仕事を楽にする!ECRSの4視点👀
今回は、業務改善のフレームワーク「ECRS(イクルス)」について解説します。このフレームワークの魅力を伝えるため、初めてAdobe Expressで見出し画像をデザインしてみました。画像でECRSの意味を先取りしてしまいましたが、本文では事例も交えて詳しく説明します。あなたの業務効率化に役立つヒントがきっと見つかるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。
1. ECRSとは?
ECRS(イクルス)は、業務の改善策を考えるときに持つべき発想視点をまとめたフレームワークです。この略称は、Eliminate(排除)、Combine(結合と分離)、Rearrange(再配置)、Simplify(簡素化)の4つの英単語の頭文字を取ったものです。それぞれの原則は、以下の通りです。
Eliminate(排除):そもそもその業務は必要なのか?という視点で、不要な作業や手順を徹底的に排除します。たとえば、重複したデータ入力や、形骸化した承認プロセスなどが該当します。
Combine(結合と分離):関連性のある作業を統合したり、逆に複雑な業務を分割したりすることで、効率化を図ります。たとえば、複数の会議を1つにまとめる(結合)、1人で行っている作業を2人で分担し同時並行で進める(分離)などが挙げられます。
Rearrange(再配置):作業の順序や配置を最適化することで、よりスムーズな流れを実現します。たとえば、承認プロセスの順序を変更してボトルネックとなっている承認を先に行うようにしたり、フォルダの構造を見直してよく使うフォルダにアクセスしやすくしたりすることなどが該当します。
Simplify(簡素化):作業やプロセスをより簡単にすることで、時間や手間を削減します。たとえば、複雑な計算作業をExcelのテンプレート化により簡略化したり、会議の資料を要点のみにまとめてプレゼンテーションを簡潔にしたりすることなどが該当します。
ECRSは、これら4つの視点を組み合わせて業務を分析し、改善点を見出すための効果的なフレームワークです。製造業から事務作業まで、幅広い分野で活用できる汎用性の高いアプローチとして知られています。
2. ECRSの視点に基づく改善事例
ECRSの観点に基づいて行った、私の改善事例をいくつか紹介します。
【E】Eliminate(排除)の事例
まず、私自身の取り組みではなく外圧による排除の事例となりますが、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が本格的に導入され、毎日の通勤がなくなりました。同時に対面での会議も大幅に削減されました。当初は戸惑いもありましたが、オンラインミーティングへの代替によって、移動時間や会議室準備のムダが省かれただけでなく、参加者の柔軟な調整も可能になり、より生産性の高いミーティングが実現できました。
私自身の取り組みとしては、この変化に乗じて、従来当たり前のように行われていた定例会議を見直しました。報告・共有を目的としたいくつかの定例会議は廃止し、チャットやメールで済ませるようになりました。これにより、会議に費やす時間を削減し、より重要な業務に集中できるようになりました。
このように、思い切ってやめてみると、意外と問題なく排除できることが多いのです。仕事のムダを省くために、「もしやめたら、不都合になる部分は何か?それだけを実行する方法はないか?」と考えてみることから始めてみてください。
【C】Combine(結合と分離)の事例
統合の事例を2つ紹介します。
1つ目は、他者との作業統合です。私の集計作業と類似の集計作業を行っている同僚に、作業の統合を提案しました。具体的には、同僚の集計作業に私が資料で使用するための作業をほんの少し追加してもらい、同僚の作業データを共有してもらうことで、私の作業を丸々なくす方法です。これにより、私の作業分(約1時間)の削減が見込めました。同僚の負担は10分程度の増加とはいえ、私だけが楽をする提案になってしまうため、その業務を隔月でローテーションする、もしくは他の業務を請け負うなど、負荷を分散する相談も同時に行いました。
2つ目は、自身の作業統合です。マーケティング施策の成果レポートに関して、部内用と部外用の2種類を作成していましたが、部内用をベースに不要部分を削除するだけで部外用を作成できるよう、フォーマットを統一しました。その結果、各1時間かかっていた作業が、両方合わせて1時間以内で完了できるようになりました。
このように、関連する作業の統合によって、重複を減らし効率を大幅に向上させることができます。自分の作業だけでなく、他者との協力も視野に全体最適の視点を持つと、さらなる改善の可能性が広がります。
【R】Rearrange(再配置)の事例
タスクの再配置によって、チーム全体の作業時間を短縮した事例です。
ある業務フローにおいて、私の作業を待つ間、後工程の担当者に長い待ち時間が発生していました。同時に、その待ち時間中、後工程の担当者には作業の余裕がありました。そこで、私の業務の一部を後工程の担当者に引き受けてもらう提案をしました。これにより、後工程の待ち時間が有効活用され、全体の業務フローがスムーズになりました。このように、担当者間のタスクの再配置によって、全体の業務効率が向上しました。
なお、このような再配置には、日頃からチームメンバーと良好な関係性を構築しておくことや、業務を渡した分、他の業務を進んで引き受けるといった配慮も必要です。
【S】Simplify(簡素化)の事例
簡素化の事例を2つ紹介します。
1つ目は、資料のテンプレート化です。同じような形式の資料を繰り返し作成する場合、テンプレートの作成により、作業時間を大幅に短縮できます。Excelの関数(VLOOKUP、SUMIF、COUNTIF等)も組み込んでおけば、より効率化につながります。初期設定には多少時間がかかりましたが、結果的に毎回の作業時間が半分以下になり、長期的な効果を実感しました。
2つ目は、承認プロセスの簡素化です。以前は必要以上に上司の承認を求めていましたが、「このようなケースの場合は、私に一任していただいてもいいですか?」と上司確認の要否基準について合意を取り付け、自己判断で進められる業務を増やしました。これにより、承認待ちの時間が削減され、業務のスピードアップができました。ただし、このような提案は上司がこちらの実力を理解し、信頼関係を築けた頃合いを見計らって聞くように留意してください。
このように、繰り返し発生している手間や過剰な承認プロセス、必要以上に複雑になってしまっている工程を特定し、簡素化することで、業務の効率化を図りましょう。
3. ECRSの実践ステップ
ECRSを効果的に実践するには、以下のステップを踏むことをおすすめします。
現状分析:まず、改善したい業務プロセスの現状を詳細に把握します。業務フローチャートや業務一覧表などを用いて、作業の流れ、所要時間、関係者などを可視化しましょう。(業務フローチャートと業務一覧表は過去記事で解説しています)
問題点の特定:現状分析をもとに、非効率な部分や改善が必要な箇所を洗い出します。
ECRSの適用:特定した問題点に対し、E(排除)→C(結合と分離)&R(再配置)→S(簡素化)の順に検討を行います。この順序が重要です。作業そのものをなくすEは、改善効果が最も大きいため最初に行います。一方、Sは機械化・自動化などを含むため、最後に検討します。ムダを含んだ業務をそのまま機械化・自動化してしまう事態を避けるためです。
アイデアの具体化:アイデアを具体的な改善案にまとめます。実現可能性や効果も検討しましょう。
実行と検証:改善案を実行し、その効果を測定します。必要に応じて調整を加えていきます。
ECRSの実践では、チームでのブレインストーミングも効果的です。多様な視点が新たな改善案を生み出す可能性があります。また、小さな改善から始め、徐々に範囲を広げていくアプローチも有効です。
4. 改善アイデアを出すヒント
自分の業務において、改善アイデアのイメージが湧かない場合は、生成AI(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)にアイデアを出してもらいましょう。
以下の○○○の箇所をご自身の業務に打ち換えてください。
▼出力例
回答の抽象度が高かった場合は「もう少し具体的に、日々の作業内容に沿ったECRSのアイデアを出してください」と追加依頼をしたり、最初の○○○の箇所をより具体的に書いてみてください。
5. おわりに
ECRSの魅力が伝わりましたでしょうか・・・?少しでも関心をもっていただけたのなら幸いです。
仕事で「楽をしたい!」と考えるのは、良くないことのように捉えられがちですが、業務改善においては、この「楽をしたい!」という気持ちが大切だと思います。
さらに「仲間にも楽をさせたい!」と思えるようになると、もっと素敵ですね。
ご覧いただき、ありがとうございました。