なんにもしない日
木ってけっこう怖い見た目してるんだな。
と、コンビニの帰り道唐突に思った。
葉が落ちて裸になった枝は、毛細血管のように張り巡らされている。手指のようにも見える。
何百回も歩いた道、何百回も見たはずの木に、吸い込まれそうになって歩みを速めた。
ヘッドホンから聞き慣れた音楽が流れてくる。Spotifyの自動再生、なかなかセンスいいじゃん。でもこれ夏の曲だけどね。夏の曲を冬に聴いたっていい。
本当は今日友達と遊ぶ予定だった。朝に「ごめん!急にバイト入っちゃって😭」と連絡が来た。バイトなら仕方がない。別にいつでも遊べるし。久しぶりに遊ぶのけっこう楽しみにしてたけど。でも、バイトならしょうがない。
まる1日空きができてしまった。
こちらもだいぶ久しぶりかもしれない。
ということで派手に二度寝して、13時に起きて餅を食べた。映画を観たいけど、今はそういう気分じゃない。
映画を観るのには体力が要ると思う。少なくとも私の中では、部屋を真っ暗にして、一歩も動かなくていいように飲み物やティッシュを手の届くところに置いて、スマホをマナーモードにしてから観るものだ。一言たりとも聞き逃すまいと思う。そういう無駄なこだわりのせいで、観る機会を何回も逃している。
もうちょっと気楽に見れるドラマを見ることにした。ずっと見たかった「大豆田とわ子と三人の元夫」。坂本裕二脚本が面白くないはずがない。ドラマを見るならお菓子でも買ってこようと思ってパジャマのままコンビニに出掛けた。
思ったより寒くはない、中途半端に除雪された道を歩く。空が綺麗で写真を撮る。一昨日靴が壊れた。代わりのムートンは容赦なく雪を受け入れる。
「大豆田とわ子と三人の元夫」は期待通り面白かった。見ているうちに夜になって、親が帰ってきたので部屋に行ってまた寝た。
結局休みの日はこうやって終わっていく。
無駄な一日だと思われるだろうか。
私はこんな日こそ、生きててよかったと思う。
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