しずつ自分でも現地の方とコミュニケーションをとるようになり、伝わると嬉しくて、最初はひとりで楽屋に入ることもできなかったのに、旅の終盤には自分から誰かに話しかけることも怖くなくなりました。
とにかくなんでも「Can I have~」でいっちゃえ!とパカーンと開き直った。
May I ~じゃないと失礼だとか学校で習うけど、街では誰も言ってない。
low fat milk の件もそうだけど、
街で「to Let」とよく見掛けて、「~させる」という熟語?どういうこと?
と思いきや、
「貸します」つまりアメリカ英語でいうところの「for Rent」だったという話を件の社員さんから聞いた。
彼女はその表現を今回はじめて見たそうで、こんなに英語の堪能な人でもそんなことがあるんだ!と知って、常に新鮮にアップデートしていくことのかっこよさを感じたりも。
最初はビビっていた私も、旅の終盤には観たい公演のチケットをひとりでボックスオフィスへ行って購入し、スタバでもパン屋さんでも拙いながら英語でオーダーし、大学構内でエレベーターやトイレの場所を聞かれても会話だけで案内してあげることができた。
敬語表現なんかわからないから、多分失礼な言い回しをしちゃったのだろうけど、みんな笑顔でいてくれた。
少しずつでも成功体験を重ねることがどれだけ自信に繋がるか、怖がらなければ上達への意欲が増すものなのだと知った。
危険のない環境ならば、人に頼れない状況をあえて作ることも自分のためになった。
エディンバラは観光客も多く、私は髪も黒く見た目からバリバリのアジア人なので、なるべくゆっくり話してくれる人が多かったのも幸いした。
そして、イギリス英語はカタカナっぽい発音の上、あまり省略した表現をしないので、発音は独特だけど学校で習ったアメリカ英語より聞きやすい。
そして思った以上に街で知らない人から気軽に話しかけられるし、挨拶や笑顔がとても多くて怖くない。
心配したアジア人差別にもほとんど合わなかった。(私は運が良かったのか又は気づかなかったけど、露骨なレイシストに遭遇した人もいた模様。でも少数です)
帰国した今は、もっと長く日常に英語が聴ける、顔をみて会話に参加できる環境に居たかったな、とまで思います。
学生の頃、どんなに勉強するより1年でも語学留学に行った子が英語に強くなって帰ってくる理由がわかった。
日常会話は教科書と違うし、日常会話ができればそれ以上の難しい語彙を広げることにも意欲的になるだろう。
何度も留学のチャンスがあったのに、ビビって行かなかった自分に今は後悔しています。
最後に
今からでもチャンスがあればもっと海外へ行きたいと強く思います。
フリンジにもまた必ず出演したい。
海外で演劇がしたい。
もっともっと勉強したい。
楽しくて得難くて貴重な日々だった。
参加できたことに心から感謝します。
書ききれない思いが溢れるけれど、このあたりで。
なにか聞きたいことなどがありましたら、お気軽にどうぞ。
あいるびーばっく!!!
おしまい。